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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1708.勇者の帰還


 さて…… 名も無き脇役の事は兎も角! 大切で重要な主要メンバー、魔神様のサタナキアは一体この間に何をしていたのだろうか?

 簡単に言えば、道中の化け物退治と悪霊退治、後は怨念を慰めたり忘れ去られた宝物庫探索なんかの冒険を繰り広げ捲り、その間に絆を結んだ牢番兄妹やセバスチャン、交替で来た兵士長や執事長で老練なゼッセルマンと感動溢れる永遠の誓いなんか交わしちゃったりしていたのだが、まあ、これらは蛇足、所謂いわゆる、別のお話しになるのだろう、敢えて割愛させて頂く。

 炎の幽霊だとか岩山の竜人ズメウ、森の乙女シャールカ、そしてその夫だったツチラトの解放に怒りの戦女ヴラスタの恭順……
 興味をお持ちになったオーディエンスの方は、今すぐチェコ語やルーマニア語講座とか始めたら良いかも知れない、頑張って欲しい。

 兎に角、サタナキアが旅を終えてクルムバッハに帰還したのは更に三年後、古屋根の大男メクと湖畔の邪妖精ヴィッラを倒した後の事である。

「ふん、クルムバッハ、か、懐かしいな…… そうだった、全てはこの地を旅立った時に始まったのだったな…… ふふふ、頬を撫でる風や人々の喧騒、軋む馬車の車軸が上げる悲鳴すら、そう、全てが懐かしい……」

 十年近く大暴れの大冒険を経験したサタナキアは口調すら少しイッテしまっていた、残念至極だ。
 相変わらず見る人が見れば怒り狂うだろう聖母っぽい姿のままで、大剣を背負ったサタナキアの周りには、真紅の魔核が七つ、キラキラと輝きを放ちながら空中を旋回しつつ瞬いて、まるで答えている様だ。
 判り易く化け物の本性をさらけ出しちゃった悪の中の悪は、軽快な足取りで丘の上に建つ領主館へと歩を進めたのである。

 程無く辿り着いた館は、既に城、城砦じょうさいと呼んではばからぬ威容いようを誇り捲っていた。
 最初の訪問時にはまだ工事の真っ最中であった城壁に城門、空堀まで完璧に造り上げられ、何より一際高々と天を突いてそびえる尖塔の姿はサタナキアに一つの決意を想起させた。

――――良しっ! あそこに住もうっ!

と……

 勝手に決めて意気揚々と入城するサタンであったが、城門の番兵や屋敷内の使用人達の様子が尋常で無い事に気が付いて足を止め、首を傾げたのである。

 具体的には、全員が全員、判で押した様に俯き加減で暗澹あんたんそのものな顔付き、しかも下唇を突き出していると来れば落込んでいる、しくは巨大な屈託を抱えている事くらい馬鹿でも判るレベルのふさぎ虫状態であったのだ。
 特に番兵達は重篤じゅうとくな症状だったらしく、通り過ぎる際には特段呼び止める事もせず、サタナキアの軽い挨拶に対して、ちわ…… と小さく返すだけと言う体たらく、防犯意識の欠如もはなはだしい有様である。

――――この勇者サタナキア様が帰って来たと言うのに、軽い会釈だけって! ふ、不敬の極みっ! 滅ぼすわよ、ゴラァっ! って、それ程の変事がこの地を襲っているとか? 魔王とか大魔王とかかも知れないわね…… よろしい、邪悪な化け物はこの勇者、サタナキアが調伏ちょうふくしてやろうじゃないのっ! うん、あそこにいるジジイに聞いてみましょう!

どうやらサタナキアは自分の立ち位置を見失っている様だ、嘆かわしい。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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