【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1596.慎重と加護
弟子と生徒、立場の違いこそあれ共にレイブに薫陶を受けている二人である。
師に後を託された責任感からだろうか、いつも以上の用心深さを発揮し捲っていた。
例えるならば、渡る気も無い石橋にわざわざ出掛けていって、専門的知識や広範な経験則を有する仲間達と慎重かつ正確な構造計算を重ねた上で、炸薬の選定、雷管の設置、ハンマーチェインの効果に至るまで最適解を追求し尽くした結果、過剰とまで揶揄される安全マージンと非常事態対応要員をきめ細かく配置して、いざ発破解体…… 見事に崩れ落ちた石橋を前に静かに微笑むシュカーラとハンペラ、双方に今更交わす言葉は存在しない…… 一頻り崩れ落ちる石橋を眺めた後は、只、無言のままで互いの手を握り締め、後は最早振り返る事無くそれぞれの一歩を踏み出すのみだ、そう、彼等を求める新たなる現場に向かってである…… 爆破解体の成功に嬌声を上げる人々の喧騒に背を向け歩き去る、サルとヘビに酷似したニンゲンは心中で同じ事を思っていた、誰かが渡っている時に崩落しなくて本当に良かった、只、その一事を一語一句の違いなく、一歩一歩踏み締め続けていたのである…… そんな夢想を思い浮かべた後、『やっぱ爆発とかねーわなー』的に冷静さを取戻し、大欠伸の後、気持ち良く二度寝を決め込む、それ位の慎重さだと表現すれば皆さんにもお判り頂けるだろうか?
心配だ……
兎に角、シュカーラとハンペラの連携プレイは、ここまで自身の正当性を主張し続けて止まなかったヴラドに諦めの言葉を洩らさせる事に成功したのだ。
この結果を以って、慎重に、只々慎重に、時に臆病と謗る心無き声に傷付いたりしながらも愚直なまでに慎重に…… そんな彼と彼女の実直さが実を結んだと言えるのでは無いだろうか? どう? 判る? 心配だ……(アゲイン)
私、観察者が皆さんの理解度に心を配っている間に、慎重極まり無い筈のシュカーラ、言うなれば現場の総責任者的で『全て中止だっ!』『えぇ、し、しかしっ』『全責任は私が取るっ!』っぽい立ち居地だったヘビが、有り得ない行動に出てしまったのである。
「良いでしょう」
「ちゃ、ちゃんシュカっ?」
ハンペラが驚いてしまったのも無理は無い。
漸くヴラドの口から降参宣言とも取れる発言を引き出せたと言うのに、どうした事か動き続ける急所に当てていた二つの鎌を離してしまったのである。
因みにこの行為に対してハンペラが声を上げられた理由は至ってシンプルに、会話の隙にこっそり坑道の入り口まで移動して覗いていたからに他ならない。
残念ながら少し後ろで倒れているギレスラは放置となってしまっていたが、心配はいらないだろう。
何故なら彼女は場を離れる自分の代わりに何より大切な三葉虫の化石、つまりパラドキちゃんをギレスラの頭の上に残して来ていたのである。
きっと死線を彷徨うドラゴンにとってはなによりの励みとなった事だろう。
その証左に先程まで勢い良く流れ出ていた血液も随分止まり始めている事が見て取れた、もうポタ…… ポタ…… って感じである。
加えて全身に及んでいた小刻みな震えもいつの間にか止まっているのだ、静かで微動だにしない、まるで死んでいるかの様に穏やかな姿はきっとパラドキちゃんの加護なんかのお蔭なのだろう、凄いぞっ!
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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