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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1703.錫人形の旅路


 頭を下げたお辞儀の姿勢のまま、嗚咽を洩らすカーミラに掛けるサタナキアの声には一層の期待が含まれている。

「それで? その素晴らしい二人と勇猛な数百の羅刹らせつ達とはいつ頃合流出来るのかしら? 今日? 明日?」 

「あ、いえ…… 直ぐと言う訳には――――」

「えっ、まさか明後日なの? そんなに待たせる気なのアンタ!」

「い、いえいえ! じ、実は――――」

 そこからカーミラが説明した内容は、まあ妥当な話だったと言えるだろう。
 既にご紹介した通り、五百年前、錫の体に機動力と発声を得たカーミラは自身に課せられた命題、同胞探しへの奔走を余儀なくされたのだ。

 昼夜問わず歩き回ったカーミラであったが、その歩みは文字通り日進月歩である。
 勿論サイズ的な事もそうなのだが、理由の大半は彼女が受け取ったメッセージの解釈に基づいている。

 彼女にとって同胞と言えば、言うまでも無くダキア、それも狂信的に先祖由来の掟を守り続けている希少種の事である。
 しかも、只でさえ少ないこの同胞の定義を、カーミラは更に深く考えてしまったのだ。
 そこらに溢れ返っている(勘違い)珍しくも無い(勘違い)一種族、そんな物をわざわざ探せなんて言う訳が無い! そう判断した彼女は条件付けを自分と同じ身の上、禁忌を破り絶賛呪われている真っ最中の人間に限定してしまったのである。

 無論、この発展を享受し易い時代に好き好んで苦しく惨めなダキアンを続けている血族は少ない。
 当たり前だ、外来の価値観を受け入れるだけでもっと快適な生活や食、娯楽や安全が簡単に担保されているのだ、余程深いこだわりやかたくなさを持っていなければあんなドエスな誓いを守る変わり者は減っていくのが普通だろう。

 こんな時代の価値観の変遷の中で、カーミラの旅は難儀を極めた。

 既にオーディエンスの皆さんがお察しの通り、錫人形の短い足でよちよちと、しかも訪ねるのは峻険なダキアの隠里や砦跡の集落、所謂いわゆる険阻けんそにして酷烈な要害の地ばかりである、文字通り命懸けなのだ。
 その上、スズ鳴きを伴う苦痛に耐えて歩き続け、辿り着いた地でダキアンに出会う事はほとんど無いと言うオマケ付き、ゲームで言えば設定ミス並みの難易度、更に言えばメンテナンスでの対応も期待出来ない、つまり無理ゲー若しくはクソゲーだったのである。

 勿論、ダキアは沢山いた、何故ならダキア人の集落だからだ。
 しかし、彼等のほとんどは古き誓いなんか歯牙にも掛けない、当然地下の祭壇なんか作ってもいない、羊だろうが馬だろうが腹が空いたら何でも好き嫌いなく良く食べて、夕餉ゆうげには家族や仲間と笑顔で酒盃しゅはいを重ねて幸せいっぱい、運動不足で出てきた腹を気にしながらも妻や下女に当り散らして威張ってばかり、そんなかんばしい集落に変じていたのである。

 彼等の長は財貨を蓄える事にだけ日々心を砕き、より多くの富を与えてくれる権力者に従って配下の生活を守り、得た物を奪われない為の防備に人々を働かせる事を続けていた。
 ああ、これは皆さんの時代も同じだったか…… 失礼。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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