【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1675.ギックリ
親父? ああ、ハミルカルか。
オーディエンスの皆さんにはお馴染みの、少し行き過ぎたバアル信者、まあ狂い切り偏り捲くった変人だと思ってくれれば良いだろう、所謂危ない人である。
基本的に頭がおかしい挙動と極端な思想を前面に出し続ける困った親父が、珍しく片膝を付いてその場に控えたまま自分の次男に鋭い睨みを利かせている、こいつにしてはマトモな方である。
「愚か者め! さっさと控えぬかっ!」
「は? え? 何でだよ?」
「神の御出座し、恐れ多くも畏くもバアル様が直々にご降臨なされるのだっ!」
「ええぇっ!」
バアル自らの登場と聞いて驚きの声を上げたハスドルバルであったが、次の瞬間には慌てる事無く父に並ぶ形で跪く。
目の前でキョトンとしている骨とその仲間達には一切構わず、既に放置を決め込んでいるらしい。
普通の流れならダキアの面々にも控える様に促したり下っ端達を下がらせたりしそうな物なのだが、そんな事はどうでも良い! 自分が礼を失してはならない、その一点しか考えられない、まるでそんな感じである。
この時代、コユキや善悪と出会うずっと前、ベル・ゼビュート、『尊大な王』とか呼ばれていた頃のバアルが如何に尊大で傲慢、我が儘三昧だったかが窺い知れるのでは無いだろうか。
つい今しがたまで融和ムードで良い関係構築にもう少し、そう思っていた魔王様は、既に知らない人ですっ、そんな風にこちらを無視して足元の地面を凝視しているのだ、イザベラにも尋常ではない事態が切迫している事がはっきっりと判る、骨だけの喉がゴクリと鳴った。
「いらっしゃるぞ倅よ」
「はい、親父殿」
「くっ、お嬢様! ここは我等に任せてお逃げくださいませ!」
いよいよ御出座し、そう感じたイザベラはフラグ丸出しの台詞でカーミラだけでも逃がそうと試みる、が……
「ベラ、ごめんなさい、あの、腰が抜けて……」
「ええっ! い、いつからですの?」
「あの、は、腸がボロっとした辺り」
結構前じゃん。
「ねえベラ、おぶって逃げては貰えないの?」
「いや、私はほら、食い止めたりとかそーゆー…… 判りますわよね?」
うん、そりゃ判るだろ、今言ったばかりだしな。
「やっぱりそうですの…… では私もここに残りますわ! どうせ動けないですしっ!」
まあ言ってる事は理解出来るんだが判らないのは語尾が軽く切れ気味な所なんだよ。
「え…… わ、判りましたわ、では予定を変更して無駄な抵抗は止めてひれ伏すとしましょうか…… 流れから察するにいらっしゃるのは不死神のゲベレイジス様らしいですし、ね」
「戦わないんですの? でしたらおぶって逃げてくれればよろしいのでは無くって?」
「え、は?」
ふう…… お前が逃げる時間稼ぎに戦うって話だったんじゃないのか……
お前が逃げれないんなら戦う必要無いんだよ? そもそも罰を受ける不信心者はお前一人、他の全員は被害者と善意の第三者ばっかなんだからな?
そこら辺が理解出来ない程にギックリした腰が痛むのか、それともそもそも生まれつきの知性が絶望的に不足しているからなのか、血脈的には恐らく先祖に当たるイザベラは暫らくの間、何も返す事が出来ないでいた。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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