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北海道一人旅 2日目|雨の帯広をドライブ

【雨と寒暖差の帯広】
2日目の朝はあいにくの雨。あとから知ったのだが、夏の帯広でこれほどしっかり降るのはかなり珍しいらしい。前日の30度近い真夏日から一転、気温は18度まで急降下。「昨日の猛暑は幻だったのか」と疑いたくなるほどの寒暖差に身を縮め、「めちゃくちゃ寒い…」と独りごちながらホテルを出た。街全体が冷たい湿気に包まれ、旅の始まりを少し厳しく試されているような気がした。

気温は18度

【朝食】
朝8時にレンタカーを借り、まずは「ますや商店 麦音」へ向かう。広々とした店内には焼き立てのパンがずらりと並び、香ばしい匂いが鼻腔をくすぐる。店外の庭へ出ると、緑の敷地内にばん馬の家族が佇んでいた。あの大柄な体躯でありながら、庭をしなやかに疾走する姿にしばし見惚れてしまう。「これほど巨大な生き物が、こんなにも軽やかに風を切るのか」と、北の大地の生命力に朝から圧倒された。

オシャレなパン屋さん
手前の夏野菜のパン美味しかった
子 父 母 かな?

【幸福駅】
続いて向かったのは「幸福駅」。男一人で足を踏み入れるには少し照れくさい名だが、次の目的地へ行く途中にあったから立ち寄ったまでに過ぎない。だが、行ってみて正解だった。ホームに佇む旧型の車体やレトロな車内の空間は思いのほか良く、失われた時代へとタイムスリップしたような錯覚に囚われる。

幸福駅
昔の電車
レトロでめっちゃいい

【予定外の六花の森で雨宿り】
雨脚が強まり、雨宿りを兼ねて「六花の森」へ立ち寄る。本来は予定になかったが、雨のおかげで出会えた静寂の園だ。敷地内でお菓子をつまみ、静かな緑を眺めて過ごす。木々の葉を打つ不規則な雨音が心地よいBGMとなり、「ただ雨をやり過ごす時間」すらも贅沢な旅の余白へと変わっていった。

ロダンの石をモチーフにしてるらしい
六花亭の名物
こういうのも買ってみた

【何もない一本道と北海道ドライブ】
車を走らせると、どこまでも果てのない直線道路と牧草地帯が広がっていく。すれ違う車も稀で、ただ風を切る音だけが響く。観光地でも何でもないただの道端なのに、切り取るフレームのすべてが絵になる。「何もない」ということ自体が、ここ北海道では最高に雄弁なコンテンツなのだと走りながら実感する。


【豚丼とソフトクリーム】
昼飯は帯広名物の豚丼と決め、目星をつけていた店へ。しかしいざ到着すると豚丼の提供はしていないという。調べておいたマップの注記を見落としていた自分の落ち度だ。肩を落としつつ、代わりに注文したソフトクリームを口にする。その濃厚な甘さが、冷えた身体と拍子抜けした心に優しく染み渡った。「思わぬ遠回りのあとに食べる甘味も、悪くない」と自分を納得させる。

一旦ソフトクリーム

【不発に終わった然別湖の「湖底線路」】
気を取り直して然別湖(しかりべつこ)へ。湖面へと吸い込まれるように沈む「湖底線路」のノスタルジックな風景を楽しみに向かったが、増水のためかレールは完全に水没していた。往復1時間以上も山道を走らせた結末がこれか、と静かな落胆が押し寄せる。「思い通りにいかない不条理こそが、後で一番思い出せる旅の隠し味になる」と自分に言い聞かせ、湖を後にした。

なんか違う

【念願のナイタイ高原牧場と真っ白な頂上】
今回レンタカーを借りた最大の目的地、日本一の広さを誇る「ナイタイ高原牧場」へ。山を登るにつれ期待は膨らんでいたが、頂上に到着した瞬間に広がっていたのは、一面の濃霧だった。雄大な大絶景は白く塗り潰され、視界は数メートル先すら覚束ない。天気が「本当の姿を見たければ、またここへ戻ってこい」と意地悪な宿題を突きつけているようでもあった。一度の旅で完璧を求めすぎるなという北海道からの無言のメッセージかもしれない。そう思えば、この真っ白な落胆も悪くない再訪の口実になった。

高原へ続く道
到着したけども
牛は見えたからまだいいか

【遅めの昼食】
あまりの白さに苦笑いしつつ、昼飯を食べ逃していたことを思い出す。頂上のテラスで手にしたナイタイ和牛のハンバーガーを頬張ると、肉汁とジューシーな旨味が空腹にじんわりと染み渡った。絶景は見えなかったが、この味覚の記憶だけはしっかりと心に刻まれた。

店内の照明で綺麗に撮れなかったけど

【返却ギリギリの焦走】
時計を見ると返却予定時刻が目前に迫っていた。焦燥感に駆られ、ナビの到着予想時刻と睨めっこしながら必死に車を走らせる。結果、18時の返却に対して15分の遅刻。今回の走行距離は約260km、タイムズの請求額は見事に1万円を超えていた。「広大な北海道を舐めてはいけない」という現実的な授業料を、財布の痛みとともに支払った瞬間だった。

【悲願の豚丼】
夜、ようやく辿り着いた店で悲願の豚丼と対面する。香ばしい豚の脂と濃厚なタレが絡み合い、米をかき込む手が止まらない。昼の徒労感が一気に吹き飛ぶほどの美味さだった。帯広の歴史において「牛は乳牛、馬は馬力」として重宝された結果、豚を食べる文化が根付いたという説明書きを読みながら、「じゃあ豚は食べていいんかい」と心の中で密かにツッコミを入れ、波乱に満ちた2日目の夜を終えた。

豚丼美味しい

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