【2124話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
2124.蹄と角
『ね、エバンガのそれ凄いじゃない? 丸っきり檻よね、爺動けないし、けらけらけら♪ ソレってスキルなの?』
ふむ、なるほど、エバンガの蹄はカメムシのキトラを囲む様に乗せられているが内部はそれなりのスペースが確保されているらしい、ペトラの言う通り檻っぽくもある。
『ああ、これはトナカイの特徴よ、前の二本の蹄と後ろ二本の補助蹄をバランス良く伸ばしているだけ、言わば種族スキル、かな?』
トナカイの補助蹄、ってか側蹄は確かに季節で伸び縮みする、冬場に雪下の餌を掘る為にスコップ状に変形させるのだが、無論、自在にオンオフさせたりは出来ない、それはエバンガが化け物だから可能なだけだ。
自分の前肢をじっと見つめるペトラ、同じく前に二本、後ろにも二本で基本構造は同じに見える、しかし程無く肢を戻したペトラは無念そうに首を振っている。
『どうしたのペトラ? やらないの? 土を掘る時にも便利よ』
ペトラの返答は溜息混じりだ。
『良い、土なら鼻で楽勝だから止めとく…… 何か閉じ込めた奴に自分の肢が内側から食べられるイメージが浮かんできちゃった…… 恐いわ……』
豚足だからね。
『単なる想像なのにブロルがガリガリ噛んでるビジュアルが、ね……』
『そう?』
イヌ科だからボリボリ食うまであるからね、彼等には歯磨き兼オヤツだ、ナイス生存本能。
ボロリ……
このタイミングで黒ずんだ皮状の汚っいゴミがボロボロと地面に落ちた、大きく戻り切ったエバンガの頭、角からである。
「良しっと♪ これで完全に元通りね♪」
なる…… トナカイだからな、伸び切って硬質化した角からは角袋が剥離され落ちる。
それまでは皆さんもご存知の通り、フカフカモフモフな袋入りの角である、あれ成長途上の証なのだ。
完全に伸びきれば表面の皮膚っぽい奴はこんな感じで落ちるのである。
そして大人として完成直後の角はまだ若い赤色だ、今のエバンガも真っ赤な両角を天に突き上げていたりする、いと王様っぽい、何か格好良いぞ。
『ブフォー! 完っ全っ回っ復っ! っムフゥーッ!』
大人になれば皮は取れる(下ではありません)、自らの復活を確信してふんぞり返る大鹿にラマスは告げる。
「じゃっもうそのお爺さん離してあげなさいよ、可哀想でしょぉ? ほら、惨めで無力な虫けらなんだしぃ?」
っ! ……流石は我が最愛の夫にして最高神で最も美しく慈愛に満ち溢れた絶対神の姉、ギリ見つけましたぁっ! こいつ等の良い所ぉっ! まあ、最後の辺りはいつも通りのヤな感じだったけど…… まあ優しいじゃんっ、コイツぅ!
これはあれだな、まだ自分が魔王入りだと明確に自覚できていない事を鑑みるにラマス本人が生来持っている善性のお蔭だと思われるな…… 裸でもないし蛇を巻き付けてもいないから、まず間違いないだろう。
つまり現時点では人間の方のラマスのが魔王であるラマシュトゥより優位な状況での共生だと言える。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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