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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1150.真剣勝負


 美形の先生とやらは、どうやら速攻を得意としているらしく、先の手刀しゅとうに続けて連続で抜き手を放ち続けている。
 無論、きゃくも織り交ぜての攻撃であったが、こちらも早さを旨としたショートニー、ショートローを多用している。
 その全てが空を切っていたのである。

 脅威の回避力に仕切り直そうとわずかに身を引いた瞬間、その脇を駆け抜けたレイブの姿は影すら見止められ無い程の高速であった。

 先生の美しい顔を苦痛に因る歪みが浮かぶ。

「くっ! は、早いな……」

 切り抜けた先に目をやるが、当然そこにはレイブの姿は無くなっており、いつの間にか元居た場所に戻っているではないか。

「ぴょん!」

 前歯を唇から少しだけ覗かせて小さく跳躍しているレイブの両手はウサギの耳のつもりだろう、即頭部から上に伸ばされていたが、右手の先端には先生の物と見られる鮮血が滴り落ちている。
 ウサギ張りに無感情な表情にヒクヒクと蠢き続ける鼻の動き…… 割と上手い分だけ少し気持ちが悪い。

 ギレスラの声もイマイチ乗りが悪いようだ。

『うむ…… 見事な攻撃だが…… なんかあのリスの真似みたいだな……』

 ペトラは首を振りつつ即座に打ち消す。

『ううん、ウサギは齧歯げっし類じゃなくて兎形とけい類、全然別物なのよ!』

『ふーん……』

 どうでも良い情報がもたらされる中、美形の先生は戦法を変えるらしい。
 脇腹の怪我を気にする素振りすら見せずに、全身から溢れさせた闘気をその身に纏い始めると、徐々に全身を金属質な光沢が有る銀色に変じさせていく、鋼体術だ。

 少し遅れて額から突出した角は中央から一本、見慣れたズィナミの双角より幾分太く、又長くも見える。
 切り裂かれた筈の脇腹も、肉体の強化によって傷がピタリと閉じ、治ってはいないものの出血を抑える事に成功しているようだった。

「ふぅ~、こうなってしまってはあまり優しくはしてやれんぞ…… 自分でも制御しきれないんでな、ふふふ、ふーっ! 痛い、痛たたたたぁー!」

 話している最中に脇腹に飛び移っていたバッタのテューポーンが、塞がり切っていない傷口に鋭い蹴りを入れグリグリ抉っていたらしい。
 怒りの形相で捕獲を試みた先生であったが、いち早く離脱したバッタはペトラの頭上でシャドーキックを再開している。

「手を出すな! これは一対一の真剣勝負だっ!」

 レイブの叱責の声が響く。
 自分が圧倒的に有利な立場になってから、他者の介入を制する辺り、流石の一言である。
 脇腹を押さえて激痛に耐えていた先生とやらは、少し意外そうな表情を浮かべてレイブに言う。

「ほぅ、ニンゲンとしての矜持きょうじはまだ失っていないと見える、どう言う訳か魔力に犯されてはいないらしいな」

「当然だボケ! 泣かしてやるっ、グオオォー!」

 乱暴に答えた後、上げていた両手のてのひらをカギ爪状にしたレイブは仁王立ちになりながら歯を剥き出して吠えた。
 パッと見クマっぽい威嚇のポーズは、やや前傾を維持して今にも飛び掛りそうになりながらもその場から動く気配は無い。

 グオォはブホォに、やがてバオォに変わるまで、銀色の先生は用心深く間合いを保ち、全身を硬化させている魔力を自身の前面に集中させ始めている。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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