【2279】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
2279.あんなの
暫らくして、保養所の客、悪魔からナガチカに注進があった。
みっちゃんがいない、消えちまった!
聞かされたナガチカは慌てて研究施設に駆けつけた、これにはウィルも同行したと言う。
当時を思い出しながらレ・ジャルダンは言う。
「地下に降りた途端に咽返る様な濃密な瘴気、そして不気味な稼動音を響かせるマシンと周辺を埋め尽くす黄金のコインの山…… 正に魔境、いいや、あんな非現実的な景色は実際の魔界でもお目に掛かれなかったが、な……」
ベテラン聖戦士のウィルですら躊躇する光景を前に、ナガチカは恐れを微塵も見せずに内部に飛び込んだそうだ。
「あんなのでも親子だからな……」
レ・ジャルダンのコメント、以前の観察を知る私、観察者には、あんなの、がどちらを修飾しているのか判らなかったが…… そうか、両方に掛かっていたんだな…… 確かにあんなのだな。
その後、あんなの倅はあんなの父を探し捲ったが結局、見つけ出す事は叶わなかったらしい。
それでもあんなの倅は研究室の端から端まで血眼になって探し続けていたそうだ。
あんなの父は研究に没頭する余り、トイレや食事すら適当に済ませていたらしく、食べ掛けて放置されていたカビた缶詰の中身から何度かの継続使用で汚物が詰った尿瓶の中まで探すあんなの倅の姿は、ウィルの目に涙と嫌悪の色を浮かべさせたのだと言う。
しかしあんなの父は見つからなかった。
「ちきしょうっ! どこに行きやがったっ! 逃がすものかぁ~、必ず見つけ出してやるっ!」
ムカついたのかあんなの倅の主旨は少し変化していた。
そして腹立ち紛れに呪いのコイン製作機を蹴り飛ばしたのである。
「ん? 何だ? 穴?」
転がったマシンの下にはかつてロシアの国営石油会社、ロスネフチが掘り下げた、いや掘り下げ過ぎた穴が、底なしの奈落へ繋がるかの様に真っ暗な口を開いていたのである。
そこからはそれまで以上に濃密な瘴気が目に見える勢いで噴出していた。
「ん~? っ! ははぁ~ん、こ・こ・か~っ! それっ!」
何がははぁ~んでここがどこを指すのか皆目判らなかったが、あんなの倅は暗く不気味な穴に躊躇なく飛び込もうとし、すんでの所でウィル・スミスに抱き止められたのである。
「離せ、離してくれぃっ!」
「馬鹿言うなっ! Are you crazy?」
聞かなければ判らないのだろうか? 兎に角、ウィル、現在のレ・ジャルダンのお蔭であんなの倅は生き延びたと言う。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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