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「問い合わせを増やす」だけでは、Webサイトの目的にならない

「このWebサイトの目的は?」と聞かれて、
「問い合わせを増やすこと」と答えていませんか。
それだけでは、実はサイトを設計するにはまだ少し足りません。

介護施設のWebサイトであれば、

入居相談を増やしたい。
見学予約を増やしたい。
採用応募を増やしたい。

といったゴールを設定することは多いと思います。

もちろん、どれも間違いではありません。

ただ、「入居相談を増やす」と決めただけでは、

何を伝えるのか。
どんなページが必要なのか。
どんな写真を使うのか。
どこに問い合わせへの導線を置くのか。

までは、なかなか決まりません。

今回は、Webサイトの目的をもう一段掘り下げて、成果につながるまでの“途中”をどう設計するかについて考えてみます。

同じ「入居相談を増やす」でも、必要な情報は違う

たとえば、施設を探しているご家族が2組いるとします。

一方は、

「持病があるけれど、この施設で受け入れてもらえるだろうか」

と医療面を気にしている。

もう一方は、

「月々、実際にはいくら必要なのだろう」

と費用面に不安を感じている。

どちらも最終的には「施設に問い合わせる」という行動につながるかもしれません。

でも、その手前で知りたいことは違います。

医療面に不安がある方には、受け入れ可能な医療行為や看護体制、緊急時の対応など。

費用面に不安がある方には、月額費用だけでなく、追加で発生する可能性のある費用や、その内訳など。

それぞれが判断するために必要な情報があります。

つまり、

「問い合わせを増やす」というゴールだけでは、まだサイトに載せるべき情報は決まらない。

ということです。

「誰に・何を伝え・どう動いてほしいか」まで考える

Webサイトの目的を考えるとき、僕はもう少し細かく分けて考えたほうが、サイトの設計につなげやすいと思っています。

考える順番は、

誰の、どんな不安や課題に対して

何を伝えることで

どんな判断をしてもらい

どんな行動につなげたいのか

です。

たとえば医療面の例なら、

医療対応に不安を感じているご家族に、
受け入れ可能な医療行為や看護体制を伝える。

そこで、

「この施設なら、一度相談してみてもよさそう」

と感じてもらう。

そのうえで、

空室状況を確認する。
見学について調べる。
問い合わせをする。

という流れを考えます。

整理すると、

事業上のゴール
入居相談を増やす

ユーザーの不安
医療対応が可能か分からない

伝える情報
医療・看護体制、受け入れ可能な対応

ユーザーの判断
自分の家族でも相談できそう

次の行動
空室確認、見学案内を見る

最終的な行動
問い合わせ・見学予約

ここまで決まってくると、

「医療体制について、もっと具体的なページが必要かもしれない」

「そのページから空室確認へ進めるようにしよう」

と、サイトの具体的な設計に落とし込めます。

写真ひとつも、「目的」が決まると選び方が変わる

これは、ページ構成だけの話ではありません。

たとえばサイト制作の打ち合わせで、

「トップページにはどんな写真を使いましょうか」

という話になることがあります。

そこで、

「施設の雰囲気が伝わる、明るい写真がいいですね」

だけで決めてしまうと、選定基準が少し曖昧です。

でも、

「入居後の暮らしが想像できず不安を感じているご家族に、日常の様子を伝えたい」

という目的が決まっていれば、

必要なのは建物のきれいな外観写真だけではなく、

食事の場面なのか。
共有スペースで過ごしている様子なのか。
スタッフとの自然な関わりなのか。

伝えたい内容に合わせて、撮影する素材や選ぶ写真も変わります。

つまり、

目的は、ページの構成だけではなく、写真やコピーといった一つひとつの制作判断にもつながっている。

ということです。

気づくと、「何を載せるか」の話になっている

サイト制作では、最初は

「入居相談を増やしたい」

という話からスタートしていても、

打ち合わせが進むうちに、

「トップページの写真はどうする?」
「施設長メッセージは載せる?」
「この設備も紹介したほうがいい?」

と、いつの間にか**“何を載せるか”の話が中心になる**ことがあります。

もちろん、どれも必要な検討です。

ただ、そのときに

「これは誰の、どんな判断を助けるための情報なのか」

に立ち返れると、情報の優先順位を整理しやすくなります。

逆にここが曖昧なままだと、

あれも載せたい。
これも伝えたい。

と情報は増えていく一方で、ユーザーにとって何が大事なのかが見えにくくなることもあります。

「目的を決める」というのは、ゴールを書くことではなく、制作途中の判断基準をつくることでもあるのだと思います。

問い合わせの前にも、「小さな成果」がある

Webサイトでは、問い合わせや応募のような最終的な成果を「CV(コンバージョン)」と呼びます。

ただ、実際のユーザー行動は、

サイトを見る

すぐ問い合わせる

というほど単純ではありません。

その途中には、

料金ページを見る。
医療体制を確認する。
FAQを読む。
空室情報を見る。
見学について調べる。
電話番号をタップする。

といった行動があります。

こうした、最終的な成果につながる途中の行動を**「中間CV」**として見ることがあります。

ここを考えておくと、サイトを公開したあとにも役立ちます。

たとえば仮に、サイトへのアクセスはあるのに問い合わせが少なかったとします。

問い合わせ件数だけを見れば、

「成果が出ていない」

で終わってしまうかもしれません。

でも実際には、

医療体制のページまでは多くの人が見ている。
料金ページにも進んでいる。
ただ、見学案内の手前で離れている。

という状態かもしれません。

そうなれば、

「どこまで検討が進み、どこで止まっているのか」

を考えられます。

最終的なCVだけではなく、その手前の行動を設計しておくことで、改善の手がかりも増えていきます。

成果は、「最後のページ」だけが作っているわけではない

もうひとつ、Webサイトを見るときに意識したいことがあります。

たとえば、あるご家族が、

トップページ

医療体制

料金

よくある質問

見学予約

という順番でサイトを見て、最終的に見学を申し込んだとします。

申込みが発生したのは「見学予約ページ」です。

でも、それだけで

「見学予約ページが成果を生んだ」

とは言い切れません。

医療体制のページで、

「ここなら対応してもらえそう」

と思ったのかもしれない。

料金ページで、

「この金額なら現実的に検討できそう」

と判断したのかもしれない。

FAQを読んで、

最後に残っていた不安が解消されたのかもしれません。

そう考えると、コンテンツは

「そのページから直接問い合わせが発生したか」だけで評価するものではない

ということが分かります。

ユーザーの判断を少しずつ前へ進める。

それも、Webサイトのコンテンツが持つ大切な役割です。

目的が具体的になると、制作側との会話も変わる

目的をユーザーの行動まで分解しておくメリットは、もうひとつあります。

それは、制作会社やデザイナーへの依頼も具体的になることです。

たとえば、

「医療体制のページを作りたい」

だけでは、何を重視して設計すべきかまでは伝わりません。

でも、

「医療対応に不安を感じているご家族に、受け入れ体制を理解してもらい、見学検討につなげたい」

と共有できれば、

どんな情報を載せるか。
どの情報を目立たせるか。
次にどこへ進んでもらうか。

制作側も目的をもとに提案しやすくなります。

サイト制作は、ページの数や見た目を決めることだけではありません。

ユーザーが何に迷い、何を知り、どう判断して次へ進むのか。

その流れを共有することで、制作する側と運用する側の判断もそろいやすくなります。

ただし、設計した通りに動くとは限らない

ここまで考えてサイトを作っても、ひとつ忘れてはいけないことがあります。

それは、

公開時点では、まだ仮説でしかない

ということです。

想定したページが本当に読まれるのか。

その情報で不安は解消されるのか。

こちらが考えた順番で、次のページへ進んでくれるのか。

これは、実際にサイトを使ってもらわないと分かりません。

だからこそ、

目的を決めて作る。
実際のユーザー行動を見る。
必要に応じて内容や導線を変える。

この繰り返しが必要になります。

Webサイトは、公開した日に完成するものではなく、
ユーザーの反応を見ながら、少しずつ育てていくもの。

次の記事では、この「作って終わりにしない」という考え方を、もう少し掘り下げてみます。


「問い合わせを増やす」はゴール。
Webサイトで考えたいのは、その手前にある“人の判断”なのかもしれません。

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