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ガストでネコ型ロボットに「完敗」した話。

ネコ型ロボットとの出会い

東京。初めて降り立った駅前で飲食店を物色する。未知の惑星を探索するようなわくわくするイベントだ。だが、結局私が選んだのは、安定の「〇スト」だった。

お腹がぺこぺこなので、席に着くなり、私は速攻タッチパネルを連打した。今日の晩飯は、「博多明太もつ鍋(あごだし醤油)」、君に決めた! ふと店内を見渡すと、そこには現代日本の縮図があった。 ホールを駆け回るのは、東南アジア系らしき女性スタッフが一人。そして、一台の「ネコ型配膳ロボット」。関西の私の地元では、人間7:ロボット3の分担で仕事を回しているようだったが、ここは東京。仕事の8割は鉄のネコが引き受けている。休みなくホールを往復している姿は健気そのもだった。

やがて、彼がやってきた。もつ鍋は熱々だ。コンロもある。てっきり人間が運んでくるかと思っていた。ネコはテーブルの傍で優雅に半周回り、こう言った。
「ご注文の料理をもってきましたニャン」
かわいい・・・。語尾にニャンをつけるだけの安直な言い回しなのに、一撃で心をつかまれてしまう。お仕事頑張ったね。えらいね、と頭をなでたくなる。その後、東南アジア系スタッフがコンロに火を灯すと、ほどなく鍋は煮えたぎり、私は夢中でもつをほおばった。だが、事件は替え玉を注文した後に起きた。

鍋が激しく沸騰しすぎたため、私は一度、固形燃料に蓋をして火を消したのだ。 替え玉を投入し、再び熱々に温めるには、もう一度「火」が必要だ。 当然、替え玉を持ってきたお姉さんが、スマートに火をつけ直してくれるだろう。そうした一連の流れを店では「オペレーション替え玉」と呼んでいるかもしれない。別の呼び方かもしれない。いずれにせよ、私はそう信じていた。
しかし、聞こえてきたのは、あのお気楽なメロディーだった。
「ティロンロンロン、ティロンロンロン」
あいつだ。

わかったのは、人間は来ない、ということだ。オペレーション替え玉はどうなるんだ!?
案の定、ネコは、お椀に入った替え玉ひとつだけを載せ、すました顔で戻ってきた。 私の目の前にあるのは、火の消えた冷たいコンロ。そして、伸びゆく麺。
「ねえ、ロボット、火をつけて」 「ロボット、チャッカマンを持ってきて。お姉さんを呼んで!」
必死の嘆願。だが、最新鋭の配膳マシンは、あの可愛らしい声で言い放った。
「ご注文の料理をもってきましたニャン」 「お食事を楽しんでください」

君は、楽しめというのか、この冷えゆく麺を。

彼は再び陽気なメロディを奏でながら、颯爽と去っていった。 その後ろ姿は、冷徹に「人とロボットの境界線」を物語っていた。敗北感にまみれながら、私は冷たい麺を見つめた。

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「決定的なところで話が通じない」「でも、心をつかまれてしまった。一瞬だけど、信じていた」
私は決めた。人とロボットの境界線を私なりに攻めてみよう。
それには、ロボットを家族にするのがいいかもしれない。
私は、その決意の重さに震える手で
「たまごっち」をポチった。

BellaBotとは何か

ちなみに、この可愛くも無慈悲なロボットは「BellaBot(ベラボット)」。中国のPudu Robotics社が開発した、世界中で引っ張りだこの配膳ロボットだ。

1. 驚異の「回避能力」
ベラボットの背中(?)には、最新のLiDAR(レーザーを用いたセンサー)と3Dカメラが搭載されている。
ぶつからない: 0.5秒以内に障害物を検知し、瞬時に停止。
よける: 人が急に飛び出してきても、まるでベテランウェイターのようにスムーズに回避。
正確な位置把握: 天井に貼られたマーカーや周囲の形状を読み取り、センチ単位で自分の居場所を把握。

2. 働き者すぎる「積載力」
一度に最大40kgまでの荷物を運ぶことができる。
4段の大型トレイ: 複数のテーブルへ一度に配膳可能。

・重量センサー: 料理をお客さんが受け取ったことを重さの変化で感知し、「次はどこへ行けばいいか」を自分で判断する。

3. 計算された「コミュニケーション能力」
豊かな表情: タッチスクリーンに映る目は、数十種類の感情を表現。頭をなでると喜んだり、仕事中に触りすぎると「仕事中だニャ!」と怒ったりする。
音声案内: 料理の到着を知らせる「ニャン」というボイス。これにより、無機質な機械を「店員の一員」として擬人化させることに成功している。

4. そして、決定的な「限界」
「指」は持っていない。だから火をつけることはできない。

そして、気になるお値段は、300万円くらいらしい。これは偶然にもオプティマスが想定している価格とほぼ同じ!

「300万円」対決から見えること

  • ベラボット(配膳特化型)の300万円

    • 役割:トレイを運ぶ、表情で和ませる、障害物を避ける。

    • 現状:導入には補助金が必要な「業務用設備」という感覚。

  • オプティマス(汎用型ヒューマノイド)の300万円

    • 役割:皿洗い、洗濯、買い物、そして「火をつける」。

    • 衝撃:ベラボットと同じ値段で、人間と同じ動きができる「パートナー」が手に入る。

もし同じ値段なら、圧倒的にオプティマスが買われるかもないし、スペックでは圧勝。でも、そのスペックの差を埋めるものとして、「かわいい」があるのではないか。「かわいい」とは「命の手触り」のようなものかもしれない。私はたまごっちで、その「命」の正体を確認しようと思っている。