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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1030.ギレスラ


 ギレスラの記憶は卵から孵ったその瞬間から始まっていた。
 分厚い殻を頑張って破ったその先に待っていたのは、真紅の竜がひしめき合って生まれたての自分を覗き込む一種異様な光景であった。

 同じ年に産み落とされた卵は十六個だったらしい。
 その中で無事孵化出来たのはギレスラただ一頭のみだった。

 ハタンガの北にあった山脈は竜の里である。
 様々な種類の竜種が思い思いの場所で暮らしていた。
 沼地の浅瀬や乾燥した低山の山岳地帯、豊かな草原や半分地下に沈んだ洞穴の中、それぞれが種族にあった場所で思い思いの生活を送っていたのである。

 北の山脈の頂上付近に暮らしているのは真紅の竜、ニーズヘッグだけである。
 ギレスラの種はニーズヘッグ、極寒の地で生を受け生涯を寒さと飢えに耐えて過ごし、その忍耐力によって同じ竜達からも尊崇の念を持たれている一族だ。

 ニンゲンや獣、モンスターに比べて寿命の長い竜種はそもそも繁殖能力が低い生き物である。
 百頭を超える竜の里で産み落とされる卵は、毎年十個程度に過ぎない。
 それを考えれば、ギレスラと同じタイミングで産み出された卵が十六個だったことは、例年に無い多産だったと言えるだろう。

 偶然なのか、はたまた親世代の竜達が、無意識下で何かを感じ取り、いつに無い繁殖行動に勤しんだのかは定かでは無いが……
 普通で数年、長い時には十年以上もの間、卵のままで過ごすニーズヘッグの卵が腐る事無く無事に孵化出来たのはこの里で数十年ぶりの事であった。

 里は歓喜に包まれた。
 数百年以上生きているニーズヘッグの長老たちは、真紅の鱗に包まれた赤子に、ギィ、アレィ、長く生きる者と名付けた、ギレスラである。
 名付けの儀式で大きな声で鳴いた彼に里の竜達、とりわけ真紅の鱗を持つ者達は満面の笑みを浮かべたものだ。

 因みにだが名前の後ろに付けられたスラァは竜の言葉で王を表して、ジグエラのエラァは強き者、ガイランゲルのゲラゥは孤高、カタボラのブゥラァは優しさを意味している。
 つまりギレスラは生まれてきた直後に、長寿の王であれ! そう願われていたのである。

 言葉のみならず、里の竜達は彼を庇護し続け、その思いやり溢れる視線と真心の中でギレスラは何も不自由する事無く育まれていった、六歳になるまで、であったが……



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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