【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1309.古代の記憶
『良くお聞き我が子達、我々はオロス、ニンゲンと共にある者なのですよ、只のヴノでは無いのです』
物心ついた頃から、母は私と兄弟達に言い聞かせ続けた。
言葉とは裏腹に、ニンゲンも他の生き物も寄り付きはしない、活火山の中腹にぽっかりと空いた洞穴、陰鬱な暗がりの中での事だ。
巨大な体躯の母は、洞窟と一体化してしまったかの様に身動ぎもせず、只、煌々と光る眼を向けて子供たちを眺め回し、まるで品定めでもしているのかと思えたものだ。
幼体の特徴である斑紋が消えた頃、私達兄弟は母の言葉の真意を知った。
肥大化して身を起こすことも出来なくなった母の代わりに子供たちの世話をしていた乳母によってである。
彼女達は口々に言った。
『アナタ方こそ豚猪の中の豚猪、いいえ、アナタ方だけが豚猪なのです』
と。
幼い内には何気なく聞いていた言葉であったが、成長と共に繰り返された内容は自分達のルーツに直結する物語へと変化していったのである。
曰く。
オロス族の先祖は東の果て、極東と呼ばれた場所で誕生したという。
乳母達が言うには、世界が魔力やモンスターの危機に曝される十年以上にも先立つ時期だったらしい。
当時の世界は『てくのろじぃ』と呼ばれる魔術を駆使して、国々の優劣を競い合っていたのだそうだ。
先祖達が暮らす極東のニンゲンは特にこの魔術に長けていたらしく、来るべき危機をいち早く察知すると、自らの暮らす島国に大掛かりな手段を打ったのだ。
彼等の用いた魔術は凄まじかった。
驚いた事に巨大な地震を引き起こしたのだ。
そして続いて巨大津波までも発生させ、先祖の暮らす地からニンゲンを一掃させたのだという。
そうして置いて、どうやったものかその地に魔力を充満させたのだった。
先祖は飼育種、所謂ブタと呼ばれた獣に過ぎなかったが、この魔力に曝される事で魔獣へと覚醒したらしい。
私はこの話を聞く度に、極東に暮らしていたニンゲンの力に驚いたものだ。
魔術で巨大地震や巨大津波を起こした事は勿論、魔力まで思いのままに操って見せ、更に十数年後の未来を予見する深慮遠謀までも…… 正に神と呼ぶ他に無いとさえ思えたものだ。
そして彼等の予想は的を射てもいた。
世界中のニンゲンが石化し始め、野生の獣が徐々に魔獣として覚醒したのは、丁度十年が過ぎた頃だったらしい。
同時に殆どの飼育動物達は忌むべき魔物、モンスターへと姿を変えて行ったと言う。
但し、先んじて覚醒を果たしていた先祖たちは別であったそうだ。
彼等は十数年の時を無駄にしてはいなかった。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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