【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1257.イッパンジン
ご満悦なシュカーラの声を合図にして、部屋の中央に食べ物を運び込んできたのは三人の獣人たちであった。
背嚢の底を弄っていたレイブは、何気なく視線を送った彼等を見て思わず手を止め考えを巡らせたのである。
――――ヘビ面野郎の部下共か…… 牛に山羊に…… ん? んんん? ニンゲン? 獣人じゃなく只のニンゲンじゃないかっ! ま、まあ、そうだよな~、獣っぽいこいつらだってニンゲンを自称しているんだから純粋なニンゲンがいても当然だよな~、ちっ! メルルメノクのヤツめ! 何が、『ハタンガの東にニンゲンは存在しないのです』だよ! テキトーな事言いやがってぇ、すっかり騙されたぜっ!
ああ、そうか……
学院を出発する切欠になったスタンピート、その原因だった邪竜化しかけから救われた後、竜王の里四天王とかいうメルルメノクがそんな事を口走っていた様な気がする。
しかしレイブが思った通り、牛タイプと山羊タイプに続けて食料を運び込んだ個体は一般的なニンゲン、所謂ノーマルヒューマンに見える。
文明も技術の大半も失われた時代である、やはり正確な情報の把握と伝播は難しいのだろう。
レイブは一般人っぽい個体を横目で追いながら更に考えを巡らせるのである。
――――少し年齢は高い様だが良く鍛えているのだろう、逞しい体をしているじゃないか…… 髪も頭頂部はやや薄めだがその分側頭部は俺なんかよりボリューミーだなぁ、意外に若いのかな? 少し間延びした表情は賢そうには見えないが、黒目がちな目で純朴そうな顔立ちは誠実さや実直さの表れだろう! 彼みたいなニンゲンが他にもいるんだったら竜の里の問題解決にも役立ちそうじゃないか? うん、そうだよ! 事情を話して『魔解治療』を施させて貰えれば魔術師の量産も可能かもしれない! そうなれば竜王も無謀な特攻を思い止まってくれるんじゃないかぁー! そうだよっ、鱗剥ぎが出来る魔術師さえいれば玉砕の必要自体が無くなるんだもんな!
「おいおい、なんだか竜の里に着く前に解決しちまったって感じだな」
「な、なにか?」
顔を眺めたまま呟きを洩らしたレイブに件のニンゲンは驚いたように返した。
ややしわがれていたが想像通り素直そうな声である。
レイブは努めて柔和な笑顔を意識しながら答える。
「いや、後で時間を取って貰いたいんだが構わないだろうか? とても大切な話しがあるんだよ、良いだろう?」
「えっ、は、はい……」
レイブが真剣そのものの口調で告げた為か、普通人は事態の真剣さを感じ取ったのか緊張した感じで返事をし、いそいそと部屋から出て行く。
途中で二、三度振り返る姿に手を振って見送るレイブは満足気な笑顔を浮かべていた。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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