【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1236.猛進
声はレイブの察したとおりペトラの物に相違なかった。
最初に届けられた声は怒気を含んだ威嚇の咆哮、そして続いたのは酷く弱々しい嘆きが感じ取れる謂わば悲鳴である。
これを聞いた瞬間、レイブは無言のままで森の中を駆け始めた。
幼い頃から使い慣れた『ロードランナー』の足使いを駆使して、不規則で劣悪な地を蹴り、立ち並ぶ木立やブッシュを已のところでギリギリ躱し、行く手を遮る様に伸びた枝に背負った荷が傷つく事も厭わずに駆け抜けるのであった。
程無くして、丁寧に葉で包んだ荷物は半減する事になった。
失われた荷の殆どは、じめじめとした森の地面に散乱し、木立の幹に叩きつけられミンチ状でぼたぼたと垂れ下がり、枝の上から赤い肉汁を滴らせるのであった。
レイブは背後の惨状など一顧だにする事無く、ペトラの叫び声がした場所に向けて更なる加速を続けながら思う。
――――間に合うか? ペトラ無事で居てくれよ! 今すぐ行くからなっ! 幸い走れば走るほど体が軽くなっていくのが実感できている! これは…… ギレスラの加護かっ? 良しっ、力を貸してくれ弟よ! 一緒にペトラを助けるんだっ! 俺とお前はいつまでも一緒だぞっ! もう少しだっ!
そう考えたレイブは勇気百倍、これまでを遥かに凌駕する勢いで、彼曰く一心同体の筈な肉槐を撒き散らし続けたのである。
最早、木の枝や幹に衝突しなくても、レイブの繰り出す左右の脚が産み出す衝撃だけで吹き飛ばされ続ける肉片が、背嚢の上からスッカリ姿を消した頃、悲鳴が発生した場所に到着する事が出来たのである。
ズザアァーッ!
「ペトラッ! 兄達が来たぞっ! 大丈夫かぁっ!」
横滑りで急停止を果たしたレイブの目には、森の中を流れる小川のせせらぎを背に、まるでそこだけ木々を伐採したかのように平坦な広場を背の低い草が覆い尽くした一見のどかにすら見える広場っぽい景色、その中央で体を丸めて縮こまる、大きなペトラの背中が震え続けている姿が映るのであった。
レイブの声にゆっくりと振り返ったペトラの双眸からは滂沱の涙、更にくしゃくしゃに歪められた表情が見て取れた。
レイブを見止めた彼女は更なる感情を爆発させる。
『レイブお兄ちゃん…… う、うわーんっ!』
ズドドドッ! ガッ! ズザザザーッ! ドンッ! ミシミシィッ!
「ぐぁっ! あ、アバラ、が……」
『うわーん!』
ドンッ! メキッ! ドンッ! ペキッ! ドンッ! メキャメキャッ!
「ぺ、ペトラ…… グボォッ! あ、アバラが…… グバァッ! あ、アバラ……」
『うわーん!』
感極まったペトラは種族属性で強化され捲った突進、猪突猛進をレイブにぶちかまし、ウッカリ受け止めたレイブは直線上を押し込まれ、真後ろに有った巨木の幹へと叩きつけられてしまったではないか。
その上、一旦止まってからも興奮したままのペトラが繰り返し小刻みなタックルを続けていた。
もの凄い勢いと結構な量の吐血を見るに、自己診断のアバラ以外に内臓辺りもやられている事が容易に推測できる。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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