調査★AI時代に売れるコンテンツ
このnoteでは、AIとコンテンツの関係について調査した結果を解説するぞ。普段と違って経済系の話題からは離れている。
・AI時代に取り組むべき問題とは?
この記事を書こうと思ったきっかけは、noteのCXOである深津氏による、非常に示唆に富んだ記事を読んだことである。
この記事は、AIの得意・不得意を主に考察している。AIは、現段階では、完璧さや完全性が弱点である一方で、だいたい正しいぐらいの精度で大量の情報処理をすることに関しては、すでに人間をはるかに超えているのだろう。しかしながら、今のAIは修正依頼を理解できるので、人間が完璧だと思う方向に誘導してやることは可能なのである。
以上をふまえると、例えば難しすぎる数学の計算のように、操作する人間が正解を理解できない問題は不向きだろう。また、外科手術のように、間違った操作に対する修正が困難な問題も、不向きだと思われる。
逆に、おすすめの東京旅行プランとか、カレーライスのレシピとか、だいたい正しければ良くて、学習データも豊富な部類の問題は最も得意なのだろう。
・知性を獲得するAI
一方で最近、次のような興味深い記事を見た。
https://www.erdosproblems.com/forum/thread/397
起業家のニール・ソマニ氏がChatGPTで数学(整数論)の未解決問題であるエルデシュ問題を解き、整数論の大家であるテレンス・タオ教授に、その結果の正当性が認められたのだ。
ニール・ソマニ氏はこれまでに機械学習関係の論文を共著者として出版しており、数理的リテラシーはきっと高い方だと推測するが、難解な整数論の専門性は持ち合わせていないはずだ。
要は、テレンス・タオ教授という、何が完璧かを評価できる人間さえいれば、数学の未解決問題だって解けてしまうということである。しかも特殊なAIではなくて、誰でも使えるChatGPTによって。
また、東大の経済学研究科の小川光准教授は、最近東大の広報サイトに次のような記事を掲載した。
経済学を学んでいない他分野の修士課程の学生が、生成AIを使って経済学の論文として出版できるレベルの分析をまとめて提出してきた、という話だ。
つまり、現時点では整数論や経済学などの特に相性の良い分野に限られるかもしれないが、AIはすでに「知性」を獲得しているのだ。2年前ぐらいまでは、AIは過去のデータの統計的解析マシンと言って良かったのだろうが、すでに独創や外挿的思考と呼ばれる機能を有している。
グローバル産業の先行者利益や参入障壁は、経済力以上に人材の水準によって築かれてきた。特に研究開発を起点とする製造業は、まず高度教育人材を育成しないといけないから、とても参入障壁が高かったはずだ。インターネットとカネさえあれば、AIでバンバン研究成果を出せてしまうということなら、その障壁はきっと大幅に下がるのだろう。シンギュラリティ以前に、このような産業構造の破壊が発生すると想像する。
・AI時代に生み出すべきコンテンツとは?
さて、AI時代の問題について考察した。では我々クリエイターは、どのようなコンテンツの作成に向き合えばよいのだろうか?深津氏は、AI時代のコンテンツ論についても、記事を投稿している。
要約すると、AI時代に人間が提供できる付加価値は、「経験」、「コミュニケーション」、「心理的プロセス」といった要素に分類できるということだろう。逆に一般論は、すでにAIの領域であるはずだ。
例えば、「美味しいコーヒーの淹れ方」というトピックは、きっとAI以前はブログやYoutubeで数多く取り上げられていただろう。読者はコーヒーの淹れ方を知りたくてグーグル検索をする。クリエイターは、その読者にどうやって読んでもらうかを工夫してコンテンツを作り、競争する。そういう時代だったはずだ。
しかし、このような一般論はもはやAIで十分で、読者はグーグル検索をもうしていないのだろう。むしろ、読者はすでに一般論をAIで予習しているはずだ。そういった読者層に刺さるのが、以下のような経験ベースのコンテンツということなのだろう。
・・日曜日にコーヒーショップを三軒まわって、店主とコーヒー豆の産地やドリップ方法について話し、その結果、このショップで安くて美味しいコーヒー豆が売っていることが分かった。店主おすすめのドリッパーを買い、淹れてみたところとても美味しかった。来月は有休をとって、隣の県の有名なショップに行きたい。また、奮発して一万円のスイーツを買って、コーヒーと合わせてみたい。
すでに一般論をAIで予習した読者とコメント欄で語り合い、次の記事では有休をとり、一万円を使って得た幸福感を共感してもらう。AIの登場によって、クリエイターの主戦場は、ライフハックや評論から、居心地のいいデジタル空間のようなものへと急速にシフトしているはずだ。
そういった意味では、noteやX、Youtubeなどの発信形式の違う媒体を組み合わせて、より居心地のいいデジタル空間を模索するスタイルが有効なのかもしれない。暇な時に、ついスマホのアプリボタンをタップして見ていたくなるもの、ということだろう。
このような経験ベースの発信が今や「王道」であり、一般論の切り売りは「邪道」なのだろう。
また、深津氏は低品質コンテンツの大量生成についても、警鐘を鳴らしている。AIで没個性的な記事や分析は大量に生成できるようになったが、そういうのでハック的にカネを稼ごうとするのは筋が悪い、という話だ。本当に誰もやってなかった頃は、生成AIでブログを自動生成して大儲けした人がいたらしいが、それはライバルがいない時期にチャンスに気づけたからであって、今ではすぐに陳腐化してしまうのだろう。
・独自性を維持できるのか?
次に注目したいのが、独自性の維持だ。情報化社会がAIで加速し、まさしくこの記事で分析しているように、どういったコンテンツが読者に評価されるのかを言語化するのが、昔よりも容易になったはずだ。
その結果起こることは、後続の模倣者の出現だろう。非常にわかりやすい例として、楽待Youtubeチャンネルを紹介したい。
楽待は不動産投資サイトで、Youtubeチャンネルを開設した8年前は、不動産関係の動画を投稿していたのだ。しかし現在では政治経済や時事問題などの話題について、ワイドショーよりも過激なテイストの議論をするチャンネルへと変化しているようだ。このやり方は、PIVOTやAbemaという先人がいて、それを真似たものだと思って良いと思う。
ネットだとワイドショーよりもコンプライアンスが緩く、過激な報道ができる。そして一定数の読者がそれを望んでいるから、需要がある。しかし、そのような読者の数は一定なのだ。それで、適性のある芸能人や評論家を呼びさえすれば、つまり元手さえあれば、コンテンツが完成するスタイル。
楽待という模倣者が出現したのは、おそらく必然だったのだろう。苦労してネット報道の黎明期でパイオニアになっても、すぐに模倣者との消耗戦に引きずり込まれ、結果的にYoutubeのプラットフォーマーであるGoogleの独り勝ちになっているはずだ。
自分が仮にコンテンツ業でのし上がった後に、独自性を維持できる根拠が重要なのだと思う。
・人間がAIの学習対象を生み出さなくなってきている
さて、人間が一般論コンテンツを生み出すのは割に合わない、という話であった。その結果、AIの学習対象データが増えにくくなっているという興味深い現象が起きているようだ。この問題は、きしだ氏のはてなブログで分析されている。
Wikipediaやブログ、プログラミングコードなどのウェブ上での公開が、AI以後に明らかに減少しているという話だ。理由は非常に単純で、読者が減ったからだろう。みんなAIに聞いて終わりで従来のウェブサイトまで来てくれないから、苦労してコンテンツを追加する意味があまり無いはずだ。
その結果、AIの学習データが減少するという、興味深い現象が生じているようだ。AIそのものの利便性が、AIの性能向上を抑止する方向に作用しているのだろう。
・AIによるAI学習データの生成?
しかしながら、この記事の前半で述べたように、AIはすでに数学や経済学の発見をできる知性を獲得しているのであった。よって、誰かが仕向けさえすれば、AIの学習に適した一般論コンテンツを作る能力自体は、AIは持っていそうな気がする。
もしかして、近い将来にAIが新しいコンテンツをウェブ上に公開し、それをAIが学習して性能向上するサイクルが連鎖的に進行するのだろうか。そして人間の読者はAIに聞くだけで、そのコンテンツ自体は見ない。そんな結末が待ち受けているのかもしれない。
シンギュラリティは、AIによるAIの開発がきっかけで起こるという、ハードウェア側面での知能爆発シナリオがよく想定されていると思う。しかし、すでに現状のシステムで、AIは基礎研究の論文を生み出す知能を獲得しているのだ。この事実は、学習データの自発的生産と性能向上という、データドリブンな知能爆発を予感させる。
・・これは夜明けなのか?それとも、終わりの始まりなのか?
・要約
現時点で、AIは完全性が不得意とされる。
しかし完全性の判定者さえいれば、AIは難解な数学の研究だってできる。
人間は経験ベースのコンテンツを生み出すのが良さそうだ。
真似できるものは、すぐに真似される。
AIの学習対象となる新規コンテンツが減ってきている。
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