Honda(7267)なぜ「手=Honda」なのか?― ASIMOから約40年。多指ハンドはフィジカルAI時代の武器になるのか ―
🐕 カブ太「ヒューマノイドの“手”ならHondaって聞いたけど、本当にそんなにすごいの?」
🐈 ミケアナ「Toyotaも昔からロボットを研究しているよね。」
🐧 ペンカット「技術だけじゃなく、いつ商売になるのかも重要だね。」
ドーナッツロボティクスの小野泰助社長が語った、
🖐 「手=Honda」
という話。
HondaとロボットといえばASIMOですが、
「昔からロボットを研究しているから」
だけでは投資理由として弱い。
そこで今回は、
Hondaの多指ハンドには本当に競争優位性があるのか。
そして、
いつ事業になるのか。
ここまで掘り下げてみます。
1.ASIMOの技術は終わっていなかった
Hondaがヒューマノイド研究を始めたのは、
1986年。
2000年にはASIMOを発表し、その後もロボティクス研究を続けてきました。
そして現在、その技術を受け継いで研究されているのが、
Hondaアバターロボットと多指ハンド
です。
Hondaが目指しているのは、
人間のために作られた道具を、そのままロボットが使えること。
ネジをつまむ。
ハサミを使う。
工具を握る。
箱を持つ。
ヒューマノイドを本当に社会で働かせるには、
「歩ける」だけではなく「人間のように手を使える」
ことが重要になります。
2.Hondaハンドは何がすごいのか?
Hondaの最新多指ハンドは、
16自由度
最大関節速度 180度/秒
最大連続指先力 50N
50Nを 150秒維持
288チャンネルの触覚センサー
各指先に6軸力覚センサー
45万回以上の実用耐久試験
1.23m/sでの衝突耐性
という性能を公開しています。
Hondaが特に重視しているのが、
器用さ × 力強さ × 耐久性
です。
針に糸を通すような細かい作業から、
小さなネジ、
工具、
重量物まで、
一つの人間サイズの手で扱うこと
を目指しています。
Honda自身も「器用さ・力強さ・耐久性を人サイズで実現」することを多指ハンドの特徴として掲げています。
3.個人的に注目したのは「45万回」
私は16自由度より、
45万回以上の耐久試験
の方にHondaらしさを感じました。
ヒューマノイドのデモでは、
「こんなことまでできる!」
という器用さに目が行きます。
しかし工場で本当に使うなら、
1回できるだけでは意味がありません。
毎日、何百回、何千回と同じ作業を繰り返す必要があります。
Hondaは45万回以上の耐久試験に加え、
5kgの重量物を持ち上げる試験を2万4,000回
実施しています。
つまりHondaが作ろうとしているのは、
研究室で器用に動く手ではなく、現場で働き続けられる手。
自動車や二輪を大量生産してきたHondaらしい発想だと思います。
4.フィジカルAIでは「触覚」が重要になる
もう一つ重要なのが、
触覚
です。
例えばAIが紙コップを持とうとした場合、
強く握れば潰れる。
弱ければ落ちる。
人間は、
「滑った」
「柔らかい」
「もう少し力が必要」
という情報を指先から取得し、無意識に握力を調整しています。
Hondaの多指ハンドには、
288チャンネルの触覚センサー+各指先の6軸力覚センサー
が搭載されています。
つまり、
👀 見る
↓
🧠 AIが判断する
↓
🖐 触る
↓
⚙️ 力を調整する
↓
🧠 学習する
という、
フィジカルAIのループ
につなげられる可能性があります。
多指ハンドは単なる機械部品ではなく、
AIが現実世界に触れるためのインターフェース
になるわけです。
5.Toyotaと比べてもHondaが「手」では面白い
ここで一つ気になるのが、
「Toyotaもロボットを研究しているのでは?」
という点です。
その通りです。
Toyotaも2017年にヒューマノイド、
T-HR3
を発表しています。
T-HR3は、
32軸+10本指
を持ち、全身の力を制御するトルクサーボ技術を搭載しています。
さらに改良された「マスターハンド」では、操作者がロボットの指一本一本から力覚を感じながら操作でき、
コインをつまみ上げる
ほど繊細な作業も実現しています。
Toyotaも相当なロボティクス技術を持っています。
ただし両社には少し方向性の違いがあります。
Toyota → 手+腕+全身の協調制御を重視
Honda → 多指ハンドそのものの性能をかなり深く追求
という印象です。
特にHondaは現在、
16自由度・50N・288ch触覚・45万回耐久
と、ハンド単体の具体的な性能をかなり詳細に公開しています。
したがって公開情報だけから判断すれば、
日本の自動車メーカーの中で「多指ハンド単体」に最もフォーカスし、現在の性能を具体的に示しているのはHonda
と言ってよさそうです。
ただし、
「Hondaの手がToyotaよりすべての性能で上」
とまでは言えません。
Toyotaはハンド単体の最新比較スペックをHondaほど細かく公開していないからです。
6.なぜ小野社長は「手=Honda」と考えたのか?
ここは慎重に見ておきます。
小野社長が、
なぜHondaのハンドを評価したのか
を詳しく説明した一次資料は、公開情報では確認できませんでした。
したがって、理由を本人の発言として断定することはできません。
ただHondaには、
人間サイズで、器用さ・力・触覚・耐久性を組み合わせた実機
があります。
純国産ヒューマノイドを作るなら、
🧠 AI
👀 視覚
⚙️ 関節・減速機
🖐 ハンド
を一社ですべて作る必要はありません。
日本企業の得意技術を組み合わせればいい。
その「手」の候補として、
約40年間ロボティクスを研究してきたHonda
が出てくるのは理解できます。
7.ただし「Hondaが世界一」ではない
ここは投資家として冷静に見たいところです。
Hondaの16自由度を超える多指ハンドは海外にもあります。
さらに、
AIとの統合
量産
事業化
では海外勢が先行しています。
つまりHondaの強みは、
「指の数が世界一」でも「AIが世界一」でもありません。
むしろ、
人間サイズで、器用で、強く、触覚があり、何十万回も使える手
という、
工業製品としての総合性能
に競争力がある可能性があります。
実際、2026年にHondaのロボティクス研究責任者は、最新ハンドについて**「人間のように働ける実用レベルにようやく到達した」**との認識を示しています。
8.最大の課題は「事業化」
そして最も気になるのが、
いつ商売になるのか?
です。
Hondaはアバターロボットについて、
2030年代の実用化
を視野に開発を進めています。
しかし2026年時点でも、
量産開始時期
販売価格
年間生産台数
多指ハンドの外販
といった具体的な事業計画は公表されていません。
つまり、
技術は面白い。
しかし、まだビジネスになっていない。
ここが現在のHondaロボティクス最大の弱点です。
9.投資家として一番見たいのは「ハンド外販」
だから今後、私が特に注目したいのが、
🖐 Hondaが多指ハンドを外販するか
です。
例えば、
Honda製ハンド
↓
国内ヒューマノイドメーカーへ供給
↓
量産開始
↓
海外メーカーにも採用
となれば、
Hondaのロボティクスは、
研究 → 部品事業
へ変わります。
Honda自身が完成ヒューマノイドで世界一にならなくても、
「ヒューマノイドの手を供給する会社」
になる道があります。
現時点では、多指ハンド単体の売上も利益も開示されていません。
したがって今は、
収益事業というより将来のオプション価値
として見るのが適切だと思います。
10.現時点でのHondaハンド評価
私なら現在のHondaをこう評価します。
ハンド機構 ★★★★★
器用さ・力 ★★★★★
耐久性 ★★★★★
触覚 ★★★★★
AI統合 ★★★☆☆
量産化 ★★☆☆☆
事業化 ★☆☆☆☆
つまり、
「技術はかなり面白い。でもビジネスはこれから」
です。
Hondaを今すぐ、
「フィジカルAIの本命銘柄」
と呼ぶのは早い。
しかし約40年間積み上げてきたロボティクス技術が、フィジカルAIの登場によって再び意味を持ち始めているのは非常に興味深いと思います。
おわりに
「手=Honda」は本物になるのか?
🐕 カブ太「Toyotaもすごいけど、“手そのもの”ならHondaは面白そうだね。」
🐈 ミケアナ「でも技術がすごいことと、儲かることは別ね。」
🐧 ペンカット「研究から事業に変わる瞬間がポイントだね。」
まさにそこだと思います。
Hondaの多指ハンドは、
世界最多の自由度ではない。
事業化でも、
海外勢より先行しているわけではない。
Toyotaという国内の強力なロボティクス研究企業もあります。
それでも、
器用さ・力・触覚・耐久性を人間サイズで成立させる
というHondaの多指ハンドには、独特の強みがあります。
今後チェックしたいのは、
多指ハンドの外販
量産計画
AI企業との提携
他社ヒューマノイドへの採用
そして、
ロボティクスの売上開示
です。
ASIMOから約四半世紀。
約40年間積み重ねてきた研究が、
「技術」から「事業」に変わるのか。
「手=Honda」は、まだ完成した投資テーマではありません。
だからこそ、
その転換点を追いかけてみたいと思います。

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