介護施設のSNS発信が続かない理由|「兼任担当者」の負担を減らす仕組みづくり
「SNS担当」と呼ばれていても、実際にはほかの業務との兼任。そんな介護施設は少なくありません。
続かない理由はやる気不足ではなく、忙しい現場でも続けられる仕組みがないことにありました。今日は、兼任担当者でも息切れせずに続けられる工夫を共有します。
「SNSをお願いします」と任された兼任担当者
介護施設では、ホームページやSNSの発信を専任担当者ではなく、施設長や採用担当、現場スタッフが兼任しているケースが少なくありません。
以前ご一緒した介護施設のYさんは、広報や採用に加え、日々の入居者対応も担当していました。「そろそろSNSを本格的に始めましょう」という話になったとき、投稿のネタ出しから撮影、文章作成まで、すべてYさんお一人で担当することになったんです。
最初の1〜2週間は、休憩時間を使ってレクリエーションの様子を撮影し、スマホで文章を打ち込むほど熱心に更新していました。「これで少しは施設のことを知ってもらえるはず」と、前向きな気持ちで取り組んでいたのを覚えています。
「サボっているわけじゃないのに」
けれど、月末の入居者募集の対応や、急なスタッフの人手不足が重なると、SNSはどうしても後回しになります。今日は無理でも明日、明日も無理なら来週、と先延ばしにするうちに、気づけば投稿の間隔はどんどん空いていき、1ヶ月以上アカウントが止まっていたこともありました。
久しぶりにお会いしたとき、Yさんはパソコンの画面をそっと閉じながら、ぽつりとこうおっしゃいました。
「サボっているわけじゃないのに、なぜか後ろめたいんです」
忙しい業務の合間を縫って頑張っているのに、それでも自分を責めてしまう。この言葉がずっと心に残っていて、今回の記事を書くきっかけになっています。
SNS担当という仕事には、複数の仕事が含まれている
この話を伺って気づいたのは、SNSが続かない原因は「やる気」でも「センス」でもなく、ネタ出し・撮影・執筆という性質の異なる作業を、たった一人が最初から最後まで背負う運用設計にある、ということでした。
「SNS担当」とひとことで呼ばれますが、実際には
企画を考える
現場を撮影する
文章を書く
内容を確認する
投稿する
という、性質の異なる仕事が含まれています。企画を考えるには頭を使いますし、写真を撮るには現場のタイミングだけでなく、ご利用者様やご家族への掲載確認も必要です。それを文章にまとめるにはまとまった時間がかかります。これだけ違う種類の仕事を、日々の業務と並行して一人でこなそうとすれば、どこかで息切れするのは当たり前のことなんです。
専任担当者がいなくても続けられる3つの分担
とはいえ、中小規模の施設で「担当を何人も増やす」のは現実的ではありません。大切なのは、人数を増やすことではなく、一人ですべてを完成させない仕組みをつくることです。
たとえば、こんなふうに分けられます。
①出来事を共有する人
現場スタッフが、その日の出来事を社内チャットなどに一言投稿する。「今日は七夕の飾り付けをしました」「利用者様と夏野菜を収穫しました」。文章まで書いてもらう必要はありません。
②写真を撮る人
レクリエーション担当者や、その場にいるスタッフが2〜3枚だけ撮影する。撮影担当を一人に固定せず、行事や勤務日に合わせて分担します。
③投稿にまとめる人
兼任担当者、または外部パートナーが、集まった素材を文章にして投稿する。
こうすると、担当者の仕事は「ゼロからネタを考える」ことではなく、集まった情報を整えることになります。役割を分けるといっても、新しく担当者を何人も置く必要はありません。「出来事を伝える人」「写真を撮る人」「投稿にまとめる人」を分けるだけでも、負担は大きく変わります。
施設内で難しい部分だけ、外部に任せる
施設内だけで分担するのが難しい場合は、企画や文章作成など一部の工程を外部に任せる方法もあります。
担当者おひとりに「SNS運用、お願いね」と丸投げするのではなく、テーマ出し・構成づくり・撮影・文章化という工程ごとに作業を分けて、負担が大きい部分だけを、外部にお願いすることもできます。
そうするだけで、施設側の担当者には、現場で起きた出来事や写真、写真の掲載確認をおこなっていただき、企画や文章化など負担の大きい部分を外部のパートナーさんに支援を行っていただけます。これまで介護施設の情報発信に関わるなかで、役割を整理したことで、止まっていた発信が再び動き出すケースを見てきました。頑張りすぎなくても、ちゃんと家族や求職者に届く仕組みをつくること。それが、私たちがいつも大切にしている役割だと思っています。
まとめ|頑張る人を増やすのではなく、負担を減らす
まずは「投稿を作る人」を決めるのではなく、「ネタを伝える人」「写真を撮る人」「文章にする人」に分けるところから始めてみてください。
SNS発信が続かないのは、担当者の努力不足ではありません。頑張り方ではなく、続け方を変えることが大切です。
あなたの施設では、SNSのネタ出し・撮影・文章作成を、誰が担当していますか?
