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【オタ活昔話】ペンライトもうちわもない客席、そして響き渡る地鳴りのような拍手…2017年冬

2017年の冬。私は東京ドームの客席にいました。
ツアータイトルは『KinKi Kids CONCERT 20.2.21 -Everything happens for a reason-』。

このコンサートで、私はこれまでのドーム参戦史上、最もステージに近い席を引き当てました。
その距離、なんと前から5列目。 

端っこのブロックだったので二人の定位置からは少し角度がありましたが、いつものコンサートなら、ステージを縦横無尽に動き回る二人を何度も間近で拝めるはずの、とんでもない神席です。

しかし、このコンサートは、私のこれまでの「ドームの常識」をすべて覆す、異例ずくめのステージとなったのです。

夏の20周年イベントから半年。まだ決して思わしくない剛くんの耳の症状を思えば、「一年くらい活動を休止したって、ファンは誰一人文句なんて言わないよ?」と本気で思っていました。

だけど、KinKi Kidsは彼らなりの形で、ファンの前に立つことを選んでくれました。

ドームの代名詞である爆音や、耳に刺激の強いエレキ系の楽器はすべて排除。彼らの背後を埋め尽くしたのは、壮大なフルオーケストラでした。
さらに、視界に入る光の刺激も考慮され、ファンへは「ペンライト・うちわの使用禁止」の協力が要請されました。

そして最初のMC。光一くんが少し申し訳なさそうに、こう切り出しました。

「今日は僕たちは踊りません。こっちの方とかあっちの方とか行ったりもしません。ごめんなさい」

クスッと笑ってしまいましたが、本当に、お二人とも一歩も動いてはいらっしゃいませんでした(笑)。ドームお決まりの外周移動もなければ、ダンスもソロコーナーで光一くんが踊ったくらいです。

5列目にいながら、目の前に二人がやってくることはない。
それでも、私はこのコンサートを「ものすごく、最高のライブだった」と今でも胸を張って言えます。

繊細で壮大なオーケストラの演奏と、二人の唯一無二の歌声が、恐ろしいほどに美しく重なり合うのです。普段からバンドにストリングスが加わる贅沢なKinKiの楽曲ですが、フルオーケストラという極上の衣をまとったそれは、もはや芸術の域でした。

何より、うちわやペンライトを持たないことで、私たちは「二人の歌を聴くこと」だけに全神経を集中させることができました。

耳の調子が悪くて一番苦しいはずなのに、信じられないくらい歌が上手い剛くん。
寄り添うように声を重ねる光一くん。
感動で胸が熱くなり、涙が溢れて止まりませんでした。

そしてもう一つ、強烈に印象に残っていることがあります。
それは、曲が終わった瞬間の「拍手」です。

いつもならペンライトを握りしめているファンの両手が、あの日はすべて空いていました。だからこそ、曲が止まった瞬間にドーム中を包み込んだ拍手の音は、これまでに聞いたこともないような分厚い、地鳴りのような響きを見せたのです。

「すごい……!ドーム中が拍手だけで震えてる……!」

感動して思わず後ろの客席を振り返った瞬間、そこにあったのは、ペンライトの光が1つも灯っていない「真っ黒で漆黒の客席」。
一瞬、その異様な光景に
「うわ、なんか怖いかも💦」
と鳥肌が立ってしまいました(笑)。

それはアイドルのコンサートというよりは、世界最高峰のホールで聴く良質なクラシックのコンサートのようでした。

どんなに不可能な状況であっても、ファンのために今できる最善の方法で歌声を届けたい。そんな二人の執念と愛が詰まった、そして、大きなヘッドホンを付けながら魂で歌う剛くんを、5万人のファンが静かに優しく見守り続けた、奇跡のような冬の夜のお話です。


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