過去50年のチャートからポートフォリオを設計する【AI投資研究1】
このnoteでは、AIを使って過去のチャートのデータを入手し、投資ポートフォリオを計算する方法を解説する。使用AIはChatGPT 5.5 Plus, Thinking。優秀なポートフォリオを作れたと思うので、運用成績の画像(図5)だけでも、ぜひ見ていってください。
作成するデータ
さて、さっそくだが、作成するデータは以下の4つだ。配当込みSP500、ゴールド、EDV(仮想)、ドル超短期金利。EDVというのは米国超長期債(正確にはスプレッド債)ETFの名称だ。TLTの方が伝統があるけど、EDVの方が手数料が低くて、より長期債の性質が明確なので個人的に好きだ。
要は何をやりたいかと言うと、株式の代表であるSP500と、ゴールドと、長期債の代表であるEDVと、ドル金利を組み合わせて、強力な投資戦略を探すためのシミュレーションをしたいということだ。
今回はバックテストであり、過去のチャートを使ってシミュレーションする。さらに、長い期間のシミュレーションをするために、50年間分のデータを作成する。
なお、長期バックテストで注意しなければいけないのは、1971年のニクソン・ショックでドルの金本位制が終わったという問題だ。それ以前は(厳密には1944年のブレトンウッズ協定以降は)、法律によってドルとゴールドの価値が同じになっていた。つまり、特にゴールド関係では経済のルールが全然違うのだ。1971年以前と以後では、ゴールドは全く別の性質の資産と言っても過言ではないと思う。
現在から50年前は1976年だから、ちょうどニクソン・ショックの衝撃が落ち着いてきたころだと思われ、そういう意味でも長期バックテスト期間としてちょうどいいと思っている。
作成するデータは日次(一日ごと)データだ。長期シミュレーションだから月次でも良いかもと思うかもしれないが、例えば月次平均データで月末値を参照すると、翌月のデータが平均値の計算に混ざってしまう。そうすると未来予知みたいになってしまって、参考にできないシミュレーション結果が出てしまう。かと言って一時間ごととかにすると、精度はわずかに上がるけど、データ量が膨大過ぎる。という事で、一日ごとに決定した。もしデイトレ的な戦略のシミュレーションをするなら、もっと細かいデータがいると思う。
紹介した4種類のデータを使うのは、代表的というのもあるけど、そもそも50年間もデータが記録されていないという事情もある。例えばオルカンが連動しているACWI指数が開発されたのは1990年であり、それ以前は記録が無い。EDVも2007年から始まったETFなので記録が無いのだが、債券ETFであるため、記録が残っている長期金利から仮想的にETFの価格を計算可能である。
プロンプトの注意点
期間は1976年6月7日から2026年6月4日までとした。まず、SP500は配当込みと配当無しのデータが混ざってることに注意が必要だ。判別法は年平均リターン(CAGR)のチェックがおすすめで、配当込みだと長期平均リターンは11.5%ぐらい、配当無しだと9.5%ぐらいになるはずである。ゴールドやEDVについても、他のデータソースとCAGRがあっているかをチェックしよう。あと、ドル超短期金利で、土日を抜かして7分の5のCAGRにするという凡ミスをAIがやらかしていたので、修正させた。
最近のAIはすごく優秀だけど、50年分の日次データを集めてこいという珍しい要求をすると、いくつかミスをするようだ。このようなミスを見抜くリテラシーが大事だと思う。だいたいの場合、年次データとかはもっと豊富なので、それを突き付けて突っ込むと間違いに気づいて自動修正してくれると思う。
EDVは、仮想的に50年分のEDV価格を作ってと注文すれば、計算してくれると思う。それを、2007年以降に始まったEDVの価格とグラフに並べてほとんど同じであることをチェックした。
作成したデータ
作成した4種類の資産のデータについて、初期投資額1万ドル、つまり約160万円の場合のグラフは以下の通りだ。

成績は以下の表の通りだ。

SP500は、驚愕の240倍だ。しかし50年前の1万ドルは600万円ぐらいの価値らしく、今の約4倍だ。だから円建てでは、60倍ぐらいということだろう。1万ドルの240倍は240万ドルであり、約3億8000万円だ。50年前に600万円投資しておけば、3億8000万円・・。多くの人の生涯収入より多そうだ。
1枚目のグラフは、情報が多い。EDVって2020年ぐらいまではSP500並みの成績だったんだな、とか、ゴールドって時期によってはドルに負けてるんだな、とか。あと、高校の数学に自身が無い人は、縦軸が対数スケール(1目盛が10倍。量じゃなくて倍率。)であることに気を付けよう。普通のグラフにすると、SP500の上昇が激しすぎて、ドルとかは平らな線にしか見えなくなると思う。
年率ボラは年間標準偏差(年間のブレ具合)、最大DDはドローダウンで、50年間の期間中に一度付けた高値からどれだけ下がったかを示す。SP500の場合は下の図の通りだ。

これは対数スケールではない普通のグラフ。SP500の価格じゃなくて、2000年を1万ドルとした時の値。最大DD-55%とは、リーマンショック前2007年ごろの高値から、2009年ごろの低値まで約55%下がったことを意味する。2000年から2010年はドットコムバブル崩壊とリーマンショックが続き、米国株は1930年代の世界恐慌に次ぐ冬の時代だったと思う。2000年前後の高値は、2010年の価格とほぼ同じだ。
ポートフォリオシミュレーション
そんな・・!10年も上がらないなんて!SP500は最強のインデックスではなかったのか!きっと、ショックを受けるでしょう。そんなあなたにポートフォリオシミュレーションの方法を伝授したい。目的は次の通りだ。できるだけ年平均リターンであるCAGRが大きくて、最大DDが小さいポートフォリオを見つける。
で、具体的にどうする?とりあえずAIに丸投げしてみよう。「SP500、ゴールド、EDVの3種類の資産を固定の割合で50年間運用するシミュレーションをする。できるだけCAGRが大きくて最大DDが小さいポートフォリオを探して。」表示されたグラフが次の図だ。

この神秘的な絵は、50年間の人類の経済活動によって描かれている。額縁に入れて家に飾りたい。冗談はともかく、11%近いCAGRを維持しながらDDを-30%以下まで下げることができている。この素晴らしいポートフォリオはズバリ、SP500 57% / ゴールド 23% / EDV 20% だった。まあ、ほぼ60%、20%、20%だ。このポートフォリオを「探索ポートフォリオ」としてAIに記憶させた。(よく使うデータなどは、○○として記憶、などとAIに指示しておくと使いやすい。)探索ポートフォリオも加えたグラフが、次の図だ。

青線がポートフォリオ。平らで綺麗。なおかつ上がり続けている。成績は下の表の通りだ。

成績を見ると、244倍が167倍か・・。と思ってしまうかもしれない。しかし、注目すべきは最大DDの効果だろう。2000年から2010年の範囲を見てみよう。

見よ、これがドローダウン半減の力だ。ドットコムバブルをほぼ横ばいで回避し、リーマンショックでも2年以内に復帰して、その後に高値を更新している。年率リターンを0.8%下げるだけで、この暴落耐性と復帰性能が確保されるのである。(手数料1%の変な信託に比べて、強すぎる。)
追記:なんでDDが大事かっていう話
DDが大事な理由、それは非常にシンプルで、安心して入金できるからだろう。特に大手機関の運用ではDDは重視される。その理由は、何兆円とかいう大金を運用するから、リーマンショックなどを踏んでしまうと再起不能になる確率が高いからだろう。
一方で、個人投資家で、運用資金が自分の年収より低い場合などは、DDを無視してCAGRを追求するのも良いのかもしれない。なぜなら、暴落しても残業や節約でカバーできる規模になる確率が高いからだ。逆に、1億円とか、働いても稼げない規模の運用の場合は、機関と同じようにDDを重視するのがセオリーだと思う。
探索で見つかったポートフォリオを覚えておこう。SP500とゴールドとEDVを57%、23%、20%だ。まあ60%、20%、20%が覚えやすくていいかもしれないし、60%、25%、15%とかでも良いと思う。この3パターンだと、ほぼ成績は変わらないはずだ。あと、SP500をオルカンにしてもいいと思う。って言うか、個人的にはオルカンの方が好きだ。前半に書いたけどオルカンは50年分のデータが無い。ざっくりと株、ゴールド、債券(長期)を60%、20%、20%というバランスをしっかり頭に入れよう。
グラフを見ればわかるが、2020年以降はEDVは調子が悪い。この原因も別のnoteで何回か解説してきたけど、政治経済とか金利の仕組みに興味が無い場合は、あまり気にしなくてもいいのではないかと思う。
加えて、過剰最適化という問題を意識しよう。つまり、探索で見つかったポートフォリオは、「過去50年のチャート形状」から発見されたということだ。だから、過去50年の成績が抜群に良いのは当たり前なのだ。今後もこのポートフォリオが効果を発揮するかどうかは、どれぐらい将来のチャートが過去50年のチャートに近いか次第であると言える。しかし、60%はSP500(またはオルカン)なわけだし、ゴールドやEDVもとても信用度の高い資産だから、普通の積み立てとかと比べて、変な結末になる可能性も低いとは思う。
最後に、運用の基本的な考え方を復習しておこう。CAGRを上げつつも、DDを下げて安心して大規模の運用をできるようにする。インデックスだけの積み立てから一歩踏み出してみたい、そんな人のための問いかけなのではないだろうか。
まとめ
AIで過去50年の株、ゴールド、長期債(EDV)などのデータを入手できる。
CAGRを大きく、DDを小さくするポートフォリオの探索ができる。
運用資金の規模にもよるけど、DDが小さいのはめっちゃ重要。
株、ゴールド、債券(長期)を60%、20%、20%ぐらいが基本。
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この記事は経済および時事問題の解説を目的としており、特定の商品の購入や売却を推奨および助言するものではありません。
この記事は個人的な推測を公表しているだけであり、特定の商品の価格を保証する意図は一切ありません。
この記事を参考にして行った投資、運用、トレーディングなどの取引の結果について著者は責任を取ることは一切できません。
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