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【大人になってから知りたかった お金の基本】🔰第5回 ふるさと納税って結局何がお得なの?― 仕組み・上限・注意点 ―

「実質2,000円で返礼品がもらえる」

ふるさと納税について調べると、必ずと言っていいほど出てくるこの言葉。

でも、ちょっと不思議じゃないでしょうか。

「本当に2,000円でお肉やお米がもらえるの?」

「たくさん寄附すればするほど得なの?」

「税金が安くなるなら、節税ってこと?」

今回は、そんな「知っているようで、実はよく分からない」ふるさと納税について、タクヤさんとミサキさんと一緒にゼロから整理してみましょう。


1.「ふるさと納税、やってる?」

ある日の夜。

タクヤさんとミサキさんは、夕食を食べながらスマホを見ていました。

ミサキさん

「タクヤ、今年ふるさと納税やった?」

タクヤさん

「やってない。なんか面倒そうなんだよね」

ミサキさん

「私、お米にしようかなと思ってる」

タクヤさん

「でもさ、“実質2,000円”ってどういうこと? 2,000円払えばお米がもらえるの?」

ミサキさん

「……そう言われると、私もちゃんと説明できない(笑)」

おそらく、こんな人は多いのではないでしょうか。

まず知っておきたいのは、

ふるさと納税は、2,000円で返礼品を買える通販サービスではない

ということです。


2.そもそも「ふるさと納税」って何?

名前に「納税」とありますが、仕組みとしては自治体への寄附です。

自分が応援したい自治体などに寄附すると、一定の条件のもと、

寄附額のうち2,000円を超える部分について、所得税や住民税から控除を受けられます。

たとえば、控除上限の範囲内で5万円を寄附した場合を考えてみましょう。

5万円を寄附するとどうなる?

寄附額 50,000円

 ↓

自己負担 2,000円

税金から控除される部分 48,000円

つまり、

50,000円 − 2,000円 = 48,000円

この48,000円が、一定の条件のもと所得税や住民税から控除されます。

そして自治体によっては、寄附のお礼として返礼品を受け取れます。

タクヤさん

「なるほど。2,000円で5万円分の商品が買えるわけじゃないんだ」

ミサキさん

「5万円は先に払って、その後に税金の負担が軽くなるのね」

そういうことです。


3.じゃあ、何が「お得」なの?

ここが最大のポイントです。

控除上限の範囲内で正しく手続きをすれば、自己負担は原則2,000円。

そのうえで、自治体から返礼品を受け取れることがあります。

つまり、

税金として負担する予定だったお金の一部について、自分で寄附先を選び、返礼品も受け取れる。

これが「お得」と言われる大きな理由です。

ただし、重要なポイントがあります。

ふるさと納税は、基本的には「節税」ではありません

税金が魔法のように消えて、その分のお金が丸ごと手元に残る制度ではありません。

先に自治体へ寄附し、それに応じて税金から控除を受ける仕組みです。

返礼品があることで、実質的な家計メリットが生まれる。

こう理解すると分かりやすいでしょう。


4.「じゃあ100万円寄附すればもっと得?」

タクヤさん

「だったら100万円くらい寄附すれば、返礼品いっぱいもらえて最強じゃない?」

ミサキさん

「そんなうまい話ある?」

ありません(笑)。

ふるさと納税には、とても重要な「控除上限」があります。

上限を超えて寄附すると、超えた部分まで自己負担2,000円で済むわけではありません。


5.控除上限は人によって違う

ふるさと納税の控除上限は全員同じではありません。

主に、次のような条件によって変わります。

  • 年収

  • 家族構成

  • 配偶者の収入

  • 社会保険料

  • 住宅ローン控除

  • 医療費控除

  • iDeCoなどの所得控除

同じ年収500万円でも、独身なのか、配偶者や子どもがいるのかによって上限額は違ってきます。

だから、

「年収500万円なら絶対○万円までOK」

とは単純には言えません。


6.まずはシミュレーターで確認しよう

タクヤさん

「これ、自分で計算するの?」

ミサキさん

「それはちょっと面倒だね……」

そんなとき便利なのが、ふるさと納税サイトなどにある控除上限シミュレーターです。

年収や家族構成などを入力すると、おおよその上限額を確認できます。

ただし、住宅ローン控除や医療費控除などがある人は注意。

上限ギリギリまで寄附したいなら、源泉徴収票などを使った詳細シミュレーションを利用した方が安心です。


7.ワンストップ特例って何?

次に出てくる謎の言葉。

「ワンストップ特例制度」

タクヤさん

「名前からして簡単そうだけど……」

一定の条件を満たす給与所得者などであれば、確定申告をしなくても、ふるさと納税の控除を受けられる制度です。

代表的な条件は、

① 原則として確定申告をする必要がない人

② 1年間の寄附先が5自治体以内であること

です。

会社員で普段は確定申告をしていない人にとっては、とても便利な制度です。


8.「5回まで」ではなく「5自治体まで」

ここは勘違いしやすいポイントです。

ワンストップ特例は、

寄附5回までではなく、寄附先が5自治体以内です。

同じ自治体に何度寄附しても、自治体数としては1自治体です。

タクヤさん

「北海道の同じ町に3回寄附しても1自治体?」

ミサキさん

「そういうこと。“5回まで”って覚えちゃダメなのね」


9.確定申告する人はどうなる?

一方、次のような場合は、ふるさと納税についても確定申告で手続きします。

  • 医療費控除を受ける

  • 住宅ローン控除の初年度

  • 副業などで確定申告が必要

  • 6自治体以上に寄附した

特に注意したいのが、

ワンストップ特例を申請した後に確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になる

ということ。

その場合は、ワンストップ特例を申請済みの寄附も含めて、すべてのふるさと納税分を確定申告します。


10.お金は一度、自分で払う

もう一つ大切なのが、ふるさと納税は先払いだということ。

5万円寄附するなら、まず5万円を支払います。

その場で4万8,000円が返ってくるわけではありません。

その後、手続き方法に応じて、所得税の還付や翌年度の住民税の減額という形で反映されます。

だから、

「今月お金がないけど、どうせ控除されるから10万円寄附!」

という使い方は避けたいところ。

家計に無理のない範囲で利用しましょう。


11.実際、どの自治体にお金が集まっている?

タクヤさん

「ところで、ふるさと納税ってどこが人気なの?」

ミサキさん

「北海道じゃない? カニとかホタテとか!」

実際、北海道の自治体は非常に強い存在です。

海産物、肉、乳製品など、

「北海道だから欲しい」

と思わせる強力な地域ブランドがあります。

一方、全国トップクラスの寄附を集める自治体を見ると、もう一つ面白い自治体があります。

大阪府・泉佐野市です。

タクヤさん

「えっ、大阪? 北海道みたいにカニが有名なわけでもないよね?」

ここが面白いところです。


12.なぜ泉佐野市はそんなに強い?

泉佐野市の特徴は、

「一つの特産品が圧倒的に強い」というより、ふるさと納税そのものを地域戦略として磨いていること。

肉類や海産物、ビール、泉州タオルなど、幅広い返礼品を展開しています。

さらに、市の直営ふるさと納税サイト「さのちょく」を運営。

多数の外部ポータルからも寄附を受け付けています。

返礼品を提供する地域の事業者とも連携し、

寄附を増やす

 ↓

地場産品をPRする

 ↓

地域企業の販路を広げる

 ↓

地域経済を活性化する

という仕組みづくりまで進めています。

タクヤさん

「返礼品を送って終わりじゃないんだ」

ミサキさん

「ふるさと納税そのものを地域経済につなげてるんだね」

そうなんです。


13.北海道と泉佐野市、「強さ」が違う

ここを比べると、ふるさと納税の面白さが見えてきます。

北海道の自治体

地域資源そのものが強い。

カニ、ホタテ、イクラ、サーモン、肉、乳製品など、

「北海道産だから欲しい」

というブランド力があります。

大阪府・泉佐野市

品ぞろえ・仕組みづくり・マーケティングが強い。

幅広い返礼品をそろえ、地域企業とも連携しながら寄附を地域経済につなげています。

つまり、

北海道 = 地域資源の強さ

泉佐野市 = 自治体の「稼ぐ仕組み」の強さ

という違いが見えてきます。

タクヤさん

「ふるさと納税って、お得な返礼品を探すだけの制度だと思ってた」

ミサキさん

「ランキングを見ると、自治体の工夫まで見えてくるね」

ふるさと納税を知ると、日本の地域経済まで少し違って見えてきます。


14.返礼品は「生活費を下げる」という考え方も

ミサキさん

「せっかくだから高級牛肉もいいなぁ」

タクヤさん

「僕はカニ!」

もちろん、それもふるさと納税の楽しみです。

でも、家計という視点なら、

  • お米

  • トイレットペーパー

  • ティッシュ

  • 冷凍食品

  • 日用品

なども非常に実用的です。

普段必ず買うものを返礼品でもらえば、その分、日常生活の支出を抑えられます。

ミサキさん

「じゃあ、お米とトイレットペーパーにしようかな」

タクヤさん

「カニは?」

ミサキさん

「カニは年末のお楽しみ枠(笑)」


15.でも「返礼品だけ」で選ばなくてもいい

そして忘れてはいけないのが、ふるさと納税の本来の意味です。

それは、

自分が応援したい地域や取り組みに寄附すること。

子育て支援、教育、医療、災害復興、動物保護、地域産業など、自治体によって寄附金の使い道を選べる場合があります。

返礼品から選ぶ。

好きな地域から選ぶ。

応援したいプロジェクトから選ぶ。

どれも、ふるさと納税の使い方です。


16.初心者が気をつけたい6つのポイント

ここまでを整理しておきましょう。

① 自分の控除上限を確認する

② 上限を大きく超えて寄附しない

③ ワンストップ特例は「5回」ではなく「5自治体以内」

④ 確定申告する場合は、ふるさと納税分も申告する

⑤ 寄附しただけで終わらず、必要な手続きをする

⑥ 年末ギリギリではなく、余裕を持って寄附する

これだけ押さえておけば、大きな失敗はかなり避けられます。


17.そして、二人で選んだ返礼品は……

一通り仕組みを理解した二人。

タクヤさん

「よし。今年はちゃんとやってみよう」

ミサキさん

「まず上限を調べてね」

タクヤさん

「了解。じゃあ返礼品は……カニ!」

ミサキさん

「またカニ(笑)。お米も必要でしょ」

二人でスマホをのぞき込みながら、あれがいい、これがいいと返礼品を選んでいきます。

お米。

お肉。

日用品。

そして、タクヤさん念願のカニ。

何気ない、いつもの二人の時間。

ところが――。

タクヤさんが突然、スマホを置きました。


18.「ミサキ、ちょっと真面目な話していい?」

タクヤさん

「ミサキ……ちょっと真面目な話していい?」

ミサキさん

「なに? 急にどうしたの?」

さっきまでカニを選んでいたタクヤさんの表情が、少しだけ真剣になります。

タクヤさん

「今日さ、ふるさと納税の話をしてて思ったんだけど……」

ミサキさん

「うん?」

タクヤさん

「これから先も、一緒に暮らして、一緒にご飯を食べて……」

「お金のことも、将来のことも、一緒に考えていきたい。」

ミサキさんは黙ってタクヤさんを見つめます。

そしてタクヤさんは、少し照れながら続けました。

タクヤさん

「それで……」

「これからもずっと、一緒にふるさと納税の返礼品を選びたい。」

ミサキさん

「…………え?」

少し間が空きます。

ミサキさん

「そこ、ふるさと納税なの?(笑)」

タクヤさん

「いや、違う違う(笑)」

そして今度こそ、真剣な表情で。

「ミサキ、僕と結婚してください。」

ミサキさん

「……はい。」

そして少し笑って、

ミサキさん

「でも、毎年カニばっかり選ぶのは禁止ね(笑)」

タクヤさん

「じゃあ、お米とカニ半分ずつで!」

二人の「お金の基本」は、ここから少しずつ、

二人の「人生のお金」へ。

変わっていくことになります。


19.「実質2,000円」の本当の意味

ふるさと納税は、最初は少し複雑に見えます。

でも基本はシンプルです。

ふるさと納税の5ステップ

① 控除上限を調べる

 ↓

② 上限の範囲内で寄附する

 ↓

③ 返礼品を受け取る

 ↓

④ ワンストップ特例または確定申告をする

 ↓

⑤ 税金の控除を受ける

そして、一番覚えておきたいのは、

「2,000円で返礼品を買う制度」ではない

ということ。

制度を理解したうえで使えば、ふるさと納税は家計にも、地域にも役立つ仕組みになります。


まとめ

ふるさと納税は、

「実質2,000円で返礼品がもらえる」

という部分だけが注目されがちです。

でも大切なのは、その裏側にある仕組みを知ること。

自分の控除上限を確認する。

必要な手続きをする。

そして、自分が応援したい自治体を選ぶ。

さらに人気自治体を見てみると、

北海道のように地域資源を武器にする自治体もあれば、泉佐野市のように仕組みやマーケティングを磨く自治体もあります。

ふるさと納税を知ることは、日本の地域経済を知ることにもつながります。

そして――

お金について一緒に話すことは、

「これから、どんな人生を一緒に送りたいか」

を話すことなのかもしれません。

タクヤさんとミサキさんのお金の勉強も、新しいステージへ進みます。


次回

第6回 NISAとiDeCo、結局どっち?

― 投資・老後・長期資産形成 ―

結婚を決めたタクヤさんとミサキさん。

二人で将来のお金について考え始めた、ある日――。

ミサキさんの体に、ちょっとした変化が。

「もしかして……」

ドラッグストアで買った妊娠検査薬。

結果は――

陽性。

嬉しい。

でも同時に、こんなことも頭に浮かびます。

「子どもの将来のお金、どうやって準備しよう?」

NISA?

iDeCo?

それとも、こどもNISA?

次回は二人の新しいライフステージとともに、NISA・iDeCo・子どものための資産形成をゼロから整理していきます。


※本記事は、ふるさと納税制度の基本的な考え方を分かりやすく紹介することを目的としています。制度・税制・控除条件などは変更される場合があります。実際に利用する際は、総務省、国税庁、各自治体などの最新情報をご確認ください。

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