【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1483.乗り換え
「へぇーやるねー、いつ斬ったものか、私の目でも太刀筋すら見えなかったよー」
「あ、いや、その」
直ぐ後ろまで近付いていたシドが感心した様に言い、どう答えたものか判断に窮したレイブはいつになくしどろもどろである。
誤魔化すつもりが無くとも、自然に口をついて出るのは見たままの景色についてである。
「あの、この石は? 随分鮮やかですけど、魔石、ですかね?」
「ん? ああ、これは魔核だよー、モンスター共の魔石とは似て非なるもの、悪魔の命って所だねー、うん、流石は魔王種、綺麗な核だねー」
「悪魔の…… 神様の命、これが……」
興味を持ったのか、ギレスラとペトラも少しだけ近付いて覗き込む様にしている、バッタは猪の頭上である。
衆目を無視したシドは魔核に向けて相変わらずの口調を変えない。
「さっさと憑依しろよー、皆さんがお待ちになっているじゃないかっ! このうすら馬鹿共がっ、恥ずかしいんだよーっ!」
「「…………」」
二つの鮮やかな魔核は何の反応も示さない。
代わりにレイブの脳内に不思議な声が届く。
『我が君、それで宜しかったでしょうか?』
『何なりとお申し付け下さい、我が君』
驚いて視線を落とすと足元の魔核の輝きが僅かに瞬いている事が見て取れた。
どうやら先程の会話と同様に、今度は二柱の悪魔が魔核から語り掛けて来ている様だ。
レイブは背後のシドに悟られない様に注意しながら心中で言葉を返す。
『えっと、憑依の事だったら良いと思うけど…… あっ、勿論ミロンとブロルが望んでいるなら、だけどね、それと君たち自身も良いのなら、ね』
『無論、双方承知の上でございます』
『畏まりました、では早速』
この短いやり取りの間に、少し離れて様子を窺っていたギレスラとペトラが無言のままでチラリと視線を交し合っていた、ほんの一瞬だけである。
間を置く事無く、二つの魔核は目にも留まらぬ速さで飛翔を始め、離れて見守っていた二人の獣人に向けて勢い良く肉薄したのである。
魔核は速度を落とす事無く、互いに肩を抱き合って目を瞑り、縮こまっているミロンとブロルの腹部に入り込んで消えてしまった。
「お、おいっ、大丈夫か、ミロン、ブロル!」
あの速度でぶつかったらタダでは済まない、そう思ったレイブが叫び、いち早く救護に動こうとしたぺトラが数歩近付いた時、
「あれ? 何ともなっていないぞ」
「本当だ、傷一つ無い? 確かにぶつかったと思ったんだけど?」
普段と寸分変わらぬ声を発したミロンとブロルにレイブは胸を撫で下ろすのであった。
同じく安堵の息をつくぺトラの後ろからギレスラが発言だ。
『今のが憑依なのか? 不思議な現象だったのだ』
レイブが答える。
「だな、てっきり大怪我でもしたと思っちゃったよな? びっくりしたぜ」
ぺトラも続く。
『ね、学院で沢山憑依した時は霧や光だったものね、色々あるのねー、流派とか、かしら? それにしてもあの時と比べると見た目やオーラとかが変わらないのね? 失敗? じゃないわよね?』
なるほど、確かに学院をモンスターが襲った際の憑依祭り、アスタロト一家の大盤振る舞いでは大小の差こそあれ、憑依された依り代側は合体後、揃って何らかの変化が見られていたが、ミロンとブロルの二人には今の所目に見える変化は起こっていない様だ。
「あーそれって多分、依り代側が結構強かったんじゃないかなー、魔力回路が稚拙だと影響を与えようが無いからさー、そのせいだと思うよー」
「ほー俺たちの時はまだ子供だったし気を失ってたから気が付かなかったけどなー、魔力回路か、ふむ、言われてみれば有りそうな話だな」
『『角』』
「ああ、そっか、そうだったな、なはは」
アスタロトが憑依しても普通のニンゲンにしか見えないレイブは弟の尖角と妹の巻角の事を失念していたらしい、うっかりさんである。
まあ見た目は兎も角、本人の左腕も恐らく同じ恩恵なのだろうが普段は殊更気にしていないからこそだと思われる。
竜と猪もそれほど気にしていないらしくレイブの笑い声にあわせて微笑んでいる、もうこれは自分自身の一部、そんな所なのだ。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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