【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1758.血は水よりも?
大人かどうかは定かではないが、図々しくゴシショの肩を抱いて朝食会場に歩き去っていくガトの後姿を眺めるレイブにマナナンガルは話し掛ける。
「あの…… 本当に行くのですか? ドラゴンの…… そのぉ」
言い難そうな感じを悟ったレイブは主旨をズバリだ。
「竜の里か? もう少ししたら出発だけどさっ、何でだ?」
マナナンガルは目を剥いて答える。
「やはり予定通り…… どうしても必要なのでしょうか、その…… 皆殺し? でしたか?」
「だから殺しに行く訳じゃ無いって言ってるじゃん! 話し合い、説得しに行くんだよ? 寧ろ平和的な交渉なんだからっ!」
「ああ、そうでしたの! 安心しましたわ」
「全くっ!」
一応おさらいしておくが、マナンンガルは一切悪くない、昨日新たな才能、通訳に抜擢されて調子に乗ってしまったバッタが勝手に伝えた内容を素直に信じていただけなのだ、ほぼ被害者である。
冤罪にも文句一つ零さない辺り、元々の優しく温和な性格が伺われる東南アジア産まれの美女は言葉を続ける。
「でもドラゴン達の戦闘力は非常に高く、中には好戦的な個体も多いと聞き及んでいます…… 無理をなさらないで下さいね」
「ん? ああ、まあ大丈夫だろ」
当然の心配を当たり前な風情で打ち消したレイブ。
馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが、遂に完全に狂ってしまったのであろうか? 心配だ。
私、観察者に発狂疑惑を持たれているレイブは笑顔で言う。
「ほらウチにはバッタ、テューポーンさんがいるだろ? だから心配要らないよ」
マナナンガルの顔色は一気に曇る。
「……そうですか、やはり皆殺されるのですね――――」
「何でだよっ!」
前日の出会いで殺す殺す発言を繰り返していたテューポーンの名を出しておいて、素直に戦慄いた美女を責めるとは些か調子に乗っているらしいレイブ。
大きな声に固まっている彼女の姿に少しは良心でも痛んだのか間を置かずに言葉を続ける、じゃあ最初から静かに話せば良いのにっ!
「ドラゴン達が崇めてる神様ってな、テューポーンさんの息子らしいんだよ」
「えぇっ、あのバッタの? ですか?」
「ああ、あのバッタの、だよ」
なるほど、確かヒュドラを信仰しているとか言ってたからな。
かつて、コユキの妹、オニギリ友の会のリーダーリョウコの手下だったヒュドラと言えば、既にバストロ学院スタンピートの折に観察した、緑竜のクネ壁、エンペラに憑依したラードーン同様、確かに百頭の魔テューポーンの倅である。
母親は怪物の母エキドナであり、こちらは学院長でレイブの師伯、現鬼王のズィナミ・バーズに憑依しているのだ。
ほぼ身内、その信徒達なんだからチョロい、それがマナナンガルに話したレイブの主張である。
ここまで、直接の太師匠であるグフトマと殺し合いを演じ、つい昨日も懐いて来ただけのヴァンパイヤ達のパッシブスキルで殺され掛けた事などすっかり忘れているらしい迂闊なレイブにマナナンガルは安直な言葉を返してしまう。
「そうですか、ならば安心ですね」
「ああそうさっ! 万が一にも戦うなんて事にはならないだろ? あはは」
この時代、本当にフラグと言う概念が消え去って久しい事が伺えるなぁ、美しい様式美だったのになぁ。
それにテューポーンの倅って事は、イコール魔神アスタロトのひ孫なのだろう…… 親殺しの一族が身内だからとか考えてくれていれば良いのだが? 実際ひい爺さんよりバアル側についてた前科もあるしなぁ~。
そんな私、観察者の懸念はいつも通り、一切届けられる事は無く、ヘラヘラ笑顔を浮かべたレイブはマナナンガルを伴って、大量の獲物の前で偉そうにしている弟と妹、ギレスラとペトラに向けて歩き出していくのであった。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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