「いい企画」より、「説明できる企画」が強い
「何か面白い企画ない?」
仕事をしていると、そんな言葉を聞くことがあります。
新しいキャンペーン。
SNSの企画。
Webサイトのリニューアル。
社内の新しい取り組み。
企画というと、どうしても「新しいアイデア」や「面白い発想」に目が向きがちです。
もちろん、それも大切です。
でも僕は、企画を考えるときに、アイデアの斬新さより先に気になることがあります。
「なぜ、この企画をやるのか?」
ここが説明できない企画は、どれだけ面白そうでも、途中で迷子になりやすいと思っています。
「面白い企画」から考えると、目的を見失うことがある
たとえば会議で、
「最近ショート動画が伸びているから、うちもやってみよう」
という話が出たとします。
別に間違いではありません。
でも、ここで一度「なぜ?」を挟んでみます。
なぜ、動画なのか。
誰に見てもらいたいのか。
その人に何を伝えたいのか。
見てもらったあと、どうなってほしいのか。
ここに答えられないまま、
「とりあえず動画を作る」
となると、企画そのものが目的になってしまいます。
企画を考えるときに大事なのは、
「何をやるか」より、「なぜやるか」を先に整理すること。
僕はそう考えています。
「説明できる」は、プレゼンが上手という意味ではない
ここでいう「説明できる企画」は、話し方が上手だったり、立派な企画書を作れたりすることではありません。
もっとシンプルです。
少なくとも、次の3つを自分の言葉で説明できること。
誰の課題なのか
どんな課題を解決したいのか
なぜ、この方法を選ぶのか
たとえば、
「採用のためにInstagramを始めます」
だけだと、まだ施策の説明でしかありません。
一方で、
「30〜40代の応募者が、応募前に職場の雰囲気を知りたい。でも採用サイトだけでは日常の様子が伝わりにくい。そこで、普段の仕事やスタッフの様子をInstagramで継続的に発信する」
まで整理できると、企画の見え方が変わります。
なぜInstagramなのか。
どんな投稿をするのか。
誰に届けたいのか。
それぞれにつながりが出てきます。
つまり、説明できるということは、それだけ企画の解像度が上がっているということです。
Web施策も、「施策」から考えると迷子になる
これはWebマーケティングでも同じです。
「SEOを強化しよう」
「広告を出そう」
「SNSを始めよう」
「ホームページをリニューアルしよう」
こうした話はよくあります。
でも、SEOも広告もSNSも、すべて「方法」です。
たとえば、
「サイトのアクセスが少ないからSEOを強化しよう」
という企画があったとします。
一見、自然に見えます。
でも、本当に解決したいことが「問い合わせを増やすこと」だったとしたら、原因はアクセス不足とは限りません。
アクセスは十分あるけれど、問い合わせページまで進んでいないのかもしれない。
サービス内容が伝わらず、比較の途中で離脱しているのかもしれない。
そもそも、問い合わせではなく資料請求の方がユーザーにとって行動しやすいのかもしれません。
そう考えると、
課題 → 原因 → 解決方法
の順番で考える必要があります。
施策から考えると、
SEO、SNS、広告、サイト改修
↓
「どれをやろう?」
となります。
一方、課題から考えると、
誰が困っている?
↓
何が障壁になっている?
↓
なぜ、その状態が起きている?
↓
どんな方法なら解決できる?
↓
施策を選ぶ
という順番になります。
同じWeb施策でも、この順番の違いはかなり大きいと思います。
「説明できる企画」は、周りも判断しやすい
企画は、多くの場合、一人では完結しません。
上司や経営層に承認してもらう。
現場に協力してもらう。
制作会社に依頼する。
他部署と調整する。
誰かに動いてもらう必要があります。
そんなとき、
「面白そうだから、やりましょう」
だけでは、相手も判断に困ります。
一方で、
「こういう課題がある。原因はここにあると考えている。だから今回は、この方法を試したい」
と説明できれば、
相手も「やる・やらない」を判断できます。
予算をかける価値があるのか。
他の施策より優先するべきなのか。
実施後に何を確認すればいいのか。
そこまで考えられるようになります。
そして、もうひとつ大きいのが、実施したあとの振り返りがしやすくなることです。
企画の目的や、「誰の、どんな課題を、なぜこの方法で解決しようとしたのか」が明確になっていれば、結果が良かったときも、思うような成果が出なかったときも、その理由を考えやすくなります。
たとえば成果が出なかったとしても、
「企画そのものが悪かった」
で終わるのではなく、
課題の捉え方が違っていたのか
ターゲットがずれていたのか
選んだ方法が適切ではなかったのか
方法は合っていたけれど、実行の仕方に問題があったのか
と、もう一段細かく振り返ることができます。
逆に成果が出た場合も同じです。
「なんとなくうまくいった」で終わらず、何が良かったのかを整理できれば、次の企画にも活かせます。
僕は、企画は実行して終わりではなく、結果を見て、次の判断につなげていくものだと思っています。
そう考えると、
説明できる企画は、実行しやすいだけでなく、検証しやすい企画でもある。
だから僕は、説明は相手を説得するためだけのものではないと思っています。
説明できる状態にすること自体が、企画を整理し、その後の効果検証までしやすくする作業でもあります。
企画に迷ったら、5つの質問をしてみる
僕自身、企画を考えるときに迷ったら、だいたい次のようなことを考えます。
1.誰のための企画か?
対象がぼんやりしていると、企画もぼんやりします。
2.その人は何に困っているのか?
こちらが伝えたいことではなく、相手側の課題から考えます。
3.なぜ、その課題が起きているのか?
目に見えている現象だけでなく、その原因まで考えます。
4.なぜ、この方法で解決するのか?
「流行っているから」ではなく、その方法を選ぶ理由を考えます。
5.何が変わったら成功なのか?
実施したあとに、企画が良かったかどうかを判断する基準を決めます。
この5つを、毎回きれいな企画書にまとめる必要はありません。
でも、少なくとも自分の中では説明できるようにしておく。
それだけでも企画はかなり整理されます。
そして⑤まで考えておけば、実施後に「結果が出た/出なかった」だけを見るのではなく、なぜその結果になったのかまで振り返りやすくなります。
企画力は、「思いつく力」だけではない
企画が得意な人というと、
アイデアが次々に出てくる人。
発想がユニークな人。
そんなイメージがあるかもしれません。
もちろん、それも企画力のひとつです。
でも実際の仕事では、
思いついたアイデアを課題につなぎ、理由をつけて、周囲が判断できる形にする力
も同じくらい大切だと思っています。
だから企画を考えたとき、僕は一度、
「これ、ちゃんと説明できるかな?」
と考えます。
うまく説明できないところがあれば、企画書を書く前にもう一度「なぜ?」に戻ってみる。
「いい企画」を思いつこうとするより、まずは「なぜ、この企画なのか」を説明できるところまで考えてみる。
その方が、実行するときにも、結果を振り返るときにも、強い企画になるのだと思います。
あなたが今動かそうとしている企画、「誰の・どんな課題を・なぜこの方法で」に、自分の言葉で答えられますか?
企画もAIも、「何を使うか」だけでは仕事は決まりません。
AIとの仕事でも、最後に差が出るのは「どう使うか」「どこを自分で考えるか」だと思っています。
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