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【2030話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~

2030.戦場の天使

 駆け付けた当初から搬送を担った地竜のリーダー、ヴァミスがステナの背に話し掛ける。

『お疲れ様ですステナさん、ようやく落ち着いて来ましたね』

 ステナは水の入った皮袋を片手に返す。

「ええ、何とか…… あちらは、あの恐ろしい鏡はどうですか?」

『今はミロンさんとブロルさんの二隊、それに我々ドラゴンの守備隊がしっかり見張っていますのでご安心を』

「そうですか、でしたらこれ以上の被害拡大はありませんね、良かったです」

 とてもしっかりしている。

 思えば全ての歴史において、名を残した英雄や悪漢、救世主や天才や時代の寵児、彼等の偉業の影にはこうした誠実で真摯な無名者の支えや犠牲が存在していたのだ。
 如何なる豪傑や知恵者でも後世に語り継がれる大業を個で成し遂げる事は稀だ。
 人は独りでは何も出来ないし、それは哺乳類や爬虫類でも同じだろう。
 種として脆弱だからこそ繋がりを求めて社会を構築し、その維持の為に我を制して手を取り合って助け合い、共栄を目指して努力を続ける…… それが様々な形で強者に抗し得たからこそ地に勢を張る事が出来たのである。

 社会の中で誤差とも言うべき特性を見出し、その役目を全うする事には時に困難や苦痛が伴う。
 しかし、全体の成長や維持、明日の安全の為には、滅私で向き合う直向きな日常が不可欠なのである。
 誰かの仕事のお蔭で自分や家族の平安が担保されているのだ、自分の行いもどこかの誰かの為になるように…… そんな一握いちあくの思いが結集された群れ、それが組織であり国であり社会の成り立ちであり求められる姿であろう。

 かつてナガチカが作り上げたクルン=ウラフは、閉じられ強固な結界と再生雨によって守られた小さな社会であり、求道者であるドラゴンが集い隷従れいじゅうする魔獣とだけで暮らす竜王の里も又、独自の倫理と目的意識に支配された極めて狭小な価値観だけに囚われていた集団と呼べるだろう。
 全く違う社会を構築していたそれぞれが、違いを乗り越え、いや、互いの違いをこそ頼みにして融合する為、その機会は壊滅的な危機が発生する事、悲劇ではあるがそれも歴史が証明した事実なのだ。

 今、令和の時代にコユキが残した悪臭が二つの社会を結び付ける一助となった、これが歴史である。
 トカゲベースで結構でかいヴァミスとヤモリ人間っぽいステナは無論、全っ然違う。
 違うがやはりどこか似ている、ってか共通点はあり捲る、鱗とか尻尾とか。
 異なる社会が融合する際、この少しの類似点が親しみへの切欠きっかけとなったりするのだ。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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