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【1959話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~

1959.祭りの後

 程無くして、賑やかだった表門前の広場には、巨大で臭いカメ、爆睡中の豚猪、ノイローゼ気味の魔術師、一仕事終え腰を下ろす赤竜、魔術師を励まそうと思案を巡らすミロブロ、草叢でジージー鳴いてるバッタだけを残す事になるのであった。
 当然寂しい、こちらは静寂、しくは閑寂かんじゃくだろうか。

 場のムードにつられたのか、ギレスラはいつに無くしみじみとしたトーンで言う。

『なあ南の池の長老よ、様々な事に目処めどがたったのならば慌てる事も無いのでは? その姿に愛着だってあるのだろう? ましてや本拠は海、であろ? 臭いなんて気にしなくても良いのだ』

 言い出した癖にここに来てマッチポンプかよ? 大人な長老はそんな事は言わない、こちらも落ち着いた声音で返す。

『フォフォ、気に病む事は無い、もう決めたのじゃからのぉ…… しかし、はやそんな気が使える様になったんじゃのぅ~、あの小さな竜の赤子、ギィ・アレィがここまで大きく育つとは、ましてや故郷を失しての事、生半なまなかな苦労では無かったじゃろうに……』

 ギィ・アレィは竜語で長寿を意味し、その後ろにスラァを付ければ意は『長寿の王』、つまりギレスラの名前になる。
 因みに、通常ニンゲンが発音し易い様に使用しているギレは『口曲がり』の意で、普通に考えれば生まれたての子供につける名前として有り得ない、ってか付ける親は狂っていたりするのだろう。
 直訳すれば『口曲がりの王様』だ、嫌がらせとしか思えない。

 爺キトラの発音は正確だっただけでなく、どこか温かみすら感じる親愛や情緒、砕いて言えば家族的な身近さみたいな物も含んで聞こえたのである。

 ギレスラはちょっと前から続けていた口呼吸を維持する事も忘れて長老に向き直り、臭さも気にせず言う。

『長老、アンタは竜語での我の名を知っている、のか? 何故なのだ?』

 キトラはギレスラに顔を近づけて不思議そうに返すが、その様からは自分が臭いとか迷惑だとかの意識は微塵も感じられない! そーゆー所なんじゃないかなっ?

『儂が名付けたのじゃ、『長寿の王』たれ、とな♪ 忘れる訳は無かろうが、ギィ・アレィ・スラァ、ギレスラよ』

『え』

 ギレスラは思った、近いと想像以上に臭くて辛い、と…… そしてついでに思った、このコ汚ないカメが名付け親? 親? えっ、おっ、親ぁっ! と。

『パッパッ! ギガァッ!』

 近付いていたキトラの顔に、予備動作無しで抱きついたギレスラは大きく叫んだ、叫んだ後、吸気と共に目鼻口耳が酷くしみて痛んだが構わず抱きついた手と翼に力を込める、マジだったらしい。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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