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信頼される会社は、数字の見せ方が違う――社長と経理担当者が整えるべき決算書の急所


決算書は、会社の成績表である。通帳は、会社の生活日記である。

ミカ:
教授、銀行って決算書を見て融資判断するんですよね?

教授:
もちろん見ます。しかし、銀行員は決算書だけを見ているわけではありません。決算書は写真、通帳は動画です。

ミカ:
写真と動画?

教授:
決算書は、決算日時点の姿を写したものです。ところが通帳を見ると、日々のお金の動きが見えます。売上がいつ入金され、仕入や給料がいつ出て、社長個人への出入りがどれくらいあるか。つまり、会社の血流が見えるのです。

ミカ:
なるほど。健康診断の数値だけでなく、普段の食生活も見られる感じですね。

教授:
そのとおりです。しかも銀行は、会社のお金と社長のお金がきれいに分かれているか、数字の説明ができるか、利益や費用の認識が自然かを見ています。ここが乱れていると、たとえ利益が出ていても「この会社、大丈夫かな」と思われます。

社長と会社のお金がまざって見える項目

ミカ:
まず一番危ないのは何ですか?

教授:
一番わかりやすいのは、社長と会社のお金がまざって見えることです。銀行から見ると、これはかなり警戒されます。

ミカ:
例えば?

教授:
役員貸付金です。会社が社長にお金を貸している状態ですね。銀行から見ると、「会社に貸したお金が、事業ではなく社長個人に流れているのではないか」と見えます。

ミカ:
社長からすれば、「ちょっと立て替えただけ」「あとで戻すつもり」かもしれませんが。

教授:
銀行はそこまで楽観的に見ません。事業に使われない資産は、実質的には会社の力にならないと考えます。だから役員貸付金があるなら、返済計画を作る。役員報酬や給与天引きで計画的に減らす。少なくとも、放置してはいけません。

ミカ:
貸付金があるだけで印象が悪くなるんですね。

教授:
かなり悪くなります。通帳で見ると、会社のお金が社長個人へ流れているように見えますからね。銀行からすれば、「この融資も同じように流れていくのでは」と疑います。

ミカ:
現金残高が多すぎるのも問題ですか?

教授:
これも要注意です。帳簿上の現金が何百万円もある。しかし実際には金庫にない。これは銀行から見ると、社長持ち出しではないかと疑われます。

ミカ:
帳簿の現金が、現実世界に存在しないわけですね。

教授:
そうです。まるで地図にはあるのに、現地に行くと橋がないようなものです。帳簿上の現金は、実際に確認できる現金であるべきです。日々こまめに預金口座へ入金し、現金残高は最小限にする。これだけでも透明度はかなり上がります。

交際費が多い会社は、銀行からこう見られる

ミカ:
交際費が多い会社も、銀行から見られるんですか?

教授:
もちろんです。交際費そのものが悪いわけではありません。営業上必要な接待もあります。しかし、同業他社と比べて極端に多いと、銀行はこう見ます。これは本当に事業のための支出なのか、それとも私的支出なのか。

ミカ:
つまり、飲食代が多すぎると、「営業努力」ではなく「社長の食べ歩き」に見える可能性があると。

教授:
言い方は柔らかくしていますが、銀行の目はもう少し鋭いです。だから大切なのは、中身を精査することです。誰と、何のために、どの取引に関連して支出したのか。事業関連性のないものは、会社経費にしない。社長個人の負担にする。この線引きが必要です。

ミカ:
経費にするかどうかは、税務だけでなく銀行評価にも影響するんですね。

教授:
その通りです。税務上グレーなものは、銀行から見てもグレーに見えます。グレーが多い会社は、信用の色が少しずつ薄くなります。

有価証券、社長専用車、会員権――会社の資産に見えるが、銀行は冷静に見る

ミカ:
会社に有価証券がある場合はどうですか?

教授:
売買目的の有価証券が多いと、銀行は「本業外の投機的支出ではないか」と見ます。会社の本業と関係が薄い投資が多いと、事業資金の使い道として疑問を持たれます。

ミカ:
「本業で稼ぐ会社」なのか、「相場で勝負する会社」なのか、わからなくなるわけですね。

教授:
そうです。銀行は基本的に、事業の収益力を見て融資します。相場の腕前を見て融資するわけではありません。

ミカ:
高級な社長専用車や会員権は?

教授:
これも銀行は冷静です。利益を生まない、不相応な資産と見られることがあります。もちろん、事業上必要な場合もあります。重要なのは、取得時に必要性を説明できるかです。

ミカ:
「社長の夢でした」では弱いですね。

教授:
銀行向けの説明としては、かなり弱いです。夢は大切ですが、融資審査ではキャッシュフローの方が強い。事業との関連性、利用実態、費用対効果を整理しておくべきです。

役員報酬が少なすぎる会社も、銀行は疑う

ミカ:
逆に、役員報酬が少ないと銀行評価は良くなりそうですが。

教授:
そこが面白いところです。役員報酬が極端に少ないと、銀行は「本当にこの利益は実態を表しているのか」と見ます。

ミカ:
利益が多く見えているだけ?

教授:
そうです。社長が生活できないほど報酬を低くしていれば、その分だけ会社の利益が水増しされて見えます。あるいは、会社から別の形で社長個人へお金が流れているのではないか、と疑われることもあります。

ミカ:
「社長、霞を食べて生きているんですか」と。

教授:
銀行員はそこまで言いませんが、心の中では似たようなことを考えます。役員報酬は、会社の利益と社長の生活実態との整合性が大切です。

役員借入金の急増減は、背景説明が必要

ミカ:
役員借入金はどうですか?社長が会社にお金を貸しているなら、会社にとっては助かっているようにも見えます。

教授:
役員借入金そのものは、資金繰りを支える意味があります。ただし、急に増えたり減ったりしている場合は、銀行は背景を知りたがります。

ミカ:
なぜ急に社長が会社へお金を入れたのか。なぜ急に返したのか。

教授:
その通りです。役員報酬が少ないのに役員借入金が増えていると、「社長個人のお金の出どころはどこか」とも見られます。逆に、会社の資金繰りが厳しい時期に役員借入金を大きく返済していると、「会社資金を社長へ戻しているのでは」と見られることもあります。

ミカ:
銀行から見ると、社長とのお金の出入りはかなり重要なんですね。

教授:
会社と社長は別人格です。しかし中小企業では、どうしても近くなります。だからこそ、きちんと分ける。説明できる形にする。ここが信用の土台です。

数字の透明度が落ちている項目

ミカ:
次は、数字の透明度ですね。

教授:
はい。銀行は、数字が正しいかどうかだけでなく、数字の中身が説明できるかを見ます。中身が見えない数字は、銀行から見ると霧の中の山です。山があるのか、崖があるのか、わかりません。

ミカ:
まず仮払金ですね。

教授:
仮払金が決算書に残っていること自体、銀行から見ると不自然です。「仮」のものが、なぜ決算を越えて残っているのか。これは経理が整理されていないサインになります。

ミカ:
仮払金は便利な勘定科目ですけど、便利すぎて危ない。

教授:
まさにそうです。仮払金は、経理の一時避難所です。しかし避難所に住み続けてはいけません。決算日までに精算し、社員立替や給与精算の運用に切り替えるべきです。

ミカ:
「とりあえず仮払金」は、銀行から見ると「とりあえず不安」なんですね。

教授:
うまいですね。その表現、会計事務所の標語にしてもいいくらいです。

立替金・未収入金・雑勘定は、内容不明だと信用を落とす

ミカ:
立替金や未収入金も問題になりますか?

教授:
なります。もちろん、内容が明確で回収可能なら問題ありません。しかし資産価値がないものが残っていると、銀行は純資産から減額して見ます。

ミカ:
帳簿上は資産でも、銀行からは資産扱いされない場合があると。

教授:
そうです。例えば、何年も回収されていない立替金や未収入金。相手先も内容も曖昧な雑勘定。これは銀行から見ると、資産というより「説明待ちの数字」です。

ミカ:
説明待ちの数字。なかなか怖いですね。

教授:
銀行は、説明できない資産には価値を見ません。だから内訳書に、相手先、金額、内容、回収見込みを具体的に書く。決算日までに精算できるものは精算する。残すなら、残す理由を明確にする。これが大切です。

在庫は、利益を作る魔法にも、信用を落とす罠にもなる

ミカ:
在庫が多い会社も、銀行は警戒するんですか?

教授:
かなり警戒します。過大な在庫は、粉飾決算の定番として見られることがあります。

ミカ:
在庫を多く計上すると、売上原価が下がって利益が増えるからですね。

教授:
その通りです。だから銀行は、在庫の金額が急に増えていないか、売上規模に比べて不自然に多くないか、長期滞留品や陳腐化した商品が含まれていないかを見ます。

ミカ:
倉庫に眠る商品が、決算書では立派な資産として座っているわけですね。

教授:
ええ。しかし売れない在庫は、倉庫の王様ではなく、資金繰りの居候です。評価損や廃棄損をきちんと計上し、実態に合った在庫にする必要があります。

売掛金の不良債権・架空債権は、銀行が特に嫌う

ミカ:
売掛金はどう見られますか?

教授:
売掛金は非常に重要です。回収不能な売掛金が残っていれば、銀行はその分を純資産から減額して見ます。滞留売掛金については、貸倒損失や貸倒引当金の計上が必要になる場合があります。

ミカ:
売上は立っているけれど、お金が入ってこない。

教授:
それは会社経営ではかなり危険です。利益は出ているのに資金繰りが苦しい会社の多くは、売掛金や在庫にお金が寝ています。

ミカ:
つまり、売掛金は「未来の現金」だけれど、回収できなければ「過去の願望」になる。

教授:
名言ですね。銀行が見ているのは、まさにそこです。

仕掛品・建設仮勘定の不自然な増加は、費用の先送りに見える

ミカ:
仕掛品や建設仮勘定が増えるのも問題ですか?

教授:
内容によります。しかし不自然に増えていると、銀行は「本来費用にすべきものを資産化しているのではないか」と見ます。

ミカ:
費用にすると利益が減る。資産にすると利益が残る。だから疑われる。

教授:
その通りです。特に建設業や製造業では、仕掛品の内容が重要です。相手先、工事名、内容、摘要、金額の根拠を明確にしておく必要があります。

ミカ:
内訳書が雑だと、銀行の不安が増えるわけですね。

教授:
「その他、何件、何円」という記載は、粉飾の隠れ蓑のように見えることがあります。もちろん実際には単なる手抜きの場合もあります。しかし銀行は、手抜きと粉飾を見分けるために説明を求めます。

関係会社株式は、業績悪化なら含み損を見られる

ミカ:
関係会社株式はどうですか?

教授:
関係会社の業績が悪化している場合、銀行は含み損を考えます。帳簿上は資産でも、実際の価値が下がっていれば、その分を厳しく見ます。

ミカ:
親しい会社だから大丈夫、では通用しない。

教授:
はい。関係会社ほど、むしろ説明が必要です。決算書を準備し、業績の状況、今後の見込み、評価損の要否を整理しておくべきです。

利益や費用の認識がズレて見える項目

ミカ:
最後は、利益や費用の認識のズレですね。

教授:
ここは銀行がかなり敏感に見ます。なぜなら、利益は融資判断の中心だからです。利益が実態よりよく見えているのか、悪く見えているのか。銀行はそこを確認します。

ミカ:
まず減価償却費の未計上ですね。

教授:
これは典型例です。減価償却費を計上していないと、利益が水増しされて見えます。

ミカ:
現金支出がないから、計上しなくてもいいと思っている社長もいそうです。

教授:
しかし会計上は、固定資産の使用に応じて費用配分する必要があります。銀行から見ると、減価償却をしていない利益は、少し厚化粧に見えます。

ミカ:
厚化粧の利益。

教授:
自然な利益の方が、銀行には好まれます。

売上の計上基準がブレると、銀行は説明を求める

ミカ:
決算月の売上集中や計上基準のブレも危ないですね。

教授:
はい。期末に売上が不自然に集中していると、銀行は「翌期売上を前倒ししたのではないか」と見ます。

ミカ:
決算前になると、売上が急に元気になる会社ですね。

教授:
ええ。もちろん、季節要因や大型案件の納品がある場合もあります。その場合は説明できればよいのです。大切なのは、毎期同じ基準で売上を計上すること。疑われやすい事情があれば、銀行に説明できる資料を用意することです。

ミカ:
売上は、会社の背骨ですね。背骨が曲がると、全体が曲がって見える。

教授:
その表現もいいですね。銀行は、売上の背骨をよく見ています。

退職金などを販管費に入れると、営業利益が低く見える

ミカ:
退職金などを販売管理費に計上すると、営業利益が低く見えるという話もありますね。

教授:
そうです。臨時的な支出を通常の営業費用に入れると、本業の利益が実態より悪く見えることがあります。退職金など臨時的な支出は、内容に応じて特別損失で処理することも検討します。

ミカ:
税金の計算だけでなく、銀行への見え方も考える必要があるんですね。

教授:
はい。ただし、銀行によく見せるために数字をいじるという意味ではありません。実態を正しく表示するために、適切な区分で処理するということです。

営業外収益への安易な計上は、経常利益をよく見せたように見える

ミカ:
営業外収益への安易な計上も、銀行は気にしますか?

教授:
気にします。例えば、本来は費用の戻りや雑多な処理であるものを営業外収益に入れると、経常利益がよく見える場合があります。銀行から見ると、「経常利益をよく見せようとしているのでは」と感じることがあります。

ミカ:
利益の見せ方にも品格が必要ですね。

教授:
その通りです。会計には品格があります。無理に良く見せようとすると、かえって信用を失います。

ミカ:
社宅家賃などは、営業外費用とセットで処理するという考え方もありますね。

教授:
はい。内容に応じて、収益と費用の対応関係を整理することが大切です。

棚卸資産の評価損・廃棄損を計上しないと、利益が水増しに見える

ミカ:
棚卸資産の評価損や廃棄損の未計上も、利益水増しに見えるんですね。

教授:
そうです。売れない在庫、古くなった在庫、使えない材料が残っているのに評価損を計上していないと、利益も資産も実態よりよく見えてしまいます。

ミカ:
倉庫の奥にある古い在庫が、決算書の中ではまだ若々しい顔をしている。

教授:
うまいですね。しかし銀行は、在庫の年齢を見抜こうとします。棚卸表、回転期間、販売実績、廃棄記録などを確認すれば、在庫の実態はある程度見えてきます。

貸倒引当金の未計上は、売掛金をきれいに見せすぎる

ミカ:
貸倒引当金も大切ですか?

教授:
大切です。回収リスクのある売掛金に対して、引当金を計上していないと、利益が水増しされて見えることがあります。

ミカ:
売掛金の中に、もう帰ってこない旅人がいるかもしれない。

教授:
詩的ですね。帰ってこない旅人を、いつまでも「まもなく帰社予定」と表示してはいけません。回収可能性を見て、必要なら貸倒引当金や貸倒損失を計上するべきです。

開業費などの繰延資産が長く残ると、銀行は資産価値なしと見ることがある

ミカ:
開業費などの繰延資産が長く残っている場合は?

教授:
銀行から見ると、資産価値なしとして減額されることがあります。もちろん会計上、繰延資産として処理できるものもあります。しかし長期間残っていると、実態として価値があるのか疑われます。

ミカ:
昔の開業準備費が、いつまでも決算書に座っている。

教授:
そうです。開業時の思い出としては価値がありますが、銀行評価上の資産価値とは別です。任意償却を活用して、早めに償却することも検討すべきです。

銀行評価を上げる本質は、数字を飾ることではない

ミカ:
ここまで聞くと、銀行によく見せるために、いろいろ調整する話のようにも聞こえます。

教授:
そこは大事なところです。銀行評価を上げる本質は、数字を飾ることではありません。実態をきちんと数字に表し、説明できる状態にすることです。

ミカ:
化粧ではなく、健康管理ですね。

教授:
その通りです。粉飾は厚化粧です。経理改善は健康管理です。銀行が信頼するのは、きれいに見える会社ではなく、説明できる会社です。

ミカ:
説明できる会社。

教授:
はい。役員貸付金があるなら、なぜ発生したのか、どう返済するのか。現金残高が多いなら、実際に存在するのか。仮払金があるなら、いつ精算するのか。在庫が多いなら、売れるのか。売掛金が残っているなら、回収できるのか。これらを説明できる会社は、銀行から見て安心感があります。

経理担当者の仕事は、銀行に数字の通訳をすること

ミカ:
経理担当者は、何を意識すればいいですか?

教授:
経理担当者の仕事は、単に仕訳を入力することではありません。数字の意味を整理し、社長と銀行に通訳することです。

ミカ:
数字の通訳者。

教授:
そうです。銀行員は決算書を読みますが、会社の現場までは見えません。だから経理担当者が、数字の背景を整理しておく必要があります。内訳書を具体的に書く。残高の中身を確認する。異常な増減があれば理由をメモしておく。これだけで、銀行への説明力は大きく変わります。

ミカ:
「その他」でまとめないことも大事ですね。

教授:
はい。「その他」は便利ですが、使いすぎると霧になります。銀行は霧の中にお金を貸したくありません。相手先、金額、内容、発生日、回収予定、処理方針を具体的にする。これが透明度を上げます。

社長に伝えるべき一言

ミカ:
社長には、どう伝えればいいでしょうか?

教授:
こう伝えるとよいでしょう。
「社長、銀行は利益だけでなく、お金の流れと数字の説明力を見ています」
そして、もう一つ。
「会社のお金と社長のお金が混ざると、銀行から見ると信用が曇ります」

ミカ:
かなり効きそうですね。

教授:
社長は売上や利益には関心がありますが、役員貸付金、仮払金、滞留売掛金、過大在庫などには関心が薄いことがあります。しかし銀行は、まさにそこを見ます。

ミカ:
社長が見たい数字と、銀行が見たい数字は違うんですね。

教授:
違います。社長は「どれだけ儲かったか」を見ます。銀行は「その利益は本物か」「お金は回っているか」「返済原資はあるか」「数字は説明できるか」を見ます。

銀行に信頼される決算書の条件

ミカ:
銀行に信頼される決算書とは、どんな決算書ですか?

教授:
一言でいえば、無理をしていない決算書です。
役員貸付金が放置されていない。
現金残高が現実と合っている。
仮払金や雑勘定が整理されている。
在庫や売掛金の実態が反映されている。
減価償却や引当金が適切に計上されている。
売上や費用の計上基準が毎期一貫している。
内訳書に具体性がある。
そして、社長が自分の言葉で説明できる。

ミカ:
つまり、銀行に強い会社は、数字に強い会社ということですね。

教授:
その通りです。もっと言えば、数字を通じて自分の会社を説明できる会社です。

銀行は、完璧な会社を求めているわけではない

ミカ:
でも、すべて完璧な会社なんて少ないですよね。

教授:
もちろんです。銀行も完璧な会社だけを相手にしているわけではありません。大切なのは、問題がないことではなく、問題を把握していることです。

ミカ:
問題がある会社より、問題を知らない会社の方が怖い。

教授:
その通りです。役員貸付金があるなら減らす計画を作る。在庫が多いなら処分方針を決める。滞留売掛金があるなら回収状況を管理する。仮払金が残っているなら精算する。こうした改善姿勢が、銀行への信頼につながります。

ミカ:
銀行は、数字そのものだけでなく、管理姿勢も見ているんですね。

教授:
はい。決算書は結果ですが、経理体制は姿勢です。銀行は、結果と姿勢の両方を見ます。

まとめ――銀行対策ではなく、会社を強くする経理へ

ミカ:
今日の話をまとめると、銀行が嫌う決算書には三つの共通点がありますね。

教授:
その通りです。
一つ目は、社長と会社のお金が混ざっていること
二つ目は、数字の中身が不透明なこと
三つ目は、利益や費用の認識が実態とズレていること

ミカ:
逆に言えば、そこを直せば銀行から見ても安心感が出る。

教授:
はい。ただし、銀行に見せるためだけに直すのではありません。これらを直すことは、会社そのものを強くすることです。資金繰りが見える。利益の実態が見える。社長個人と会社の区分が明確になる。経営判断が早くなる。銀行への説明も楽になる。

ミカ:
銀行対策ではなく、経営改善ですね。

教授:
まさにそれです。銀行は、会社の敵ではありません。会社の数字を外から見る、非常にシビアな読者です。その読者に伝わる決算書を作ることは、社長自身が会社を正しく理解することにもつながります。

ミカ:
決算書は、銀行への提出物である前に、社長への報告書なんですね。

教授:
その通りです。そして通帳は、会社の日記です。日記に嘘を書いてはいけません。日記をきれいにする一番の方法は、文章を飾ることではなく、毎日の生活を整えることです。

ミカ:
経理も生活習慣病の予防ですね。

教授:
ええ。役員貸付金は食べすぎ、仮払金は片づけ忘れ、過大在庫は押し入れの不用品、減価償却未計上は体重計に乗らない生活です。

ミカ:
先生、最後だけ急に健康番組になりました。

教授:
銀行評価も健康診断も、基本は同じです。**悪くなってから慌てるより、毎月見て、毎月直す。**これが一番強いのです。

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