【1886話】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1886.千尋の谷底
いつしかパダンパはひとかどの魔獣らしく、礼儀や作法をも身に付けていった。
立場が齎す責任感が結果的に息子を育てたのだ。
そう確信した時、厳しく育てて本当に良かった、と…… トラだけど千尋の谷から突き落として正解だった、と…… 心の底から安堵した物だ。
その日からレオニードの指導は激烈を極めた。
預かった子供達を導くのに一切の迷いが消えたからである。
泣き叫ぶ子供達を躊躇なく崖から叩き落し、苦情を申し立てる馬鹿親達は怒鳴り返してやった。
ウチの息子は今度クルン=ウラフの特使に選ばれたんだがっ? いつからかそんな言葉まで口癖となっていた。
最高幹部の四天王が遠方に使いに出ると、なんと、竜王の子供、つまり王太子殿下の傅役を仰せつかるまでになった、爺的な役目だ。
如何に昔から親しかったとは言え一介の魔獣が傅役だ、破格の出世と言えるだろう。
レオニードは得意の絶頂であった。
――――それもこれも、心を鬼にして我が子、パダンパを厳しく育てた結果なのだ! だと言うのにハタンガの奴等はそんな当たり前の道理すら判っていないのだろうか? あんな野生児達を使いに選ぶとは…… いや、しかし…… 強く賢いと評判の我が子、パダンパがあれ程懐いているのだ! いざとなればチャンとするのかも知れないな? そりゃそうか、あっちにも分別を知る者位いるだろうしなぁ……
『あっ! し、しまったぁーっ! お、俺ともあろう者が、と、とんでもない間違いをぉーぉっ!』
『むむっ!』
思索の途中で大声を上げたのは他ならぬ賢くて強く育った倅、パダンパである。
どうやらのっぴきならない大間違いを犯したらしい、はっきり言っているし。
多少おっちょこちょいで過分にヤカラ属性持ちではあるが、自慢の息子がこれ程の狼狽を見せるとは並大抵の事では無い。
幾度かの滑落時、下唇を噛み締めながら悲鳴一つ上げなかった幼い息子の姿を思い出しながらレオニードは事態の詳細を確認だ。
『どうしたっ! なにやら大事らしいなっ! あれか? やっぱりあのスリーマンセルは狂っているとかそーゆーっ? 大切な事を思い出したとかそっち系のあれか?』
それを送り出すまで忘れている様ならお前の倅も狂っているだろう……
驚きでそんな当たり前な事さえ失念している父親の声に、パダンパは振り返って戦慄きながらも真っ直ぐな瞳を向ける。
なんのつもりか母方の祖父譲りの鬣全体を小さな白い花で飾りつけた状態で、だ、中々可憐な感じにも見える。
『ぺ、ペトラ叔母さんに渡した花…… 青いフウロソウだったんだけど…… 今、白いの見付けちゃってぇ! クソッ、こっちのが叔母さんの黒い体毛に映えたよなぁ…… 残念だよ……』
『え? そ、それだけ、か?』
確かに残念だ、掛かる対象はお前自身だけどな。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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