【2235話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
2235.相対性?
ペトラが鼻を向けて指した先には、少し先の海辺で何か忙しそうに動いている一つの人影が見える。
ガウンだろうか薄手の生地でワンピース状の服を着ている大柄な男性、人間の様だ。
男の横には山の様に積み上げられたモンスターの亡骸、そこから一体づつ近くの松に吊るして解体をしているらしい、気の遠くなる作業である。
連れ立って近付いた兄妹の気配に男はこちらを振り向く。
月明かりだけの暗がりに、男の着たワンピースが大きくはだけ、慮外に逞しい上半身が露になった、どうやら男はこの服を肩に羽織っているだけだったと見える。
ペトラは無意識に視線をずらし、ギレスラが男に向けて声を掛ける。
『忙しそうな所を済まないが…… 少し物を尋ねさせて欲しいのだ』
「ん? おぉギレスラ、それにペトラか! 久しぶりだな」
レイブ復活。
『れ、レイブお兄ちゃんっ?』
『ん? レイブ? いや本名は確か…… シットリ、っ痛っ!』
『大丈夫っ? ギレスラお兄ちゃんっ?』
『あ、ああ、何故かその事を思い出そうとすると頭に激痛が走るのだ』
『そうなの?』
『もう少しで思い出せそうなのだがぁ』
生存本能による記憶阻害は未だ有効だったらしい。
「大して大事じゃないんだろ、それより元気だったか?」
『え、あ、うん、まあね、そんなに時間も経ってないし、他の皆も元気よ』
「へ? いや、結構経ってるだろ?」
『えー? そんな事無いわよー』
お前等動画中毒だったからな、時間経過感覚とか狂ってるんじゃないか。
「だけど十六年だぞ? お前なんか半生以上じゃん」
『えっ!』
「え?」
えー、だった。
どうやらレイブが過ごした日本での十六年はこちらでの数日間に当たる様だ。
逆浦島太郎、いや国民的アニメでの神様ん所の修行部屋、精神と時のなんちゃらのが判り易いだろうか? バアルが作った逢魔ケ原は時間の流れ自体が違う別時空的なポケットだったと見える。
道理で私の観察が及ばない筈だ、『観察』は同一の直線上の時間に存在した事実をのみ覗き見るスキルだからな、納得である。
それにレイブの懐かしげな態度に対するギレスラとペトラのドライ極まる塩対応も理解出来る、十六年ぶり奇跡の再開とちょっと遠くへ出掛けてた兄が帰って来た感覚ではやはり温度感がダンチなのである。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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