【1947話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
1947.息の根
黙り込むキトラ、他の面々も呼吸すら忘れている場でレイブの問いに答えるペトラの声音はどこか凛とすらしている。
『つまり長老の全て、体の外殻は勿論、呼吸器消化器循環器まで全部が匂いの素、臭いって事よ! しかもカメ、よね? カメって尿器官も生殖器官も肛門と共通なの…… 判る?』
『う、う、うああーあぁぁんっ!』
『もうっ、全部よ全部っ! 歩き話し考える臭気なのよっ! 臭い球の化身なのようっ!』
長老の自尊心は崩壊した、カメとして悪魔として、いや地球内生命体として、その全てを失った瞬間と表現して良いだろう。
「ま、まさか全身に広がっていたとはな……」
『道理で臭かったのだ』
『我々ドラゴンも歯は脆弱だ、気を付けるとしよう』
『アペプ殿がきな臭かった理由はそこにあったのか……』
『きな、つーか悪臭かったっすよね? 納得っす!』
『じゃあルッカ、臭い奴に言われたハタンガ行きも中止にしようよ』
『う、うむ、そうだなぁ……』
何だかハタンガへの出兵も回避出来そうな気配である。
そもそもの旅立ちの原因、それが瓦解しそうなムードの到来にレイブは内心でガッツポーズをすると共に深い感謝も同時に感じていた。
長老、臭くて本当にありがとう、と。
さりげなく他の面々から充分過ぎる距離を取った長老、黒竜のアペプでハタンガの副王キトラのオサガメは周囲に臭いを撒き散らさない様、細心の注意を払って涙を流していた。
具体的には土中に顔を突っ込んでワンワンと涙に暮れていたのである。
若しかしたらこの涙も臭いかも…… そうは思いつつも止められない嘆きは続き、不安感と罪悪感に苛まれた彼のSAN値が枯渇した時、不意にその声は届けられた。
他ならない彼の背中、臭い甲羅の上からである。
『ジジ? ジージジー、ギギギ?』
『何じゃバッタ、か? そんな所に乗っては臭いが移ってしまうぞい…… 儂は世界に仇なす臭い球なのじゃからぁ』
『ジジジッ! ギジーギジーッ!』
『お主…… 儂が臭く無いのか…… ってかお主? 若しかしてテューポーンかっ?』
『ジッジッジジジー♪ ジジッジジッ!』
『懐かしいのう~、じゃがの、今や儂は只の臭くて邪魔な年寄りカメじゃ…… こんな爺に構っても何一つ得な事なんぞ――――』
『ジジジージ! ギギッジジッギイギイジ!』
『何っ! 本当かっ!』
『ジジッ♪ ジジージ♪』
『おおぉぉっ!』
バッタと臭いカメは旧交を温めているらしい、慰めになれば重畳だ。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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