【1972話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
1972.夢の国ニッポン
過去 (ついさっき)の失敗から学んだギレスラは未来の為に声を上げる。
『レイブは日本に向かったのだ! 竜王、そこに繋がる狭い所とはどこだ? ニンゲンで無いと通れない程度の場所らしい、判るか?』
問われたグラムランドは判り易く首を傾げている。
『んー? そんな場所聞いた事も無いぞ? お前等はどうだ?』
『知らねっす』
『ニンゲンサイズだとジャガランディの時の私でも通れる筈ですよね? うーん、ちょっと思い当たらないですよ』
『レオが知らないのならば無いのであろう、若しかしたらアレでは無いか? 辛い現実から離れて楽しい夢の楽園にいきたいとか? ほれ極楽浄土とか来世とか異世界転生とか?』
『おとぎ話っすね』
『ネバーランド的な? です? 現実逃避で妄想の国へ…… ってレイブ殿、本当に死んだ、とか?』
『早まったかな?』
『悲劇っすよ! お、叔父さーんっ!』
この里の顔ぶれは総じてこんな感じなんだな。
予想とかが簡単に伝播して思い込みだけで喜怒哀楽だ…… パラノイアが疑われる、遺伝とか地域に根付いた伝統とかなのだろうか? まあ一年の殆どを雪と氷に閉ざされる極地である、そんな性格になるのかも知れない。
ここよりは幾分マシなシベリア西側育ちのギレスラは、さっさとアテにならないメンバーには見切りをつけ、周囲を見回している。
『…………ペトラはまだ爆睡中、か、弱ったのだ』
賢い担当は気持ち良さそうな寝息を立てている、起こすのも可哀想だし頭から説明するのも面倒だ、そう考えたギレスラはやにわに顔を上げて大声で草叢に呼び掛ける。
『パッパなのだっ! どこにいるのだっ! テューポーンさーんっ!』
パラノイア達は当然驚き、ペトラも煩そうに寝返りを打って背を向けている。
『どうしたニーズヘッグ、発作か?』
『葬式だねギレスラ君…… 私達も参加させて貰うよ』
『お、叔父さーんっ!』
妄執に囚われた彼等にとって、レイブは世を儚んで身罷った事で決定しているらしい。
仕方なくギレスラは説明してあげる、優しい。
『レイブは死んだりしないのだ、昔キトラのパッパがやって来て戻れなくなった日本にヒュドラ用の依り代を取りに向かったのだ! 前向きなのだ!』
『む、ヒュドラ様の依り代を、か……』
『そうなのだ』
『じゃあ死んだ訳では無いんだね?』
『当たり前なのだ! それどころか使命感に燃えて旅立ったのだ死ぬ道理が無いのだ!』
『良かったっす! 燃えろ、叔父さーん♪』
こいつ等洗脳され易過ぎだろ? ここに来てキトラのアペプ、魅了系のスキルは使っていなかった疑惑が噴出した。
兎に角、レイブが死んでいない事が伝えられたギレスラは安堵の表情で言葉を重ねる。
『そうで無くともレイブは容易く命を絶ったりしないのだ! 我と同様に礎に支えられているからな!』
『ほう、礎? それは一体何だ?』
『ニーズヘッグとしての誇りなのだ、未来への責任でもあり今を生き抜く矜持とも成り得る、のだぞ!』
『余の称号、グラムランドの様な物か……』
『それって称号だったのだな、意味はあるのか?』
『ああ、伝説によると元は日本にあった楽園の名前だったらしい、絶対者、最高善であり目的と中庸を司る男神様自身が経営? されていたそうだ』
ああ、財貨に貪欲な坊主の方だな。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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