【1931話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
1931.イワシの頭
それにしてもヤケにそっち系のことわざ、故事と呼ぶべきだろうか? 格闘系の伝承が言い伝えられている様だ。
厳しい時代、自然強き者への憧憬がそうさせたのかも知れない…… 泣ける。
令和を起点にして、それまで文明が築き上げた豊かさ…… まあ物質的な裕福さとゆとりを失い続けた人類サイドでは、かつて享受した穣りへの恋慕を同じ時代の強者に重ねたのかも知れない。
霊長にして星の主、勘違いにせよ本気で思い込んだ当事者には耐え難き没落だ、生き抜くには、やはりガッツと闘魂が必要だったのだろう。
着の身着のままで基本は野宿、綺麗な石やドングリが一番の宝物でご馳走と言えばモンスターの搾り汁、所謂、まるごとモンスターが大好物、没落の最低辺に生きるレイブが言葉を続ける、可哀想だ。
「で、あけぼの角田にしか勝てず、の意味、つまり計算ずくじゃない理由ってのは何だ?」
野郎っ! プロレスでは結構やってたんだぞっ? プロレスでは、だけどなっ!
大横綱の在りし日の勇姿を知る私、観察者と違い、往時を知らない竜王グラムランドは淡々と返す。
『信仰ゆえ、それに忠誠心だな』
いやそんな抽象的なイメージで言われてもな…… はっきり具体的に言ってやらんとコイツ等野生児には伝わらないだろ。
もっとこう、一度ハタンガ見てみたかったとか、俺の方が強いんだいっ、とか? せめて、存在証明の為とか夢で見たとか位は砕いてくれないとな。
「そっか、信仰、か……」
『なるほど、忠孝に優る理由は無いのだ』
嘘っ? 伝わったらしい…… 意外だ。
いや改めて考えてみればコイツ等アスタロトはじめ結構な悪魔に直接会ってるからな…… 信仰心は自然養われるかも知れんし、この時代は師弟制度も割と厳格だったからな、忠誠心とかも持って然るべきか…… これは私の見誤りだったな、いや、恐れ入った。
「でもお前等の信仰の対象、神様のヒュドラってドラゴンなんだよな?」
『その通りだ、我々はヒュドラ様に近付かんと日々修行に明け暮れている、それこそ何世代にも及ぶ間中ずっと、な』
『あのバッタの子みたいになる為に、ずっと、か…… 艱難辛苦なのだ……』
『ジ?』
ギレスラはペトラへの心肺蘇生で忙しいテューポーンの反応すら無視して続ける。
『そんな狂信に全てのドラゴンを死地に向かわせると決めたのであれば…… オノレは見下げ果てた暴君っ! 歴史に汚名を刻む事になるのだっ! 竜の王よっ!』
『ジ? ジジッーッ!』
自らの愛息子への紛う事なき滅私の信仰、それを全否定されたテューポーンは大きな声で叫ぶ、しかし、バッタ語をガン無視したグラムランドはそっちは放置で同族、真紅のニーズヘッグだけに向けて返す。
『愚か者め…… 国を率いる立場がそれ程軽いと思うのか? ニーズヘッグよ』
ギレスラも瞬で返す。
『では何だと言うのだ、勿体つけずにさっさと話せ、ヨルムンガンドめ』
『何だとっ! この毒蛇がっ!』
『うるさいっ、海蛇の癖にっ!』
『根っこ齧りっ!』
『海洋ゴミっ!』
基本的に仲が悪い種族同士なのだろうか? 種族名で呼び合う事を切欠に再び口汚く罵り合う声が響き続ける。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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