【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1310.極東ニンゲン
ニンゲンは、自分達が暮らせなくなった地を去る時、先祖達を飼育場所から放っていったのだ。
何故そんな真似を?
自分たちと一緒に逃げなかった理由とは?
先祖達は直ぐにその答えを見つけたという。
ニンゲン達は知っていたのだ、先祖達ブタこそが世界を滅びから救う最後の希望に他ならない事を……
牛や鶏、犬っころや猫にゃんでは無く、高貴で賢く強靱な肉体と精神を併せ持った唯一の種、ブタだけが彼等の期待に答える能力を有している事、その事実を優れた極東ニンゲンは見抜いていたのだろう。
彼等の慧眼には目を見張るが、期待に答えた先祖の誠実さにも、同様以上の敬意を払わずにはいられない。
兎に角だ、解き放たれた先祖達が元々の野生を取り戻すのに時間は掛からなかったらしい。
飼育種になった時に失った長い体毛こそ元通りにはならなかったが、それ以外は原初の姿へと戻って行ったと言う。
丸々と太っていた体は筋肉の浮き上がった角ばった物へとシェイプされ、下顎の牙も直ぐに大きく鋭利な武器へと変えられていった。
野や山へ戻った先祖達は、危機の到来までその力を高めつつ、悠々自適な生活を満喫していたのだそうだ。
そして世界に魔力が溢れた。
地震と津波から復興を始めていたニンゲン達よりも先に変化したのは動物達だったと言う。
同じ山野で暮らしていた動物達が片言でバブバブ話し始めた頃、ニンゲンの施設から逃げ出してきた飼育種達がモンスターと化して彼等を襲ったのだ。
狼狽し逃げ惑う弱く哀れな動物達。
大人しいリスや鹿、ヤマネに混ざり、いつも偉そうにしているくせにてんで意気地の無い熊や狐、遠い親戚に当たる猪の体たらくも、それはもう情け無い物だったらしい。
見かねたご先祖がモンスターの群れを追い払ってやると、揃って地べたに頭を擦り付けながら涙ながらに礼を述べ続けたそうだ。
更にケダモノ達はご先祖に懇願したのだと言う。
これからも守って下さい、自分達だけでは生きていけません、怖いのです、とかなんとか?
仕方なく彼等のリーダーを受け入れてあげる事にした優しいご先祖たちは『王』となったのである。
勿論、自ら名乗ったのではなく、可哀想で脆弱なケダモノ共のたっての願いを受けて渋々、だったらしい。
それから、魔力は濃度を増し続け、配下の獣達も少しづつ大きくなっていったのだそうだ。
ここでご先祖たちは、以前の飼い主だった極東ニンゲンの知恵に再び驚かされる事となる。
他の獣に比べ、自分達の体が際限なく大きくなりつづけている事に気が付いたのだと言う。
そうしてあるご先祖が思い出したのだ。
以前、ニンゲン達が口にしていた言葉、大魔術『品種改良』を……
極東ニンゲン達は、今回の危機に対してブタを放しただけではなく、最後の光となるブタの改良まで果たしていたのである。
それこそ何世代も掛けてじっくりじっくり時間を費やしてこの事態に備えていたのだろう。
『少しでも大きく』『一頭でも多くなる様にもっと多産に』……
恐れ入らずにはいられない、最早、賢者と呼んで差し支えないのではなかろうか?
こうして極東ニンゲンの卓越した知恵と『てくのろじぃ』によって巨大な体と強靱な力、そして他の生物には無い知恵と分別を手にしたご先祖達は王族として君臨を果たしたのだと言う。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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