【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1701.深夜の訪問者
その日の夜、サタナキアのプライベートルームと化した客間を訪ねる少女の姿があった。
やけに大きな赤いドレスに身を包んだ青白い肌の…… まあ、錫埴輪に封じられる前のカーミラのまんまである。
何故かつての姿を取り戻せたのかは不明ではあるが、再現度は中々に高い。
あの時目一杯放出した小水だろう、ドレスの下部がビショビショに濡れていて少し黄みを帯びてもいる、いと臭そうだ。
既に夜中であったが、この夜の満月を眺めて起きていたサタナキアはすぐさま返事をした。
「どうぞ! つっても、どうせヨハンでしょ? 何よ、こんな時間に珍しいわね」
扉を開けて入ってきた少女、カーミラは俯いたまま小声で頭を下げる。
「失礼します、バアル様」
「ん? 見ない顔ね! アンタ誰よ!」
なるほど…… 偽者のサタナキアはこの姿は初見だったな。
カーミラは俯いたままで答える。
「あの、お忘れですか? 私は先日助けていただいた猫でございます」
その口上って世界共通なんだね。
いよいよ恩返しっぽくなって来たカーミラは未だ首を傾げているサタナキアに数歩歩み寄りながら言葉を続ける。
「えっと…… 最近気が付いたんですけどぉ、夜だけこの姿に戻れるみたいなんです! 私って!」
「ん? この姿? アンタがアタシが揉んだ猫だったら元は錫人形じゃ無かったの? 何? アンタ人間だった、って事ぉ?」
「え、あ、はい…… あの…… 五百年位前に罰として錫人形に封印された美少女なんですけどぉ…… お忘れでしょうか? バアル様?」
性懲りも無く又自分で言いやがったな……
だが、化けている相手の名前を強調気味に言われた瞬間、自分の設定を思い出したサタナキアは責めるでも無く慌てて取り繕う。
「え! あっ! ああ、お、憶えてるわよ! 勿論よっ! 忘れる訳無いじゃないのよっ! あ、アレよね、五百年位前にアタシが罰で錫人形に封印した娘だったわよね? 違うっ? そうでしょ?」
うん、それなら全くの無関係な私でも言えるけどね。
にしてもサタナキアも迂闊だな……
今が正体を告白するチャンスだったのでは無いだろうか?
相手はカーミラだけなんだし、恐らく封印を解いてくれた事に感謝していると思われる…… 現世での活動に初めての理解者登場? そんな好機だったと思うのだが……
そんな私、観察者の老婆心は例の如く伝わる事無く、愚かで世間知らずなサタナキアは嘘に嘘を重ねると言う最悪の方向へ猛ダッシュしていく。
「で、どうなの? 五百年前? に、アタシが言った事っ! 少しは理解出来たんでしょうねっ?」
適当な会話を試みる、しか無いもんな……
「はいっ!」
そりゃそう答えるよね、又封印されたら堪らないもんね。
「そ、そう、気を付けているのね?」
「勿論ですっ!」
「ふ、ふーん…… な、なら良かったわよっ!」
…………何も情報収集出来なかったな。
観察していて苦しいからもう全部隠さずに言っちゃえば良いのに……
しかしサタナキアは頑なにバアルを演じるらしい、馬鹿だな……
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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