【2297】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
2297.火が出る様な
更に、ペジオが感じた疑問点にも間違いは無い、何でアイツが? そうなのだ、このセラミック製らしい結晶=塩、はレイブ自身ではなく付け人的な毒蛇人間、シュカーラこと四桐鯛男が撒いていたのである。
しかも自身の主人だろうレイブに向けてオーバーハンドスローで思いっきり投げつけている、浮かべた表情もどこか憎々しげで本格派のフォームが印象深い、経験者かな? 茶っ葉スポーツ少年団とかかな? ペジオはそう推測していた。
表面上はともかく、付け人とかも本音じゃ色々あるのかな? そう納得したペジオは自分の所作に集中する事とした。
だが、二字口も房も無い只のありふれた神殿の瓦礫の中である、清浄な力水の入手すら怪しい状況で、ペジオに出来るのはさっき拾い上げたジルコニアっぽい粉末をポイッと投げる事しか残されていなかった。
そのまま蹲踞、ってかウサギ立ちで待っていたペジオの目は再び驚愕に見開かされる事になる。
ここら辺が仕切りかな? そんな目測で少し中央に移動したから見る事が可能になった事実、毒蛇人間はセラミックの粉を撒いてはいなかった件、である。
「あれは、ウミガメの卵? いや、ピンポン球、なのか? ウグっ!」
横綱シュカーラが見事なフォームで投げていたのはウミガメの卵に酷似した球体であり、卵でなければペジオが指摘した通り、正にピンポン球、それ以外ではサービスエリアや地方のお土産物屋さんで見る孫の手の握り側についているイマイチ使い道が判らないゴム製の奴位だろう。
そいつが粉々に砕かれた状態で土俵、っつーか瓦礫の中の空スペースに撒き散らかされていた理由は単純、投げ付けられたレイブに当って破砕され、そのまま飛び散ったからである。
その事実に気が付いた瞬間、破砕されず完全体のセラミック球がペジオの額にジャストヒットしたのである。
中空らしく重さこそ無かった物の、酸化チタンの正方晶系、つまりチタニア製の一撃である、額から流れ出た血潮はそこそこ健康を害するレベルだった。
しかし、流れる血液も髄に走る変な違和感も、二人を見つめるペジオの視線を動かす事は適わなかったのだ。
――――軽いピンポンっぽい玉とは言え今の速度はっ! 目測だが106マイル、170キロは出ていた筈…… いやいや寧ろ軽量で指先で摘む事しか出来ない玉、いや球でこの速度が可能だとは、並々ならぬ投球技術…… 正にチャップマン、いや狙いを過たぬ緻密なコントロールの制御、ここぞと言う場面での胆力をも鑑みれば寧ろベンジョイスより? だろうか? こいつは驚いたぞ…… 世が世なら数シーズンだけで一生遊んで暮らせ――――
「ギャッ! 痛ってぇーっ! 何なんだよっ! ……あれ? でも何かおかしいな?」
思索の途中で第二弾が左の目に飛んで来た、たちまち腫れ上がる瞼のままでペジオは分析に戻る。
――――この硬さ…… どうやらルチル型、か…… ご丁寧にアナターゼ型かブルッカイト型から転移済みとはね、恐れ入ったぜ…… だが…… ピンポン球が縦綱を通り過ぎた様に見えたが? あんな安定したフォームのファイヤースローワーが投げ損じたのか? むっ! 又かっ! ※ルチル型は酸化チタンの最安定構造でアナターゼ型やブルッカイト型を高温で加熱する事で転移させます 詳しくお知りになりたい方は調べて下さい
「グっ! な、なんのこれしきっ!」
元々が野ウサギベース、黒み掛かった茶色の眼球は見る間にアルビノっぽく朱に染まる、あっ、今当たったのが右目だから両目とも、である。
悶絶レベルの痛みにもめげず、腫れ上がった瞼を見開くペジオ、中々の根性、いやガッツと言おう、流石あの寺の関係者だけはある、凄いぞ!
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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