【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1649.ダーチャーの子等
イートゥル自身もゲタイの地を広く転戦し続け、敵味方問わず『不滅の戦士』と呼ばれ畏怖と尊崇を持って語られる事となる。
後に全員で戦禍を生き延びた彼等は国を興した、皆さんの時代のルーマニア共和国とほぼ同じ国土を誇る大国であった。
彼等は国号をダーチャー、ダキアと名付け、初代の王には満場一致でイートゥル、イーチを選出する。
そして全てのゲタイはその日から自分達の事を、誇りと共に『ダキア人』と呼ぶ事になった。
彼等を敵の侵略から守り抜いた王と七人の側近達は特に親しみと感謝を込めて、コブの峡谷、ボイレビスタス、ブレビスタと仰ぎ見られる事となる、そう、コユキや善悪の使いっパ、イーチがゲタイ族初の王者として誕生、君臨したのである。
サンドラとイーチの同窓の五人は要衝である砦を守護しきり、皆さんの時代では世界遺産としてその在りし日の激戦を忍ばせてもいる。
イーチは王座についた後、国の中心であるオラシュチエの地下遺跡で巫覡の言葉に従って政務を行ったが、いつの間にかしっかり子供たちだけは拵えていた様である。
嫁は亡き兄の戦友、ローザリアだ。
そして阿呆みたいに宗教に傾倒した結果、この王と側近、嫁は不老不死の存在となるのだ。
念の為に言っておくが、この時点ではバアルは何もしてはいない、ノータッチだ。
恐らく信仰心云々ではなく、悪魔だった母親ダーチャーやその性質を色濃く引き継いだ兄、カリオペを取り込んだ影響では無いかと思われる、まあこれは別個の話、蛇足であろう。
兎に角、ダキアの民、旧ゲタイの皆さんは、イーチ一派のこの偉業に沸き立つ事頻りであった。
皆さんの時代に置き換えると例の彼、そうアメリカを驚かせ続けるボクシングの彼やベースボールの彼みたいな感じだったのだろうと推察する。
そして、時は流れ、今度は彼等自体が信仰の対象となる。
ローマだろうが、モンゴルのハーンだろうが、オスマンのメフメトだろうが、カトリックやマーチャーシュだろうが、どれだけの勢力が国土を蹂躙しようとも、心の中に根付いた信念、希望の小さな芽を摘み取り切る事など誰にも出来はしないのだ、それが本来の信仰の姿、私はそう思う。
ローザリアが産んだ子供達は誰一人、ダーチャー由来の再生と不死、不滅の力を受け継いではいなかった。
周辺諸族からの暴に曝され続けた千年余、ゲタイを祖に持つ人々は小さくか弱く、しかし決して消える事が無い真実の信仰の炎を灯し続けていたのだ。
こんな苦痛に満ちた隷属は長くは続かない、祈る神すら強要される屈辱に耐える、それも我等に課された試練に他ならない筈! いつの日か古代の英雄が蘇って邪悪な異教徒共を駆逐してくれるに相違あるまい!
人々の願いは、自らの不甲斐無さを責める支配層により濃く顕れて行く事となる。
戦略上の便宜を考え、節操なく変遷する神ではなく、彼等は密かに心底から慕う神への信仰を実践し続けた。
地下に隠した神殿で、絶対神サルモクシス(ルキフェル)に赤心からの祈りを捧げ、使徒である巫覡のザモルクス(モラクス)、風の化身ヴォルクス(オルクス)、更に神の下へと召されたブレビスタ達(イーチと仲間達)、ついでに彼等に不滅の力を与え給うた太古の神格、ゲベレイジス(誰だ?)にも同様の畏敬をもって祀ったのである。
他にも怪しさ満点な呪いや魔術、不気味極まる儀式なんかも追加して、である。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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