【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1260.ネオスタンダード
この時代、魔力とは違いなく忌むべき存在である。
ニンゲンを石化させ、魔獣を爆死させ、竜を行動不能の卵へと回帰させる、災厄と呼ばれる物である事は共通の認識であった。
反して生きる者全ては、他者から魔力である命を摂取しなければ生きていけない、そんなジレンマの中で生きてきた事も、又、事実である。
狩ったモンスターは解体され切り分けられた後、太陽と風雪に曝して干し乾かし、ニンゲン達の捕食に足る魔力にまで生命力を減らしてから食べられている。
魔術師は一度、致死量を越える魔力に侵され、魔解施術によって復活する事で、ニンゲンの生活圏から離され、ニンゲンの情と彼等への有益性によって生かされているのが現状なのだ。
その結果、誰しもが悲劇だと感じる出来事が後を絶たないことも、又、現実である。
レイブは勿論、彼が愛して止まないラマスの境遇もそう呼べる物に他ならないだろう。
ほんの一例に過ぎないが、幼い彼女は自分が育った里の人々と共に、不意に襲い掛かってきた魔力災害から必死の想いで逃げたのだ。
その逃避行の途中でレイブと同郷のシパイに出会い、彼に救われた人々の中、彼女はニンゲンとしての魔力の許容量を越えてしまったのである。
そして、既に魔術師として活動していたシパイに託されたのだ。
親や兄弟、知己だって沢山いただろう。
その全てを捨てて、魔術師としての人生を歩み始めた、いいや、選択肢は他には無い、有無も無く、歩まざるを得なかったのである。
そして、道半ば、中途な状況で師匠であるシパイは彼が有していた能力の特異性ゆえに、魔術師ではなくニンゲンを護る結界として生きる事となってしまった。
彼女は依る辺もなく、レイブの元を訪ねて来たのである。
普段の明るい表情でついつい忘れがちではあるが、これがラマスの半生、いいや人生の大部分だと言えるだろう。
改めて言葉にするまでも無く、悲劇だ。
もう一度繰り返すが、彼女に起きた悲劇はこの時代に於ける、ほんの一例に過ぎないのだ。
数え切れない悲しみと無念の上に日常を繰り返している。
それがこの時代のニンゲンにとって当たり前、当然の事なのである。
竜種や獣奴、その他の数え切れない野獣にとっても他人事ではない。
悲劇は文字通りそこいら中に溢れかえっているのだ。
未来永劫変わる事無く続いて行く閉塞感、それが劇的に変化するかもしれない、レイブの閃きは正にその予感に他ならなかった。
「今まで同一だと思われていた魔力に違いが有るんだよな? って事は俺たちに害が有る魔力、魔力災害やモンスターの魔力だけを避けて…… 居留地には無害な魔力を満たす事も、可能? なのかな?」
『その上、魔法を使えない者にも同じ恩恵を与えるアーティファクト付きの生活だぞ、グガァ』
『それだけじゃないわよ! シパイさんの結界術やズィナミ学院長の鋼体術、もしもそんなスキルが同じ様に発動可能になったらどう? 防衛力が桁違いになるんじゃない? それにアタシ達のグルグルやふっ! を皆が使えるようになれば……』
「もう誰も石化や爆死、鱗硬化で死ぬ事は、無くなるの、か……」
『グアラガァーッ! さ、最高ではないかぁーっ! 早くっ、早く魔石を調べなければーっ!』
『こうしている間にも悲劇は続いているわ、急ぎましょ!』
「そうだな! 良しっ、まずは何からだ?」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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