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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1170.ゴブリン観察②


 サークルの周囲では欠片かけらを奪い合うゴブリン達の争いで騒然としている。
 互いに殴り合い、引っ掻き合って流血を伴いながらも怯む事無く牙を剥き欠片を手に入れんとするゴブリンの群れ。

 広場の四方の端まで移動したグフトマとホブゴブリン達は手に持った袋から取り出した欠片をあちらこちらに向けて投げ始めている。
 投擲の先には子供を抱いた雌や子供達、怪我を負って中央の争いに参加できないであろう個体の姿が見える。
 どうやら、戦闘に不向きな個体に餌を配分しているらしい。
 足元近くに転がった欠片を手にしたゴブリンは直後、石の様に見えるそれに口を付けて無我夢中な風である。

 レイブの横に並んで見ていたギレスラが思わずと言った風情で呟く。

『あれが餌、食い物なのか……』

「多分そうだろうな……」

 ゴブリンの激しい争いに目を奪われていたレイブは反射的に答えていた。
 同じ様に飢えていたとしても、ニンゲンは基本的に他者と分け合う事を是としている。
 しかし、目の前で展開されている争いには、譲り合うとか遠慮だとかの綺麗事は一切存在していなかった。
 生き残る為に他者を出し抜く、正に生存の為の競争、その争いが繰り広げられているのである。

 レイブは、他のモンスターに比べて彼等の容姿が自分達の姿形すがたかたちと酷似しているだけに少なく無いショックを受けていたのかもしれない。
 思わず口をついて出る言葉は意味を成していなかった。

「うわぁ…… あっ、あーぁあーぁ、うあぁ……」

 少し冷静なペトラは聞くに値する声で言う。

『真ん中で取り合うより周りで待ってた方が効率良いみたいだわね~、ほら見て! あっちの大きいのなんか四つも持ってるわよ』

 なるほど、確かに中央のサークル周りのゴブリンが一つの欠片を奪い合っている間に、遠巻きにしている女性や子供に老人、怪我人達は数個の欠片を手にしている様だ、慌てる何とやらは、的な事だろうか?
 コスパ的に圧倒的に優れているのは傍観者サイドである。

 少し正気を取り戻したレイブは顎に手を当てて考え込んでいる。
 恐らく人生の無情、しくは漁夫の利的な事でも考察しているのだろう。

 冷静さが自慢のペトラの声は続く。

『ね、ギレスラお兄ちゃん! あの娘じゃないかな? グフトマさんが言ってた娘ってぇ!』

『ンガ? ああ、『まだまだの彼女』ってやつか? ほぉ、なるほどぉ、確かにな~』

「え? なになに?」

『ほら、例の『立場上まだ早い彼女』よ♪ あの娘じゃない? 熱い視線を送っているみたいだしぃ』

「ああ、何か言い訳がましく言ってた彼女? なるほど、見つめ合ってるな……」

『ね♪』

 なるほど、ペトラが前肢の二本指で指し示した場所には若いゴブリンの女性がいる。
 ギレスラやレイブが納得したのも頷ける。
 数メートルの間合いを維持したまま、ジッと射抜くような瞳でグフトマを見つめているでは無いか。

 他の成体の女よりは少し小さな体だが、パッチリと大きな目が特徴的で全身の筋肉の発達も周囲の群を抜いているようだ。
 可愛いと言えば可愛い、まあ、緑なのだが……
 ついでに言えば、その緑具合も周囲の女性より一際濃く見える。

 グフトマ自身も、瞬き一つせずに彼女を見つめ続けている、こりゃ決定的かな?
 しばらくすると彼女はグフトマを何度も振り返りつつ、巣穴の一つへと戻って行ったのである。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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