【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1617.彼我の差
いつもならその日の食に心からの感謝を示し、小さめのモンスター位なら生きたまま、断末魔の悲鳴をドレッシング代わりに満面の笑みで踊り食いをするペトラが、やけにデリケートでナーバスな反応である。
やはり病後で気弱になっているのか、若しくは件の会話出来る生き物の死に対する忌避感か、はたまた脳を垂らしたゴシショの無念そうな苦悶の表情がトラウマ生成に充分足りえたからなのか、恐らくその内のどれかが原因だったのだろう、まあ判らないでもない。
「ニャ? ニャー」
怯え切ってしまったペトラを案ずる様に黒猫が足元に近付いて一声鳴いた。
『い、嫌っ!』
「ンギャっ!」
大事な事だけは確り憶えていたらしいペトラに蹴られ、黒猫カーミラは坑道の壁に叩き付けられていた、良かった、そいつ狙っているからな。
しかし当のカーミラ猫は、地面に見事な着地を果たすと平気の平左で歩み戻り、蹴られない程度の距離を隔ててお利口座りで毛繕いなんかしている、まあ猫だしな。
当たり前の様に左右に並んだ鳥と鼠も一切悪びれずにスリーマンセルを熱い視線で見つめていた。
これは猫だからとかニャンパラリとかでは無く、こいつ等本来の力、つまり吸血鬼の中でも突出している不死性故の図々しさや鈍さから来ている物なのだろう、そう言えば登場初期から変に浮世離れしている言動が目に付いていたが、そっちも同様な理由と考えれば得心行き捲りである。
皆さんの時代に置き換えるとすれば、勉強が苦手な人の試験前、運動音痴の体育祭、話下手で対人恐怖症気味な方が営業職への配置転換、それらを苦にしない他者から見れば、
『一々大騒ぎする事無いだろ? 普通にやれば良いだけじゃん』
みたいに一蹴される場面なんかに似ている。
如何に惻隠しようとも他者の痛みなんかは所詮、想像力による部分が多くを占めているのだ。
死なない、いや正確には死ねないか、そんな立場のヴァンプ達には他者の痛みは勿論、自らが傷を負う事にすら特段の感情を持つ必要を感じられないのだろう。
そう考えれば色々と納得できる事柄に気が付く。
ヴァンパイア達はそれぞれ自分の個性や拘りに執着する一方、それ以外の事にはどこか無頓着、無関心な様子であった。
思い起こせば彼等と同等の不死種であるマナナンガルも又、自分達の大怪我自慢や臨死体験だけを誇らしく語っていたしね。
普通ならどれ程忌避しようが絶対に避けられない『死』から解放された時、生き物はそれまで保持していた価値観の多くを手放してしまうのかもしれない、いや、最早必要としなくなる、そっちの方が適切な表現なのではなかろうか?
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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