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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1646.命の泉


「あ、兄貴ぃっ!」

 搾り出す様な弟の呼び声に、首だけとなったカリオペはカッと両目を見開いて答える。

「イーチ、か…… 不覚を取ったわ……」

 嘘、だろ? 何だコイツの生命力……

「兄貴! 嘘だろっ、ま、負けちまったのかよぉ?」

 そ、そこっ? え…… えーっ……

「ああ、不意打ちに不覚を取った…… 許せ弟よ」

 く、首だけだぞ、おいっ! マジか……
 時の大精霊、魔王種、一部では魔神とも呼ばれている私、観察者も驚く生命力じゃないかっ! やるな、ダーチャーったら。

 しかし、驚くのはここからが本番だったらしい、イートゥルが信じられない言葉を口にする。

「兄貴、安心してくれっ! 今すぐお袋の泉へ連れて行ってやるからなっ! そうすりゃあっと言う間に元通りだぞっ!」

 は? 何だよそれ?
 
 安心させる様にニッカと笑う弟にカリオペは答える。

「いいや、それには及ばん」

「なっ、何言ってるんだよ兄貴ぃ! あの泉、お袋の死体を酸で溶かした『命の泉』に浸かればどんな傷でもたちどころに治るんだぞ!」

 そうか、あの娘死んだんだな………… ってか何作ってるんだよ息子達! 生命の有り様を勝手にいじくってるんじゃないよっ!

 馬鹿なイートゥルより随分まともそうな兄の首は言葉を続ける。

「敵は先進の技術を持った大軍だった、俺一人復活した所で追い返すのは難しいだろうさ、それよりも…… なぁ、イーチ、お前勝ちたいか?」

「当たり前じゃないか! 侵略者は打ちのめしたいに決まっているだろうっ!」

「そうか…… ならお前、俺を喰らえっ!」

「え? あ、兄貴を? マジで?」

「マジだ」

 おいおいカニバリズムかよ…… 首だけで普通に会話しているだけでも大概な上にそっち系にまで行くのかぁ……
 確かにゲタイ族は年長者、と言っても中年位だが、体力に衰えを感じた者が、自ら願い出る形で仲間に殺害して貰いそして自分の所有していた羊や鶏と共に喰われる、そんなパプアな習慣があるにはあったが……

 さしもの脳筋馬鹿、イートゥルも戸惑った様に言葉を失っている。
 まだ十代、しかも首だけで自らを喰えと命じる兄の異常さ、恐らくそこら辺に戦慄しているのでは無いだろうか。

 首兄貴のカリオペは自身を抱く弟に語り掛ける。

「どうしたイーチ、この俺の力と能力を自分の物と出来るのだぞ? 戦士として得がたき成長の機会では無いか! 一体何を躊躇う事がある?」

「いや、でも……」

「強大な敵は迫っているのだ! 事は種族の存亡に関わる大事なのだ! いつもの様に好き嫌いを言っている場合では無いのだぞっ!」 

 いや、そんなレベルの話じゃ無いだろ…… 兄貴だし、首だけなのに結構元気そうなんだし……
 少しの間、沈痛な顔で思い悩んでいたイートゥルは、やがて重かった口を開いたのである。

「兄貴の頭って結構デカイしさ、食べ切れなかったら悪いじゃん?」

 えっ、そっちっ? まさかのお残し駄目なタイプ?

「なるほど…… そりゃ確かに大問題だな……」

「だろう?」

 まさかの家庭内ルール、それも何故かめちゃくちゃ厳格そうだ。
 まあ食べ物を粗末にするのは私も嫌いなのだが…… そもそも食べ物じゃ無いだろ……



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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