夜店と、姉妹と、最後の休日
夜店で買ったパエリアの紙皿を持って、キョロキョロと、妹たちを探した。場所をあらかじめ取っておいたはずなのに、戻ったら席には誰も、いない。仕方なく、並べられたテーブルの一角を確保した。
少しずつ混雑するなかで、あと3人来るんです…と、恐縮しながら待つも、一向に帰ってくる気配が、ない。
自由すぎるのだ、みんな。
私だって、勝手にパエリアの屋台に吸い込まれるように、ちょっと行ってくる、と消えたわけなので、文句を言う筋合いは、全くない。
くじ引きを終えて、景品を持った妹と甥っ子が戻ってきた。少し遅れて、クラフトビールのプラカップを大事そうに抱えて、もう一人が戻ってきた。
クラフトビールが、ずっと気になっていたらしい。ついでに店員さんが、イケメンだったという情報を聞き、今度は私が買いに走る。
まとまりがない、のだ。
今夜は、たぶん日本で最後の、何気ない休日になる。
今日は朝からずっと一緒だった。花畑が観光スポットになっている、自然公園に行き、お昼を食べて、なんとなくブラブラしながら、ポツポツと日常の話をしながら、過ごした。
妹から、海外に住む、と聞いたのはもう1年以上前で、きっと住むんだろうなと感じていたのは、もっと前。気づいたら、もう最後の休日、だった。
いつもは、疲れ切って「じゃ、またね」ってさっさと解散するんだけど、名残惜しくて、夜のイベントにそのまま向かうことになった。それでも、この感じ。みんなまとめて、ある意味マイペースの集団なのだ。
取り止めもない会話を延々としていたら、いつの間にか、夜店の照明でやっと顔が見える、くらいに日が落ちた。
今夜がもうすぐ終わってしまう。
妹が、もうすぐ遠くに行ってしまう。
ずっと3つで1つだった。3でなければ「私たち」ではない……さみしいよ。本当に。
夜店の賑やかな景色が、なお寂しさを強くさせる。来年も、また来ようねって約束できない切なさが、込み上げる。
だけど、誰も言わない。みんなそれぞれが、静かに自分のなかで、この寂しさを解決しようとしていた。
じゃ、帰ろっか。また、連絡するー!
気をつけて帰ってねー。お仕事頑張りすぎないようにねー。無理しちゃダメだよー。
離れていても、繋がっていることは、絶対的にわかっている。
