【1903話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
1903.右翼を立てよ
頼りにならないと判断したレオニードは空を飛べる知り合い、地竜ヴァミスに慌てた声で問う。
『ヴァミス、空中で右旋回するにはどうすれば良いんだっ?』
ヴァミスは地竜だ、当然飛翔はあまり得意ではない。
『右に行くなら右側の翼を立てるんだ、風をはらんで旋回出来るぞ』
うん正解だ、但しそれは低速の場合であり一定の速度を超えた場合、エアクラッシュの要因になり兼ねない非常に危険な手段である。
んな事とは知る由もないレオニードは必死の形相でギレスラに向けて叫ぶ。
『右右ぃっ! 右の翼を立てるんだぁーっ! 旋回旋回っ! 右を立ててぇっ!』
声のボリュームは充分だ、後はこのメッセージがギレスラに届けられたかどうかだ。
何しろ息も出来ず目も碌に見えてはいないのだ…… 鼓膜もどうか怪しいもんだし、そもそも意識があるのかどうかも定かではない、相手は発射された弾丸同様、運動エネルギーに抗えぬ無力な赤ドラゴンなのである。
案の定、レオニードの呼び掛けにギレスラの反応は皆無だ、南無三。
レオニードは諦めず身を乗り出して叫ぶ。
『右右っ! ギレスラ君っ! 右を立ててっ! 右だよぉっ!』
叫んだ瞬間、夜虎の肉体は倍程も膨らみ、身を縛った頑強そうなヒモが千切れ飛ぶ。
「あっ! ああ…… ちぇっ……」
レイブは泣きっ面に蜂、更に深く頭を垂れる。
レオニードはたった今引き千切ったヒモを噛み締めて口惜しそうに零す、当然レイブは無視だ。
『チクショウ、届かない、か…… くっ!』
本当に誠実な男、いや雄だ…… 頭が下がる。
時代や地域を越えて、真に誠実な存在とは稀有なものである。
そして、時としてその誠意は奇跡としか表現出来ない出来事を引き寄せる。
『あっ! 親父っ! ギレスラ叔父さんがぁっ!』
猛スピードでグラムランドの顔をかすめて崖にまっしぐらだった弾丸に、僅かな変化が見えた。
レオニードの叫びが届いたのか、これまでダラリと垂らされていた左の手を胸元近くまで上げてサムズアップをして見せたのである、ビックリだ、失神はしていなかったのだ。
この機を逃すまい、そんな感じで親子の声は高められる。
『右右っ! 右の翼を立ててぇっー!』
『ギレスラ叔父さん、逆っすよ逆ーっ!』
『右だぞー! こっち側立てるんだーっ!』
つられたのだろう、ヴァミスまで自分の小さな翼、当然右側をパタパタやって弾丸ドラゴンに道を指し示している。
これは中々ナイスな指示方法なのかも知れない、何故なら野生児っぽいギレスラが右と左を理解出来ていない可能性もあるからだ。
皆さんならば、茶碗じゃないよお箸の方、だとか、胸に手を置いて鼓動がしない方、だとか? 不意に追い掛けられた時に逃げたくなる方じゃない側の手ぇ、だとか色々言い様もあるのだろうが、野生児で食器自体を使わない可能性、ドラゴンの心臓がてんで明後日の場所にある懸念、更に統計的に不確かで都市伝説とも言われるあるある論なんかじゃアテにならない、つまりやってみせ 言って聞かせて させてみて 誉めてやらねば 竜は動かじ、的なアプローチが最も適している、そう判断したのだろう。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
Copyright(C)2019-KEY-STU
いいなと思ったら応援しよう!
励みになります (*๓´╰╯`๓)♡