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毎朝7時のお題(耳ビジnote部)

前稿で、Clubhouseの「耳ビジ★耳で読むビジネス書」について書いた。書き足りないことがある。あの部屋は、下間都代子さん1人の声でできているわけではない、ということだ。

番組は、主宰者だけでは成立しない。声の後ろに、毎朝の段取りがある。段取りの後ろに、人がいる。今回は、そのなかの1人、宮村麻未さんのことを書きたい。

耳ビジにはnote部という活動がある。参加者が毎日noteに記事を書く。そのためのお題を、宮村さんが毎朝7時に出してくれる。しかも画像付きである。

書く側にとって、朝起きたらお題がそこにある、というのはありがたい。何を書くかで迷う時間が要らない。だが、出す側に立てば話はまるで違う。毎朝7時に、休まず、必ず、画像を添えて用意する。1日なら誰でもできる。それを続けることが、どれほど骨の折れることか。書く仕事をしている人間なら、身に覚えがあるはずだ。

私は彼女のことをよく知らない。家庭の事情も、朝の過ごし方も知らない。ただ、朝7時という時間が、多くの人にとって1日でもっとも慌ただしい時間であることは知っている。その時間に、毎朝、ひとつのお題が届く。その裏側にどれだけの準備があるのか、想像するしかないが、想像はつく。

宮村さんは声のプロである。声優であり、ナレーターであり、話し声トレーナーでもある。医療系の番組でナレーションを担当し、オークションサイトのWebCMでは、渋谷駅前のビジョンで半年間その声が流れていた。オムニバスCDへの参加もあれば、コーラスの仕事もある。経歴だけを見れば、すでに十分に完成した職業人だ。

ところが、宮村さんはそこで止まっていない。日本美声チューニング協会の講師養成講座を修了し、スクールでは声優コースと話し方コースの講師を務めている。掲げている言葉は「キライな声を強みに変える」。自分自身、長いあいだ自分の声に自信を持てなかったのだと、本人が書いている。

私が敬意を表したいのは、この一点である。声で食べている人が、いまも声を学び続けている。すでにできあがって見える人ほど、実は磨くのをやめていない。そういう人の言葉は、生徒に届く。自分が通ってきた道だからだ。

耳ビジの新サービス「耳ビジ試し読みボイスブック」では、ナレーターだけでなく、要約ライターとスタッフも兼ねているという。本を要約する仕事と、それを声にする仕事は、本来まったく別の技能である。1万冊を書評してきた私にはわかるが、要約は読解の仕事であり、朗読は身体の仕事だ。その両方を1人で引き受けている人を、私は他にあまり知らない。

耳ビジのまわりには、こういう仲間が大勢いる。だからあの部屋は、毎朝8時に、当たり前のように開くのだと思う。当たり前に見えるものは、たいてい誰かが支えている。

その耳ビジnote部の活動も、9月7日までとなっている。いずれ方針の発表があるのだろう。ひとつの区切りではある。だが、形を変えてでも続いてほしいと思っている。毎朝7時に誰かがお題を出し、それに応えて書く人がいる。そういう場所は、この世にそう多くはない。

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尾藤克之(コラムニスト・作家/日本初のClaude実用書出版) 記事が「役に立った」「面白かった」と思っていただけたら、チップで応援いただけると嬉しいです。いただいた応援が、次の記事を書くエネルギーになります。これからも読んでよかったと思える記事をお届けします。