【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1232.出歯亀
暫らく行くと低木が中心だったブッシュの中に、背が高い樹木が目立ち始め地面を掴み上げる様に噛んだ根が、足元の凹凸に激しさを増していく。
一方、梢の下にあたる部分は空間が広がり始め、遠景を見通す事こそ出来はしないものの、体周辺にスペースを得てそれなりの開放感を感じたレイブである。
吐息と共に周囲を見回すと、近くの大木の幹に縋り付いて何かを窺っているバッタ、テューポーンの存在に気が付く事が出来た。
見た所、体を強張らせてジッと木の後ろを注視しているらしく、何故か小刻みに震えたりもしている。
レイブはやれやれといった表情を浮かべながら近付き、気楽な口調で話し掛ける。
「ここに居たんですかテューポーンさん、震えちゃってどうしたんです? あ、催したんですか? お花摘みってヤツなんです? あはは」
『ジィーッ!』
「む? 静かにしろって事です? 何か面白い事でもあるんですね? ここら辺りの娘っ子の水浴びとかですか? いやはや好きですねぇ~、テューポーンさんもぉ~、ま、俺も嫌いじゃないですけどね♪ イヒヒヒ、どれどれ?」
短い前肢を口元に立てて、判り易く静かにする様に指示したテューポーンに寄り添いながら、下卑た顔つきで出歯亀と決め込む下衆《げす》極まりないレイブ。
覗き込んだ先の光景を目にして小声で口にしたのは期待した物とは大きく乖離していたようだ。
「ん? なんだアイツ等…… 人型の獣、モンスターですよね? 犬や狼、あっちは熊かな? それに虎や豹みたいな猫っぽい奴等まで一緒にって…… 別種のモンスターが一緒に居るなんて珍しいですよね?」(コソッ)
なるほど。
大木の向こうはブッシュを隔てて開けた場所になっていて、そこにレイブが言った通り、獣面に人型の身体のモンスターらしき集団が集まって何かをしているようだ。
テューポーンが自分の問い掛けに無言を貫いたままなのを、状況に集中しているか、若しくは答えた所でギッとかジッ位しか話せないからだろう、そんな風に決め込んだレイブは観察を続ける事にした。
暫らく眺めていると大雑把な事が把握出来、レイブは再び小声でテューポーンに話し掛ける。
「どうやらアイツ等って狩りをしていたみたいですね、ほら、皆で取り囲んでいる真ん中に獲物みたいのが倒れているじゃないですか…… おろ? モンスターの癖に生意気にも解体しているみたいですよ? ほらほら、刃物なんか持ってやがりますね、しゃらくさいじゃありませんか、ね?」(コソッ)
『…………』
相変わらず無言のままのテューポーンを然して気にも留めずにレイブの観察と独り語りは続く。
「いやでも中々手際が良いな、もう血抜きと臓腑の処理は終わったみたいだよ、モンスターの知能ってのも馬鹿に出来ないんだねー、ほら! 器用に鱗と皮を剥がして肉を切り分け始めたよ…… にしても獲物は一体何なんだ? あんなに鮮やかな朱色の鱗だろ? 魔獣でもモンスターでも見たこと無いよ、まるでギレスラだな、あはは、は、は? ギ、レ、ス、ラ? ま、まさか」(コソッ)
レイブの顔色があっと言う間もなく紅潮し始める。
『ギ?』
何かを察したテューポーンが振り返って止めようとしたが、レイブの姿は既にそこには無く、獣面の集団に向かって飛び掛っていたのである。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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