【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1219.徘徊する者
足音の主は程無く姿を見せた。
二足歩行の人型であり、ゆっくりと進める歩みに合わせて大きな金属音が響き渡っている。
背丈はペトラの数倍以上、ギレスラの頭と比しても倍位と高い。
大きさ自体はヴノやクロト、カゲト等の大型魔獣の方が遥かに上回っていたが、総金属製に見える全身の重厚さ、そして周囲を振るわせる重量感は迫力満点である。
のみならず、体を動かす度に溢れ出しているのは紛う事無く純粋な魔力そのものであり、凡百の命であればその濃度だけで失われるであろう事が察せられる、謂わば瘴気と呼ぶべき猛毒の類だったのだ。
金属の巨人、その全身は真紅に彩られていた。
キラキラと陽光を反射するギレスラのそれとは違い、艶の無いヌットリとしたその色は、魔界を知らぬ者であっても彼の地の苛烈さと暴力、そして残忍なまでの現実である実力至上主義を想起させるに充分な無骨さが感じられた物だ。
顔にあたる場所には目や鼻、口と見える造形はあるものの、光ったり動いたりする様子は見られず、只、それと見える凹凸が存在しているだけであった。
赤い金属の巨人は、酷くゆっくりと確実に、レイブ達が落下した場所を通り過ぎていく。
その両手には十数本の石柱、元々ニンゲンだったであろう石像を大切そうに抱え、黙々と歩を進めていったのである。
「ぷーっ! 行ったか? にしても何だよアレ? 恐過ぎじゃね?」
先程、ペトラを抱えたギレスラとテューポーンが着水した池の中から顔を出したレイブの声に答えたのはペトラである。
『ブピィーっ! 息が続かないかと思ってドキドキしちゃったわよ! 戻って来るかも知れないから今の内に息継ぎ息継ぎ、呼吸を整えておかなくっちゃね、ってギレスラお兄ちゃん息苦しくないの?』
ペトラの問いに答え、水中から顔を覗かせたギレスラはスリーマンセルお揃いの蓮の葉を頭に乗せたままである。
『我は鼻だけ出していたぞ? お前だってそうすれば良かったのではないかな、ペトラ?』
『ああ、なるほどー♪ 次やってみるわね』
「鼻だけ、か……」
頭に乗せていた蓮の葉を顔面上部に移したレイブは、早速デモンストレーションを始めたが、人並みより高めの鼻でもニンゲンの造形の限界、唇や顎が突出してしまい望んだ結果は得られない様であった。
漫画やラノベの水遁の術などで描写される、竹筒や葦の茎、筒的な物ってやっぱり必要なのだろう、納得みが強い。
因みにこの池の中にはテューポーンの姿は無い。
池のエッジに自生している青草の上にとまって静かにやり過ごしている。
これほど濃密な魔力の中で虫けら如きが無事でいること自体、甚だ不自然ではあるが、まあ、情景的にはエモくない事も無い。
こんな場面でも超自然体、それとは真逆と言っても良いレイブは死に掛けていた。
出来るまでやる! 不器用なくせに負けん気だけは人一倍、いいや数十倍は強いレイブがフガフガ言いながら鼻から池の水を飲み続け、窒息寸前でいる所にギレスラから危急を告げる声が掛かる。
『おい、戻ってきたぞ! レイブ、さっさと呼吸を整えて隠れなきゃだろ? 鼻が短いんだから諦めろよ!』
「……ちっ! すぅーはぁーすぅーはぁー」 ちゃぽんっ、ぷくぷくぷく……
ちゃぽんっ!
ペトラは無言のままで鼻先だけ出して池の中へ、レイブは我慢の時間、テューポーンは自然体、それらを見届けしっかりと確認したギレスラも又、池の中へと姿を隠したのである。
ガキンッ! ズズンッ! ガキンッ! ッズズンッ! ……ズシン!
しーん………………
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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