【2064話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
2064.滴汗成氷
『貴様等であったか、で? あれは? どこにおる?』
冷気からの声音にミロブロったら下げた頭を更に低くしちゃったりしている。
「いえ、あの、我々は、その…… えーと……」
『如何した?』
「我が君…… 弟君からは暇を頂きましてぇ、えっとぉ……」
『ほお…… あれを見捨てたのか? 度胸があるでは無いか!』
おっ、褒められたじゃん、やったんじゃね?
ひれ伏したままのミロブロのあちらこちらからツララが下がり始める、原材料は冷汗っぽい、正に滴水成氷、いや滴汗成氷って所だろう。
顔面を凍らせながらミロブロの声量は増す。
「見捨てた等ととんでもないっ!」
「そもそもアガリアレプト様自身が望まれた事でございましてぇ……」
ああ、なるほど、こいつ等の旧主、アガリアレプトの姉って事は、サルガタナスなんだな、コレ。
冷気の中心、声が発せられていた辺りに不自然な物がある、水だ。
流した汗すら瞬時に凍りつかせる寒気の中、水が水である筈がない。
刹那、水は浮かび上がって人型、均整がとれた女性のフォルムへと変化した。
同時に座位のまま後方へと飛び退り、空中で数度輝いたミロブロは巨大な魔獣、強靱な狼と虎へとシェイプシフトを果たしていた。
着地と同時に牙を剥き出して凄む二人には既に怯えは欠片も残されていなかった。
同格の魔王とは言え遥かに強靱な相手に対して身動ぎもせず臨戦態勢をとり続けていた。
女型の水が整った唇を動かして聞く。
『愚弟の配下、それも末席にある邪妖風情がアタシに牙を? フフフフ、これは面白い! その脆弱な身で背に隠すは一体どんな奴なんだい?』
たじろぐ素振りも見せずに答えて曰く、
「これなるは我等がお仕えせし主人にしていと尊き神である! 下がれっ!」
「かつての主が姉とて容赦はせんぞっ! 立ち去らぬと申すのならば否も応もなし! 敵わずまでも一矢を与えてくれんっ!」
『へええ♪』
凄みは無意味だった。
いきった言葉を発した途端、二人、ってか二匹の体は凍りついて動けなくされていた、親切にも首から上だけは自由に動かせるようにしてくれてあったので無念の叫びだけは聞こえるままだ。
「ああっ! お逃げ下さいぃっ! ギレスラ様っ、ペトラ様ぁっ!」
「むうんっ! 卑怯だぞぉっ! 離せっ、ってか溶かせっ! このブスっ、馬ー鹿馬ー鹿っ!」
『うふふふ♪』
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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