【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1438.流民
クルン=ウラフの森を東に抜けた先は広大な湿地が広がっている。
冬には延々と続く凍土で覆われる不毛の地も、暖気が流れ込むこの季節には、命の気配が一層強く感じられる場所へと変化を遂げる。
春夏秋と呼ばれる季節では無く、冬以外と表現した方がしっくりと来る短い繁殖期に、湿原に生きる生物たちは一斉にその数を増やし自らの種を存続させようと試みを始めるのだ。
かつてシベリアと呼ばれたこの地の厳しい冬は容赦なく命を奪う。
死の遺産として残された有機物はさまざまな微生物や菌類によって分解され、大気にメタンを、湿地に腐食を経た泥炭を満たす。
ある意味で命の残滓と新たな捕食による繁殖が溢れるこの場所は生命の集積地と呼ぶ事が出来るだろう。
一見不毛にも見える湿原には、冬を仮死や冬眠で乗り越えた虫や蟲、それらを元としたモンスターが捕食の為に身を潜め、弱肉強食が繰り返される魔力スポットの側面も持っている。
この地を進む寡黙な群れがあった。
泥に足を取られながら漂う腐臭に顔を顰め、先行者の背から遅れぬ様、黙々と歩き続ける集団は、ほんの数日前まではこの時代の世界で最も豊かで安全な民と呼ばれていたアイユの里人、クルン=ウラフの獣人達である。
一向にはアイユの里周辺の部落民も合流し、その総数は万に届く程であった。
様々な獣の特徴を持ったニンゲン達の中に、先頭を進む巨大な豚猪とタイゴンの姿が見える。
今や流浪の民と化したクルン=ウラフの守護獣、ダソス・ダロスと、取り敢えずの目的地である竜王の里への道先案内を務める魔獣、キャス・パダンパだ。
二頭ともその身に様々な物資や道具を山積にして重たそうな足取りで湿地を切り進んでいる。
後続の獣人達の背や手にも、大量の荷物や子供、老人などが負われたり引かれたりしている事が見て取れる。
群れのそこかしこに分散し、周囲を警戒しながら進んでいる体格に恵まれた者達も同様に荷を負ってはいるが彼等の手には様々な武器が握られている、どうやら狩猟部隊を中心とした戦闘要員が一般人を警護しているらしい。
全体に陰鬱なムードが漂う流民の行進の中、最後尾付近に目を移すとそこだけが一種独特な雰囲気である事に気がつく。
そこそこなサイズの豚猪にそこそこなサイズのドラゴン、それに一際目を引く馬鹿みたいに大量の荷を背負った黒衣の青年の周囲だけやけに享楽的で楽しげな気配に満たされているのだ。
『ドンドコドコドン、ドンドコドン! あーやっぱり楽しいわね♪ 皆で行進ドンドコドン! 行け行け行け行けドコドコドン!』
「な? 足元が歩き難いのも中々面白いよな!」
『ね♪ ドロドロ祭りよドンドコドンッ! えへへへ♪』
「おじさんジャンプしてっ!」
「ん、ジャンプか? んじゃ飛ぶぞ、落ちるなよぉ、それぇ、ピョーンッピョーンッ! どうだぁ?」
「「「あはは、楽しーい♪」」」
「そうかそうか、なはは♪」
「すみませんレイブさん」
「なんのなんの」
『ステナよ、全っ然っ気にしなくて良いぞ、寧ろレイブの方が子供達に遊んで貰っているのだ』
「えぇでもあんなに沢山の荷物を持たれて、その上子供達のお世話まで……」
『大丈夫だってば♪ こんなの学院の物流業務に比べたら全然ホワイト、超楽勝なんだからぁ♪』
「そ、そうですか」
『うむ心配要らんぞ! それよりも……』
そこそこサイズの赤竜は話しながら後方にちらりと視線を移す。
そこには今にもぶっ倒れそうな覚束ない足取りで荒い呼吸をしているヘビ顔獣人の姿があった。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
Copyright(C)2019-KEY-STU
いいなと思ったら応援しよう!
励みになります (*๓´╰╯`๓)♡