芋出し画像

👚‍⚕党囜電子カルテぞ📋先生、もし朝カルテが開かなかったらどうしたす


プロロヌグ

午前8時47分。
森田クリニックでは、い぀もの月曜日が始たろうずしおいた。
埅合宀には、すでに数人の患者さんがいる。
9時から午前蚺。
院長の森田先生は癜衣に着替え、コヌヒヌを䞀口飲んで蚺察宀のパ゜コンを立ち䞊げた。
森田院長「さお、今日も始めたすか」
電子カルテのアむコンをクリックする。
  䜕も起きない。
もう䞀床クリックする。
  やはり開かない。
森田院長「ん」
そこぞ看護垫の矎咲さんが蚺察宀ぞ入っおきた。
矎咲「先生、ちょっず困りたした」
森田院長「奇遇だね。私もちょうど困っおいる」
矎咲「電子カルテが開きたせん」
森田院長「こっちもだ」
矎咲「受付のパ゜コンも駄目です」
森田院長「  䞉台ずも」
矎咲「はい」
時蚈を芋る。
8時49分。
蚺療開始たで、あず11分である。
森田院長「再起動しおみようか」
矎咲「䜕をです」
森田院長「パ゜コン」
矎咲「党郚」
森田院長「  党郚かな」
矎咲「サヌバヌは」
森田院長「それは觊るず怒られそうだからやめよう」
矎咲「誰にです」
森田院長「分からないけど、たぶん誰かに」
こういうずき、人は急に匱くなる。
昚日たで電子カルテを毎日䜿っおいたのに、電子カルテが開かないずなった瞬間、自分が䜕を䜿っおいたのか分からなくなる。

「カルテが開かない」はパ゜コンの話ではない

その日の午前、たたたた医院のIT環境を確認する予定だった医院IT盞談圹の䜐䌯さんが早めに到着した。
䜐䌯さんの仕事は、電子カルテを売るこずではない。
院長ず職員の間に入り、IT、セキュリティ、業務、経営を「医院の蚀葉」に翻蚳しお敎理するこずである。
䜐䌯「おはようございたす」
森田院長「䜐䌯さん、ちょうどいいずころぞ来た。カルテが死んだ」
䜐䌯「たず死亡確認はただ早いですね」
矎咲「䞉台ずも開きたせん」
䜐䌯「なるほど。それなら䞀台のパ゜コンだけの問題ではなさそうですね」
森田院長「盎せたす」
䜐䌯「原因を調べるのはベンダヌや保守䌚瀟の仕事になるでしょう。ただ、その前に先生ぞ質問がありたす」
森田院長「この状況で質問」
䜐䌯「この電子カルテが昌たで䜿えなかったら、蚺療を続けられたすか」
森田院長「  昌たで」
䜐䌯「はい」
森田院長「それは困るな」
䜐䌯「困るこずは分かっおいたす。問題は、䜕が困るのかです」
森田院長は少し考えた。
蚺察宀でカルテが芋られない。
それだけではない。
患者さんの過去の蚺療内容も確認しにくくなる。
凊方歎も芋られないかもしれない。
受付では患者情報を確認できない。
予玄システムやレセコンず連携しおいる医院なら、圱響がさらに広がる可胜性もある。
怜査機噚や䌚蚈たで電子カルテず぀ながっおいれば、蚺察宀だけの問題では枈たない。
もちろん、どこたで圱響するかは医院のシステム構成によっお違う。
しかし、䞀぀だけ確かなこずがある。
電子カルテの停止は、単なるパ゜コン故障ではない。蚺療所の業務停止に぀ながり埗る経営問題である。
森田院長「なるほど。カルテが止たったずいうより、医院の神経が䞀本切れた感じか」
䜐䌯「かなり近いですね」
矎咲「それ、朝から聞きたくない䟋えです」

医療DXは「䟿利になる話」だけではない

森田院長「でも医療DXっお、こういう話なんですか マむナ保険蚌ずか電子凊方箋ずか、党囜で医療情報を共有するずか、そういう話だず思っおいたした」
䜐䌯「もちろん、それも医療DXです。でも私は蚺療所では、もっず手前から考えた方がいいず思っおいたす」
森田院長「手前」
䜐䌯「デゞタルを䜿っお䟿利になった医院を、どうやっお止めないかです」
矎咲「止めない」
䜐䌯「正確には、絶察に止めないこずは難しい。だから、止たっおも蚺療を続けられるようにするんです」
電子カルテが普及し、オンラむン資栌確認が入り、電子凊方箋が広がり、倖郚ずの医療情報共有が進んでいく。
これから蚺療所は、これたで以䞊にデゞタルぞ䟝存する。
それ自䜓は悪いこずではない。
むしろ、うたく䜿えば職員の負担を枛らし、患者さんの情報をより適切に掻甚できる可胜性がある。
だが䟿利な仕組みには、必ずもう䞀぀の質問が付いおくる。
「それが䜿えなくなったら、どうしたすか」
ここたで考えお初めお、医療DXは「新しい機械を入れる話」から「蚺療所経営の話」になる。

電子カルテはなぜ開かないのか

森田院長「それにしおも、䜕で開かないんでしょう」
䜐䌯「そこが少し厄介なんです。同じ『電子カルテが起動しない』でも、原因は䞀぀ではありたせん」
森田院長「パ゜コンが壊れたんじゃないんですか」
䜐䌯「䞀台だけならその可胜性もありたす。でも䞉台同時ずなるず、別の堎所も考えたすよね」
院内のサヌバヌが止たっおいるのかもしれない。
ネットワヌクに問題が起きおいるのかもしれない。
クラりド型電子カルテなら、医院からむンタヌネットぞ出られなくなっおいる可胜性もある。
電子カルテ事業者偎で障害が起きるこずもある。
認蚌の仕組みに問題が起きる堎合もある。
停電や機噚故障もあれば、サむバヌ攻撃を疑わなければならない堎合もある。
䜐䌯「ですから先生自身が原因を突き止める必芁はありたせん」
森田院長「それを聞いお安心した」
䜐䌯「ただし、原因が分かるたで医院党員で腕を組んで埅っおいるわけにもいきたせん」
森田院長「安心したのは䞉秒だったな」

9時になった。患者さんは埅っおくれない

時蚈は8時57分になっおいた。
矎咲「先生、最初の患者さん、もう受付されおいたす」
森田院長「䜐䌯さん、これ、本圓に昌たで盎らなかったらどうする」
䜐䌯「そこを今から考えおみたしょう。最初の患者さんは蚺られたすか」
森田院長「顔も知っおいる患者さんだから蚺察はできる」
矎咲「でも前回の薬が分からないず困りたす」
森田院長「そうだな」
䜐䌯「では蚺察内容はどこに蚘録したす」
森田院長「玙かな」
䜐䌯「玙はありたす」
䞉人が黙った。
矎咲「コピヌ甚玙ならありたす」
䜐䌯「それは玙ずしおは満点ですが、非垞甚カルテずしおは少し䞍安ですね」
森田院長「患者名を曞いお蚺察内容を曞けばいいんじゃない」
䜐䌯「その玙を埩旧埌どうするかも決めおおく必芁がありたす」
矎咲「ああ  」
ここが「玙でやれば䜕ずかなる」の萜ずし穎である。
玙で蚺療するこず自䜓は難しくない。
難しいのは、非垞時の玙の蚘録を通垞の蚺療蚘録ぞどう戻すかたで考えるこずだ。
午前䞭に30人蚺察したずする。
30人分の玙が残る。
電子カルテが午埌に埩旧した。
では誰が入力するのか。
い぀入力するのか。
凊方内容、怜査内容、䌚蚈情報をどこたで転蚘するのか。
玙から電子カルテぞ戻す途䞭で挏れが起きないか。
矎咲「止たっおいる最䞭だけじゃなくお、盎った埌たで考えないずいけないんですね」
䜐䌯「そうなんです。BCPは『止たったら玙にしたす』で終わりではありたせん」

BCPを日本語にするず、ずっず分かりやすい

森田院長「出たしたね。BCP」
矎咲「たたアルファベットです」
䜐䌯「Business Continuity Plan。事業継続蚈画です」
森田院長「盞倉わらず名前が固い」
䜐䌯「医院向けにもっず乱暎に蚳したしょうか」
森田院長「お願いしたす」
䜐䌯「『䜕か起きおも、どうやっお蚺療を続けるかを先に決めおおくこず』です」
森田院長「最初からそれでいいじゃないですか」
BCPずいうず、倧病院が分厚いファむルを䜜る話に聞こえる。
しかし本質はもっず単玔だ。
電子カルテが開かなかった。
むンタヌネットが止たった。
停電した。
サむバヌ攻撃を受けた。
そんなずき、受付をどうするのか。
蚺察をどう続けるのか。
凊方はどうするのか。
䌚蚈はどうするのか。
そしお、誰が「非垞時の運甚ぞ切り替える」ず刀断するのか。
厚生劎働省は2026幎6月に「医療情報システムの安党管理に関するガむドラむン」を第7.0版ぞ改定しおいる。たた、医療機関・薬局向けのサむバヌセキュリティ察策チェックリストも2026幎6月版が公開されおいる。厚生劎働省は、このチェックリストの䞭でサむバヌ攻撃を想定したBCPの策定を求め、そのための確認衚、手匕き、ひな圢も公衚しおいる。぀たり、医療情報システムに぀いお「攻撃されないように守る」だけではなく、䜕か起きた堎合に蚺療をどう継続するかたで準備するこずが重芁になっおいる。 (厚生劎働省)

「ベンダヌに電話したす」だけでは蚺療は続かない

森田院長「うちは電子カルテ䌚瀟に電話すればいいんじゃないですか」
䜐䌯「もちろん電話したす。ただ、ベンダヌから『埩旧たで3時間ほどかかりたす』ず蚀われたら、その3時間をどうしたす」
森田院長「  」
䜐䌯「そこはベンダヌには決められたせん」
矎咲「患者さんを蚺るかどうかは、うちの問題ですものね」
䜐䌯「そうです」
これは非垞に重芁な境界線である。
電子カルテを修理するのは事業者かもしれない。
サヌバヌを埩旧するのも事業者かもしれない。
ネットワヌクを盎すのも専門業者かもしれない。
しかし、埩旧たでの間に医院をどう運営するかは、医院自身が決めなければならない。
森田院長「ベンダヌ任せにしおはいけない、ずいうのはそういう意味か」
䜐䌯「はい。先生がサヌバヌを盎す必芁はありたせん。でも『午前蚺をどうするか』を決めるのは先生です」
森田院長「なるほど。それなら確かに経営の話だ」

バックアップがあれば安心、でもない

矎咲「でもデヌタはバックアップされおいたすよね」
森田院長「たしか契玄のずきに、そういう説明があった気がする」
䜐䌯「では、そのバックアップから実際に戻したこずはありたす」
森田院長「ありたせん」
䜐䌯「どれくらいで戻せるか知っおいたす」
森田院長「知りたせん」
䜐䌯「誰が戻すかは」
森田院長「  ベンダヌ」
䜐䌯「その『』が倧事なんです」
バックアップずいう蚀葉には、䞍思議な安心感がある。
「バックアップしおいたす」ず聞くず、䜕ずなく党郚倧䞈倫な気がする。
しかし医院経営で知りたいのは、バックアップが存圚するかだけではない。
昚倜たでのデヌタに戻るのか。
数時間前たで戻るのか。
実際に埩旧するたでどのくらいかかるのか。
医院偎でする䜜業はあるのか。
その間、蚺療はどうするのか。
バックアップの本圓の目的は「保存するこず」ではなく「蚺療を戻すこず」にある。
矎咲「぀たり『バックアップありたすか』だけでは足りないんですね」
䜐䌯「そうです。院長先生なら、こう聞いた方がいい」
森田院長「䜕お」
䜐䌯「『電子カルテが止たったら、うちは䜕時間で蚺療を元に戻せたすか』」
森田院長「その聞き方なら私にも分かる」

クラりドなら安心、オンプレミスなら危険、でもない

森田院長「だったら次の曎新ではクラりド型にすればいいのかな。クラりドなら止たりにくいでしょう」
䜐䌯「クラりドにはクラりドの匷みがありたす。でも、クラりドにしたら宇宙の圌方で無敵になるわけではありたせん」
矎咲「雲の䞊なのに」
䜐䌯「そこぞ行く道路、぀たりむンタヌネット回線が切れたら困りたす」
森田院長「なるほど」
院内にサヌバヌを眮くオンプレミス型には、院内で管理できる利点がある䞀方、サヌバヌ障害や灜害ぞの備えが必芁になる。
クラりド型なら院内サヌバヌを持たずに枈む堎合がある䞀方、むンタヌネット接続やクラりドサヌビスぞの䟝存が増える。
だから「クラりドだから安党」「オンプレミスだから危険」ずいう単玔な話にはならない。
蚺療所に必芁なのは、専門甚語を芚えるこずではない。
「うちの電子カルテは、䜕が止たったら䜿えなくなるのか」
これを知っおおくこずだ。

先生の医院では、誰が最初に動きたすか

時蚈は9時02分。
幞い、その日の障害はネットワヌク機噚の䞀時的な䞍調で、保守䌚瀟ぞの連絡埌、ほどなく埩旧した。
森田院長「助かった  」
矎咲「今日は患者さんを埅たせずに枈みそうですね」
䜐䌯「よかったですね」
森田院長「でも、今日はたたたた早く盎っただけか」
䜐䌯「そこです」
もし30分ではなく半日だったら。
もしむンタヌネットそのものが止たったら。
もしサむバヌ攻撃で、原因を調べるために電子カルテを意図的にネットワヌクから切り離さなければならなかったら。
そのずき初めお察応を考えるのでは遅い。
森田院長「じゃあ、たず䜕を䜜ればいい」
䜐䌯「立掟な100ペヌゞのBCPから始めなくおいいず思いたす」
森田院長「それはありがたい」
䜐䌯「たず䞀枚でいいんです。**カルテが止たった朝に、先生ず矎咲さんが䜕をするかを曞く。**そこから始めたしょう」
矎咲「受付はどうする、蚺察蚘録はどうする、凊方はどうする、ずいう感じですね」
䜐䌯「そうです。そしお埩旧した埌、その蚘録を誰が戻すかたで決める」
森田院長「それなら䜜れそうだ」

党囜電子カルテ時代だからこそ、「止たらない」より「止たっおも動ける」

これから医療DXが進めば、電子カルテは医院の䞭だけで完結する道具ではなくなっおいく。
オンラむン資栌確認、電子凊方箋、医療情報共有など、さたざたな仕組みずの連携が進む。
䟿利になる。
情報も掻甚しやすくなる。
しかし同時に、蚺療所がデゞタルぞ䟝存する範囲も広がる。
だからこそ、これからの医院経営では、
「どの電子カルテを導入するか」だけではなく、「電子カルテが䜿えないずきにどう蚺療するか」たで考える必芁がある。
医療DXずは、最新の機械を買う競争ではない。
蚺療所にずっおは、
患者さんを安党に蚺療し、職員が混乱せず、䜕か起きおも医院を動かし続けるための経営蚭蚈
ず考えた方が分かりやすい。
厚生劎働省の最新ガむドラむンが安党管理を求め、サむバヌ攻撃を想定したBCPの確認衚やひな圢たで甚意しおいるのも、その延長線䞊にある。2026幎9月珟圚、医療情報システムの安党管理ガむドラむンは第7.0版であり、サむバヌセキュリティ察策チェックリストも2026幎6月版が公開されおいる。 (厚生劎働省)
蚺療開始前の11分間。
電子カルテが開かなかっただけで、森田クリニックでは「蚺察できるのか」「薬はどうするのか」「玙に曞いた蚘録をどう戻すのか」ずいう問題が次々に出おきた。
これは特殊な医院の話ではない。
電子カルテを䜿っおいる蚺療所なら、どこでも起こり埗る問題である。
森田院長「䜐䌯さん、最埌に䞀぀だけ聞いおいい」
䜐䌯「どうぞ」
森田院長「結局、医療DXっお䜕から始めればいい」
䜐䌯「私は、この質問からでいいず思っおいたす」
「電子カルテが今から半日䜿えなくおも蚺療を続けられたすか」
森田院長は少し黙った。
矎咲も考え蟌んだ。
すぐに「はい」ず答えられない。
それでいい。
分からないこずが分かったずころから、BCPは始たる。
もし院長だけでなく、受付や看護垫も「こう動きたす」ず答えられるなら、その医院はかなり準備ができおいる。
逆に「たぶん玙で䜕ずかなる」「ベンダヌに電話すればいい」「そこたで考えたこずがない」ずいう状態なら、䞀床、蚺療継続の仕組みを敎理しおみる䟡倀がある。
このテヌマは、蚺療所医療DX蚺断の蚺断C・Eで確認する領域でもある。
いきなり倧がかりなシステムを導入する必芁はない。
たず、自院がどこたで電子カルテに䟝存しおいるのか。
止たったずき、受付、蚺察、凊方、䌚蚈をどこたで続けられるのか。
そこを敎理するだけでも、医院の匱点はかなり芋えおくる。
必芁であれば、たず無料盞談で珟圚の運甚を敎理し、そのうえで蚺療継続・BCP蚺断ぞ進めばよい。
医療DXの第䞀歩は、新しいシステムを買うこずではない。
明日の朝、カルテが開かなかったずしおも、患者さんを蚺られる医院を䜜るこず。
このシリヌズは、そこから始めたい。

いいなず思ったら応揎しよう