【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1467.水魔
未だにガトを信じている、そんな風味を醸し出している一同に、シドは呆れた視線を送ると再び言葉を続ける。
「まあいいや、精々騙されて泣きを見ない様に気を付けるんだね、それより今はレイブ君が受け継いだ善悪のスキルの方が重要なんだ、話を戻すよ」
今迄の必死さはどこへやら、あっさりと話題を切り替えようとするシドにギレスラの方が面食らった感じである。
『えっ、良いのかっ?』
「ん? 良いよ、てか君達がそれで良かったら私にはどうしようも無いだろ? 出来る注意は一通りした事だし、その上でまだ、ガトだったっけ? サタナキア入りの娘が君達の仲間だってんなら、その状況で打てる最善策を模索するしかないじゃないか、違うかい?」
『そうなのか?』
「そうさ、現状に合わせて自分を変えるのさっ、上善は水の如し、兵に常勢無く、水に常形無し、能く敵に因りて変化し而して勝を取る者、これを神と謂う、さっ、ほら私って一応神だからね」
『ほぉ』
『意外だわ、随分冷静なのね、てっきりガトちゃんを敵認定するまで説得され続けるかと思っていたのに……』
「そんなの無駄でしょ? 水急にして月を流さずって奴さ、でも私の言った言葉がいつか助けになるかもしれないから覚えておくと良いよ、水清ければ月宿るって言葉もあるしね」
そう言えばアガリアレプトは水の神、水系最高位の悪魔だったな。
だが水と月を併用する言葉を並べて表現するのは、聞き手を少しばかり混乱させると思うのだが……
まあ私の老婆心に過ぎないか?
事実、この場での聞き手、豚と竜、狼に虎は揃って感心一入といった風情で尊敬の眼差しを向けている。
水を打ったような静けさの中、ここまで無言で何かを考えていたレイブが声を発する。
「呪いのコインは光影さんの遺物…… それを吸収した者にスキルを与える為に残されたって事か……」
シドは元通りの爽やかな声で返す。
「その通りだよ、とは言え私たちが天に向かった頃にはまだ研究の途中だったけどね、あの段階ではイオン化した金にスキルをコピーする所までしか実現出来ていなかったんだよ、その後、吸収させるプロセスを確立させたんだろう」
イオン化した金? ああ、あの激痛を伴う無機物から魔核を作った際の副産物か。
確かコユキが触ってぶっ倒れていたっけな…… コインを吸収する度にレイブがギャーギャー騒いでいたのはそのせいなのか、そりゃ痛かっただろうな……
「なるほど、にしてもシドさん詳しいっすね」
「ああ、スキルを写すのに私のスキル『水影』を使ったからね、言ってみれば中の人、呪いのコイン製作委員会みたいな立ち位置にいたんだよ、私って」
「あーそーゆー、ふむ」
レイブはコインを吸収した時の有り得ない痛みを思い出すと共に、目の前で爽やかに微笑む碧眼の男前をぶん殴ってやりたい衝動に駆られていた。
しかし、まともな亜神(自分達スリーマンセル以外全員)の強さに思いを馳せた時、自称瀕死のシドが結構強そうだな、そんな風に感じた為キレるのを思い止まる事が出来た様である。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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