【🔰さくらとみのる先生の税理士試験 🔯001-五科目合格まで何年かかるのか――現実的な計画を立てる】
【さくらの疑問】
さくら「先生、ネットで『税理士試験は最短2年で合格できる!』という記事を見ました。私も再来年には税理士ですね!」
みのる先生「さくらさん、その記事を書いた人は、1日25時間勉強しているか、時間の流れが違う星から来たのかもしれません」
さくら「地球人向けの現実的な目安を教えてください」
みのる先生「地球の重力下で働きながら目指すなら、5年から10年は覚悟する壮大なプロジェクトになります」
【今回のテーマの基本】
税理士試験は、会計学に属する科目(簿記論・財務諸表論)と、税法に属する科目(法人税法や所得税法など)の計11科目の中から5科目に合格すればよい科目合格制度を採用しています。
一度合格した科目は生涯有効であるため、1年に1科目ずつ合格を積み重ねていくことができます。
しかし、この制度があるゆえに、税理士試験は「終わりの見えないマラソン」になりがちです。
各科目の合格率は概ね10%から15%程度と低く、年に1回(原則8月)しか受験のチャンスがありません。
そのため、学生など勉強に専念できる環境でも3年から5年、社会人として働きながらであれば5年から10年以上かかることが一般的な現実です。
【各科目のボリュームと必要な勉強時間】
さくら「でも、1年で3科目ずつ受かれば、2年で終わりますよね?」
みのる先生「計算上はそうですが、税理士試験の勉強時間を甘く見てはいけません」
さくら「専門学校のパンフレットには、簿記論の目安学習時間は約400時間と書いてありましたよ」
みのる先生「それはあくまで『講義を受け、最低限の復習をする時間』です。合格レベルである上位10%に食い込むためには、その2倍から3倍の演習時間が必要になります」
税理士試験において「合格レベル」に達するために必要な勉強時間は、受験生の基礎学力や環境によって大きく異なりますが、一般的な目安は次のようになります。
・簿記論、財務諸表論:それぞれ800時間〜1,000時間程度
・法人税法、所得税法:それぞれ1,000時間〜1,500時間程度
・消費税法、相続税法など:それぞれ500時間〜800時間程度
・ミニ税法(国税徴収法など):それぞれ300時間〜500時間程度
このように、特に国税三法(法人税、所得税、相続税)と呼ばれる科目は、膨大な理論暗記と複雑な計算パターンを習得する必要があり、1年間その科目だけに専念しても合格が保証されないほどのボリュームがあります。
【実例で考える】
さくら「働きながらだと、平日は頑張っても2〜3時間しか勉強できません」
みのる先生「休日に少し多めに確保したとして、週に25時間。1年間で約1,200時間ですね。これこそが、現実的な計画のスタート地点です」
仮に年間1,200時間の勉強時間が確保できる社会人受験生の場合、次のようなスケジュールが現実的です。
・初年度:簿記論と財務諸表論の2科目受験(会計科目は関連性が高いため同時学習の相乗効果がある)
・2年目以降:法人税法などの重たい税法科目を1年1科目ずつ受験
みのる先生「『早く合格したい』と焦って、働きながら年に3科目も受験するとどうなると思いますか?」
さくら「勉強時間が分散して、全部中途半端になりそうです」
みのる先生「その通りです。税理士試験で最も怖いのは、全科目が合格ボーダーラインに届かず共倒れになることです。不合格になれば、また来年の8月まで同じ科目をやり直すことになります」
【確実な合格へ近づくための計画】
さくら「確実に合格へ近づくためには、どう計画を立てればいいですか?」
みのる先生「自分の可処分時間(自由に使える時間)を正確に把握し、欲張らないことです」
合格をつかむための現実的なアプローチは以下の通りです。
・1年1科目(または2科目)に絞る
手持ちの勉強時間を1つの科目に集中投下し、確実に上位10%に入る実力を養成します。
・細切れ時間を理論暗記に全振りする
通勤電車、昼休み、入浴中など、机に向かえない時間はすべて税法の理論暗記(あるいは財表の理論)に充てます。社会人が専念生に対抗できる唯一の武器は「隙間時間の徹底活用」です。
・満点ではなく「確実な合格点」を狙う
試験範囲のすべてを完璧にする時間は誰にもありません。過去問や答練を通じて「誰もが解ける基本問題を絶対に落とさない」訓練を繰り返します。
【今回の合格ポイント】
・税理士試験は5〜10年単位の長期戦になることを最初に覚悟する
・ネットの「短期間合格」に振り回されず、自分の勉強時間を正確に把握する
・共倒れリスクを避けるため、無理な複数科目受験はしない
・「1年に1科目」の確実な積み重ねが、官報合格への一番の近道である
さくら「5年のマラソンと考えると、息切れしないペース配分が大事ですね」
みのる先生「まずは目の前の簿記論という最初の給水所まで、着実に走り抜けましょう」
さくら「先生、その給水所の水、なんだかすごく苦い気がするんですが……」
みのる先生「良薬は口に苦し、ですよ。さあ、電卓を叩く時間です」
