【1977話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
1977.うんちく 其の壱
ふむ、確かにバッタには発声器は無い、対してカメムシの仲間、アメンボからタガメ、ゲンゴロウやお馴染みの臭い奴まで、全体に数が少ない雄には声が存在する。
夏場とかに夜のベランダとかで『ヂー』って鳴っているノイズみたいな小さな音、あれである。
虫、昆虫や害虫の中で声を発する事が出来る種、実はそれ自体がそもそも稀なのである。
鳴く虫、皆様の認識ではやはりセミでは無いだろうか?
夏の訪れと共にけたたましくも暑苦しく季節の到来を告げる、アレ等である。
彼等は長い年月、土の中で暮らしている。
漸く地上に出て一週間とかそれ位の僅かな時間を鳴き暮らした挙句、パタリと落ちて死んでしまう儚い命とか言われて時に物の憐れの代表的な存在みたいに語られたりする、これはご存知だろう。
彼等は無論、鳴く、前述通り煩い位に鳴き捲る。
何故あれ程鳴くのか、それは子孫繁栄の為、言い換えれば個体の死に瀕して譲るべき生を求める、それ故である。
たった七日の生涯なんて可哀想! それは産まれて以来地上を住処としている人間側からだけ見た大変偏った見方である。
親世代が死を覚悟で向き合った七日間の後、彼等が産声を上げるのは卵が産みつけられた地中、つまり地下なのである。
地面の下産まれで地下育ち、生粋のアングラっ子なのである。
薄暗く土圧と湿気で息苦しい狭小空間を掘り続け、限りある食料である木の根や地虫を奪い合い、互いに体液を吸う機会を狙い続ける生涯、お天道様に顔向け出来ない所か見たら失明か絶命だ。
人間で言うスラムっぽくも聞こえるが、バイオレンスのレベルが違う、文字通りの暗黒街が彼等の故郷にしてホームグラウンドなのだ。
地に潜み闇を友とし悟られる事なく蠢き続けるもの…… ちょっと厨二的でもある。
そんな地獄で何年も過ごし、やっと明るく楽しい地上に出たのにすぐ死んじゃうなんてっ!
繰り返すがその陰気でつまらない地獄が彼等の住処だ、心安まる我が家、スィートホームなのである。
おお、ミン男じゃないっすか。
これはツク坊、お久しぶり。
そろそろ子作り、地上に行っちゃうんすよね?
あーまー子孫繁栄? 役目だからさ、仕方無いよ……
死ぬんでしょ? 結局……
まあ、な。
寂しくなるっすよ………… いっそバックレちゃったらどうっすか?
ん…… いや、そんな訳には行かねーよ! 雌だって覚悟を決めて地上に出るんだぜ? なのに雄がビビッてどーすんだよ!
そうっすよね……
そうさっ、精々地上では大声で鳴いて目一杯沢山の子供を作ってやるさっ! へへへっ!
ぐっ…… が、頑張って下さいっ、ミン男君の活躍を祈って! ば、万歳っ! 万歳ーっ!
応っ! ありがとう! 種族繁栄の為、見事務めを果たして参りまっす!
ご武運をっ!
いざっ、出陣!
こんなやり取りを経て決死の覚悟(リアル)で地上に出て来るのかも知れない。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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